M・ナイト・シャマラン監督、不思議な人です。
彼の作品が皆大好きというわけではないのに、何でだか癖になるんですね。
確かに、「このビーチでは一日で人生が終わる。」なんていうストーリーにも興味が湧くけれど、今度のシャマランさんは、何を仕掛けてくるのかなと、とっても気になってしまうのでした。
そうはいってもなかなか予定が立たず、とうとう終わり間近の27日(月)に見に行ってまいりました。
この物語は、監督の三人の娘さんからプレゼントされた「Sandcastle」というお話が原案になっているらしいですね。
その場所の不可解な現象が起きる理由の「なぜ」も、そして彼らがここに連れてこられた理由の「どうして」も、ちゃんと説明されて、そして思わず納得してしまうのですが、冷静に考えてしまえば、「そんなことあるかい!?」となってしまう・・・・人もいるでしょう。(私かも・・・(笑))
「そんなことあるかい !?」などと思わずに、なんだかよく分からないまま「そうかそうか」と納得し、「なんと !!」と「どうして」の部分も大真面目に驚いた方が、この映画は10倍は楽しめると思います。
ラスト週に見に行ったせいか、観客が私も含めて3人だったせいか、ポテトを食べたりメロンソーダ―を飲んだりしつつ、なんだか家で見ているかのように寛いで見ていて、心おきなく百面相をしていたように思います。
そして、怖く感じたり気持ち悪く感じたりもしましたが、切なさや悲しさも感じまた怒りもと、考えさせられることも多数で、心の方もたくさん動き、まったく飽きない108分でした。
いつも賛否が真っ二つのシャマラン監督作品ですが、この作品は結構イケたのではないでしょうか。
だけどこんなにお勧めしても、劇場公開は、もう終了で、あとはお近くの名画座か、もしくは今は配信が早いので、そちらでご覧になって頂ければと思います。
画像の下はあらすじは書きませんが、ネタバレを意識していないで書いています。
つまりネタバレしています^^
子供の役はやはり3人から4人・・・・
ラストに伯母の家に向かう時、
「6歳の甥って50代の男が言っても、驚くだろうね。」と言うようなセリフで終わるじゃないですか。
なんだか一番切なかったです。
「時」を失う事は、かなり大きな悲劇で、彼らはその代償としてどんなにあの製薬会社に賠償してもらっても、償えないと思ってしまいました。命があれば良いってものではないですよね。
最初に少年トレントが、ホテルの宿泊客に職業を聞いて回る遊びが、最後に生きてくるところは好きなシーンになりました。
だけど気になる事も少々。
数時間前まで6歳だった少女が、歳を取っていくことを嘆くシーンで
「プロムにも行けなかった。」みたいな事を言うわけですが、そんな事を言うわけないじゃんと、ちょっと違和感を感じたのです。
それに肉体の成長は分別の成長を伴うものなのかという疑問。あの姉と弟、肉体はおばさんとおじさんになってしまっても、その中身は11歳と6歳なんじゃないかと思うわけで・・・・。
そう言えば、最後に彼らも諦めて残された時間を楽しく使おうと、砂の城を作り出すところで、姉が
「私たちが童心を失わないのは、昨日まで子供だったからかしら。」と言うのだけれど、
いや、君たち、心は子供のままだと思うよと、やはり思ってしまったのです。
ただこの作品は、画像の上にも書いたことですが、そのような違和感を感じても、シャマラン監督の共犯者になって、細かい事は気にシーナイと見た方が良いって事ですよね。
この物語は、家族の愛の物語。あの夫婦が、最後に穏やかに心を通わせることが出来たのは、本当に良かったです。
出口のない閉塞された世界で、起きた異常を受け入れて、そして穏やかに去って行く・・・・
または受け入られずに、狂っていく・・・・
果敢に脱出を試みて、敗れていく・・・・
または理不尽に殺される。
なんだか、これは今の時代の縮図 ?
そんな風に感じたのは、私だけではないのではと思いました。