たった二冊に込められた、ゴッホの真実の物語。
もちろんフィクション。
だけどそこに描かれていたのは、まぎれもない愛の物語でした。ここまで人は誰かを愛する事が出来るのだろうか。
このコミックは2013年に初版が刊行されたものです。
主人公はテオドルス・ファン・ゴッホ。
みんなが愛してやまない画家のフィンセント・ファン・ゴッホの弟です。
このテオさん、かっこ良すぎです。そして兄を思う心は本当に地球大と言う感じ。
この物語は、絵画のコアなゴッホファンには好きか嫌いかと分かれるかもしれません。お話的にはかなり驚きの展開になっていますから。
だけどゴッホも好きで漫画も好きと言う方には、これは「ありあり」の世界観だと思います。
私は古い水夫にいつの間にかなっていて、新しい作家さんをあまり知りません。それでも思わず私は思ってしまいました。
「この穂積って人は、天才だな。」って。
テオさんの芸術論には頷けること多数です。この物語のようなエピソードは無くても、アンデパンダン展って画期的だったんだなと心に食い込んでくるものがありました。またゴッホお兄ちゃんは、まるで裸の大将のような人。彼のエピソードに思わず涙がポロポロ零れました。そこにラストのあの展開。
ふと顔をあげたら、夫殿がお風呂に入っていて、私は部屋を独占していたので、最後は声をあげて泣きました。
こんなにも人は誰かを愛する事が出来るものなのかー。
ネタバレなしで書くとここまでかと思いますが、ひとつのセリフだけは忘備録として書かせてくださいね。
「毎日を ただ生きて 生きて生きて 精一杯生き抜いて 死んでいく人を僕は惨めだとは思わない・・・・」
☆
この本は昨年の「「永遠の門 ゴッホの見た未来」」「上野の森の「ゴッホ展」」
を見た頃にリサーチをして知っていたのですが、Amazonで買うか買うまいか悩み、ちょうどその頃は漫画を読んでいる場合ではないなと止めたのでした。今ラッタさんの残して行った本箱にぎゅうぎゅうに詰まっている本を読んでいて、その中にこの本があるのを見つけました。本当に何でもあるなぁとしみじみと思いました。買わないで良かったです。
昔、ちょっとだけ続けて書いていた「あるよ!」シリーズを思い出してしまいました。「あるよ!<1> 「デトロイト・メタル・シティ」」とかね。
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