2017年4月に観た映画の「「LION ライオン 25年目のただいま」」の原作を読みました。
~7月3日に読了。読んだ本の記録と感想は意外と抜けているので、これからは最低限のいつ読んだのか、またどう思ったのかの一言感想ぐらいの記録は残したいものだと思っています。
みんな覚えていられるー。
とんでもない事です。かつては出来たことが出来なくなる。それが「老い」。老眼で視力を失ったらシニアグラス、歯を失ったら義歯、聴力が衰えたら補聴器、歩行がおぼつかなくなったら杖。そうやって補って行けば良いのです。そして失っていく記憶力にはメモと記録ですよね。
などと、どうでも良いような事から書き始めていますが、どうでも良いと言うわけではありません。
5歳でインドで迷子になり、オーストラリアに里子に行き、そして25年目に本当の家に帰り母と再会できたのは、5歳の時の記憶を忘れまい忘れまいと自分に言い聞かせながら保ち続けたからに他なりません。
そこにもこの人の生き抜く力と、5歳までに培われた逞しさを感じたのでした。
ほとんどの感想は、映画を見た時のモノと一緒です。(一行目のタイトルでリンクしています。合わせてお読みくださればと思います。)
だけど、より深く理解できた部分もあります。
ひとりで街を彷徨う5歳のサルーが水辺で遊んでいた時に、二度もおぼれてしまい、その二度とも助けてくれた人にちゃんとお礼すらできなかったことを、ずっと覚えていたサルー。
たった5歳で、しかもおぼれてしまった直後なのだから仕方がない事だと思います。だけど彼はずっとその事が頭の隅に残っていたのです。無償で人を助ける人の尊さを、どんな悲惨な環境で生きていた時もちゃんと学んでいたのですね。
また日本人にとって、保護した子供と添い寝すると言う状況があった時、確かにこのように文字にすると、あり得ない事に感じますが、映像で見ると、意外とそんなには異常な状況には思えないような気がしてしまったのです。事実映画を見た時、出てきた女性の怪しげな視線がなければよく分からないシーンでもあったのです。映画の中で、サルーは保護された家から逃げ出します。本文では何もされなかったけれど、添い寝されたことで疑う気持ちが生じた事がよく分かりました。
私はやっぱりそう言う大人が、子供を自分の欲求のはけ口の餌食にする悲惨さには鈍感で見誤りそうです。
お腹がペコペコだけれど、それはいつもの事なので問題ではないー。
想像力を発揮しなければ、どんな場所で幼児が一人生き抜いたのかは理解しがたい事だと思います。
孤児院に入っても、深夜に大人たちがやって来て、子供たちを盗みに来るのです。
この国では子供は商品として売れたのです。
性をささげる店に売るなどだけではなく、物乞いの組織にいれるとか、また臓器売買の為にとか・・・・・。
だから彼がオーストラリアの両親の所で育てられたこと自体が、本当に奇跡だったと思います。
ただ勘違いしてはならない事は、彼は、いつもお腹がペコペコで、それがいつもの事なので大した問題ではないと言う生活をしていたとしても、大好きな母や兄や妹たちと暮らす毎日は、彼にとっては本当に幸せで、何の問題もない事だったのです。
だから彼は、どうしても自分の本当の家族を見つけたかったのですね。
5歳の子供が一人で数か月生き延びたことが奇跡。
オーストラリアの両親に育てられ、愛に包まれながら高い教育を受けられたことも奇跡。
そして今の時代にあるものを駆使して(ネットで繋がりあう・グーグルアースなどを使う等)、本当の家族の所に帰ってきたことも奇跡。
この本の中に
「すべては起こるべくして起こった事なのだと強く感じる。それを思うとき、僕はとても謙虚な気持ちになる。」
と、サルーは言っています。
その「起こるべきして起こる」出来事が、どれだけ重いか大きいかとかドラマチックであるかだけは違うとは思います。が、それは皆にも言えること。
私は自分の心と語ります。
今ある心の中の苦しみは、自分が引き起こしてしまった行動が原因かもしれないが、それを深く考えて想いの果てに道が開かれれば、それは振り返った時に「起こるべきして起こった」出来事だったと感じるのかも知れないとー。
夏休みもあとわずか。
まだ、読書感想文だけが残ってしまっている中高生の皆さんには、感想文を書くのにお勧めできますよ。
「意外と長いじゃん。読んで感想を書くなんて、キャー、間に合わないわー。」というのなら、先に映像で見ると、ストーリーが頭に入っているので、サクサクと読めますよ。
えっ、誰ですか。じゃあ、DVDだけ見て感想を書けばいいかなどと思った人は。
25年目の「ただいま」 | |
舩山 むつみ | |
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ギャガ |
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