森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

縁と宴

2010-05-24 13:12:42 | 梢は歌う(日記)
もうかれこれ15年くらい昔、ほんの少しだけ新聞の集金と言う仕事をやってみました。私のお仕事体験記、自分ではかなり印象深くて、いつかブログにも書いてみたいテーマなのですが、ちっともそこに行き着きませんね。

まあ、それはともかく、そのお仕事の時、素晴らしい家が、私の担当の中にありました。
なんだかうちのリビングぐらいの広さの玄関が、そのまま美術館と言う趣の家。

思わず目が右に左に動いてしまいます。
「すみませーん。」と家の人を、開いている玄関から呼んでいると、背後から女主人らしい人に、集金人は脇の玄関に回れと言われました。なるほど集金人は、勝手口に回れと言う事ねと行ってみると、又そこに普通の玄関があったのでした。

集金人は勝手口と言うのは、本当は別に驚くことではないと思うのですよ。古いうちや農家、昔ながらの職人の家では、良くある事です。それは偉ぶっているわけではなくて、家が広すぎるので、表から呼ばれても聞こえないとかがその理由だったりするのです。ちょっと説明不足でしょうか。チャイムとかあるだろと思うかもしれませんが、そう言ううちの家族は、なぜか勝手口近くの狭い部屋に集まって、テレビの音もガンガンでチャイムの音にも鈍い事があるのです(他の経験から)
だけどここの家はちょっと意味が違うなと、私は思いました。
「集金人は脇に回って」
要するに、集金人は客に非ず、ゆえに客用玄関から来るなと言う事なんじゃないかなと感じました。しかも脇にあったのは勝手口ではなく二つ目の玄関だったのです。それは横浜生まれで、一応都会育ちの普通の生活しか知らない私には、かなりインパクトの大きい出来事でした。

だけどこの家には、それも仕方がないかと言う説得力がありました。広い敷地に大きな家、昔ながらの構え。
そしてこの並びの家々は、みな類似した作りの家なのだと気が付きました。だけどそれでもこの家は、例えるとキング。この家を訪れる事は、素敵な経験のような気がしていました。
・・・と言っても、新聞集金のお仕事自体が、私には唯一続かなかった合わないお仕事で、12回行ったか行かなかったか、ちょっと記憶にすらないのです。

だけどその仕事を止めてしまった後も、その家の前を通る時、ふと目が行く家でした。
ある雪が積もった日、たまたまその家の前を通らなくてはいけない用があって通り過ぎた時、何故カメラを持ってこなかったのだろうと悔やんだことがあります。まるでそこだけ旅行に来たような雪の中の景色だったからです。凄く美しかったのですよ。

そして、季節は過ぎていきました。

私は今、この家の人とお知り合いです。
ほんの二ヶ月前に友達を介して紹介されたのです。何でって言うのは、ぼろぼろとツイッターで呟いているので書きませんが、それで、軽口にも上に書いたようなことを言ってしまったのです。
「そんな事、私が言ったの~・・・、やっだー、ごめんね。」とその方は言ってくれましたが、私はそれにお返事もしないで、話を続けていました。家の構えの美しさを語りたかったのです。雪の日に家の写真を撮る許可も貰いました。これで人のうちをコソコソ撮る必要はなく、堂々と撮れることになりました。
今思うと、私に「集金人は・・」と言ったのは、その知り合った方が、苦労して看護をし見送ったババ様だったと思います。それに、私はそれを嫌な経験とは思っていないのです。
世の中には「へえ~」と思うようなことがいっぱい。そのちょっとした驚きは、私の心の栄養に他ならず、忘れたくないささやかな出来事だったのですから。

ところで、私のおうち大絶賛が功を奏したのか、お食事会に招待してくれました。一応は持ち寄りパーティーだったのでおかずが所狭しと並びました。上の画像がそれかと言う所ですが、実は半分。しかもメインは焼肉。最期にはシジミの味噌汁と、美味しい明太子のおにぎりが出て、さらにフルーツとぜんざいのデザートまで。
もう食べ過ぎて、バタリといくかと思いました。

この家に素晴らしいもみじの床柱があって圧倒されました。これで天井画があったら、目黒雅叙園みたいだなと思いました。

縁と言うものは不思議なものですね。
未来は見えないのです。素敵な事はこの先も待っていてくれるかもしれません。

冒険(元)少女の旅は、平面だけではなく時間軸の旅。

そんなことを思い出させてくれたひと時でした。
生意気を信条で生きている私ですが、ここはひとつ謙虚になって、今知り合った人たちの言葉に耳を傾けていきたいと思います。いろいろと学ぶ所がたくさんあります。
この縁を大切にしたいと、私は、今そう思っているところです。





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