森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「夢の彼方への旅」を読みました。

2018-08-26 11:23:22 | ユーモレスクを聴きながら(book)

「十五少年漂流記」が好きだったり、また「赤毛のアン」や「小公女」が好きだったりする人には、これはかなりの確率で面白いと思っていただける物語だと思います。

続けて読んだ本の感想を書いています。毎回言う事でもないですが、この感想は「夏休みの宿題」にはまったく役には立ちません。だけど、この作品は夏休みの読書感想文を書くために選ぶとしたらベストな選択だと思います。

なんたって面白いので、二日で読めて(頑張れば)一日で感想を書けると思いますから。

と言う事は今からでも、間に合うと言う事でしょうか^^

これはジャンル的には「児童文学」と言うものに入るらしいのですが、それ、あまり関係がないですよね。

なぜなら「ハリー・ポッター」や「赤毛のアン」をあえて児童文学と意識なんてしないですものね。

 

夢の彼方への旅
清水 宣子,Eva Ibbotson,三辺 律子
偕成社

 

Eva Ibbotson(エヴァ・イボットソン)と言う方は、1925年生まれで、1933年ナチス・ドイツの迫害から逃れるために父親と共にイギリスに移り住みました。

その情報はいつもながらウィキペディア様からのものですが、その一文を読むと、じゃあ、お母さんはどうなったのだろうかと思ってしまいますよね。彼女は生物学者のユダヤ人の父と作家のユダヤ人の母から生まれました。

「父と共に」の言葉だけ読むと、何か心にさざめくものを感じますが、更に英語版の(もちろんグーグル翻訳で翻訳して頂いて、変な日本語で)さらに読み進めていくと、彼らの両親は彼女が3歳の時に離婚していたのでした。

ナチスの影響が及んできた時、ウィーンを脱出していくわけですが、その経験は彼女のその後の人生と仕事の核になったようです。

彼女は85歳で亡くなるまでに、児童文学のジャンルばかりではなく恋愛小説なども書いているのですが、残念な事に日本で翻訳されているのは、「幽霊派遣会社」とか「黒魔女コンテスト」とか、いかにも子供たちが喜びそうなタイトルの物ばかりのようです。

彼女の子供の時の体験が影響を与えていると思われる、第二次世界大戦を背景にした「The Morning Gift」などは興味深い作品だと思うのですが、海外でベストセラーになったものでも、今の日本では売れないと判断されていたのでしょうか。

またその英語版の解説の中で気になった作品は、「he Secret of Platform 13」プラットフォーム13の秘密。

これは「ハリーポッター」にも影響を与えたかもしれない作品なのですね。この作品は「ガンプ ― 魔法の島への扉」と言う作品に翻訳されています。

数々の賞を取ったイボットソンですが、この「夢の彼方への旅」でも、イギリスの子供たちが選ぶ文学賞スマ―ティーズ賞で金賞を取り、その他ガーディアン賞、カーネギー賞などにもノミネートされたのでした。

 

私がこの方を知らなかったと言って、他の人たちも知らなかったとは思ってはいけない事だと思いますが、やはり誰もが知っていると言うほどまでの知名度があるとは思えません。

だけど今も「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」や「ラスカル」などをアニメにして子供たちに紹介し続けた、あの時間枠があれば、この物語はまさに最適。またnhkでもそう言う時間枠がありましたよね。「秘密の花園」など、ワクワクしました。ぜひそんな時間枠を作って、アニメ化したら、もうメッチャ面白いこと請け合いですわよ。

 

両親を失ってしまった良家の少女が、遠いブラジルのアマゾンで暮らす親戚を頼って、ちょっと怖い感じの家庭教師と一緒に旅に出るのですよ。途中で役者の少年と知り合いになったり、たどり着いた先の親戚が、またもう癖がありまくり。可愛いのにお約束的な意地悪な双子や、殺虫剤と共に暮らしている夫人や、義眼収集が趣味の夫など。そこで知り合った人たちもまた謎だらけ。博物館の館長の秘密は何か。謎の少年の正体は誰か。すべてのエピソードがどう落ちて行くのか、頁をめくる手が止まりません。火事があったり、逃亡劇があったり、密林探検があったりででつまらない訳がないのです。また大富豪相続の「王子と乞食」的エピソードもね。

 

ほらね。

夏休みの宿題には役に立たないって言ったじゃない^^

 

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幽霊派遣会社
Eva Ibbotson,三辺 律子
偕成社

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黒魔女コンテスト
Eva Ibbotson,三辺 律子
偕成社

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ガンプ―魔法の島への扉
Eva Ibbotson,三辺 律子
偕成社

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