9/11「9月 防災等安全対策特別委員会」が開催されました。
以前、ブログ上で、取組むべき課題をあげましたが、経過をご報告します。
委員会での質疑が中心ですが、それ以外もあります。
<震災からの安全>
1)銚子市の防災訓練
銚子市など災害協力協定を結んだ区市町村に対して、その地域の防災訓練実施時における協力内容はどのようになっているでしょうか?
回答:今年は、銚子市とは、相互の訓練はない。
銚子市は、10月11日土曜日に利根川の氾濫を想定して訓練予定。
(私自身は、本年の銚子市防災訓練も、視察も考えましたが、土曜日であることもあり、視察は検討中。)
2)防災拠点運営委員会、防災訓練
①各防災拠点での防災訓練実施の広報
各防災拠点の防災訓練実施を、どのように広報していくのか?外国人、企業勤務者などの参加も求めていくには?
回答:防災拠点運営委員会メンバーから周知
小坂要望:今後は、町会・自治会のホームページ作りの支援も始まることであり、そのような媒体も利用しながら、広く広報し、住民及び企業が幅広く参加する訓練を目指してください。
②防災拠点運営委員会のあり方
地域の人を巻き込んで委員会を開催・運営していくべきだと考えます。まちづくり協議会のように、その開催を広く、その地域にお知らせし、多くの地域住民や企業勤務者、NPO関係者の参加の下、その地域の防災に関する課題を話し合うことが重要だと思います。
防災の切り口で話し合うことを通して、地域コミュニティの強化・再構築も可能になると考えています。
回答:防災拠点運営委員会の設置は終ったところ。運営の支援をしていく段階へ。h難所運営を地域の力でしていくことができるようになるのが目指すところ。
地域の特性にあわせ、会議体をつくっていく。
小坂要望:開かれた会議体の運営を支援してください。
防災を切り口に、関心のある地域住民や企業の人、商店街の人が集まって、話し合いをもつこと。そのことを通じて、コミュニティ作り・強化につながると思います。
3)防災協定
築地市場と中央区との協定は、どのようになっているのでしょうか?
特に、本年9月1日から、「全国中央卸売市場協会災害時相互応援に関する協定」という協定が築地市場も全国47都市の中央卸売市場開設者を相手方としてむすんだ。これは、「全国中央卸売市場協会の加盟都市が、災害やテロ攻撃を受け、独自で生鮮食料品を被災都市の住民に十分に供給できない場合、相互応援協力として、被災都市の住民に供給する生鮮食料品の提供を行う。」という主旨である。
回答:現段階で考えていない。
<火災からの安全>
4)火災報知機設置状況
①高齢者及び障がいのある方への火災報知機設置状況、設置率
回答:福祉保健部所管。設置率という点では、既についている場合もあり、母数がはっきりしていないので、出せない。
業者がつける場合、2個で、設置費込みで7800円程度。
②設置率向上の取組み
③設置義務化に向けての、行政の支援は?例えば、町会による共同購入、消防団員による設置などは。
回答:町会で共同購入をしていることころもある。
消防団員がつけているケースもある。
小坂要望:消防団員がつけることで、顔の見える関係ができるから、その方向性が望ましいと思います。
5)火災
火災の発生状況
回答:7月以降は、7月30日、月島であり。死傷者なし。
<事故からの安全>
6)重大事故発生状況
①交通事故 死者・重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
②学校での重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
③公園での重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
④子どもの事故サーベイランス事業で上がってきた重傷者の事故発生状況
回答:4月から7月で147件上がってきている。重症、死亡はなし。
電池を飲んだケースも。
7)子どもの事故サーベイランス事業
来年度の方向性は?
回答:現在6箇所の医療機関から、事故の集計をしている。来年度も事業を続ける。転落の事故が多い。誤飲もある。
集計した情報は、チラシや、ホームページでだしていく。
来年度は、啓発を強化したい。自宅での処置などもふくめ。
小坂要望:心肺蘇生とAEDの知識の普及もよろしくお願いします。健診やポリオなどの予防接種の機会も用い、保健所の一角に、心肺蘇生の人形や解説ビデオをおいて、情報提供してはどうか。
8)東京湾大華火祭、中央区大江戸祭り盆踊り大会での事故
東京湾大華火祭の実施結果報告書の中にある医療機関送致例3件の状況
回答:船酔い、転倒、くも膜下出血(入院→手術)の3件。
9)波除神社、鉄砲図、日本橋、住吉神社、八幡神社 祭りの事故発生状況
回答:区では把握していない
<感染症からの安全>
10)麻しんの予防接種状況
①2006年 2007年のMR(麻しん風しん混合ワクチン)実施状況 23区比較で。
特に、2007年のMR2 の接種率は、23区中22位であったと聞く。
回答:
06年 MR1 93.6%、MR2 70.3%
07年 MR1 97.5%、MR2 74.9%
②今年のMR3,MR4の4月~6月の実施状況
回答:今年から開始
4月~6月実績 MR3 32.2%、 MR4 20.6%
③実施率向上のための対策は?
回答:保健所だけでなく、5月には危機管理ネットワークの会議もし、
各種団体の長の会議でも、広報している。
小坂要望:MR2は、小学生入学までの児にするもの。それが、昨年度は、非常に低い接種率であった。
これから、入学時健診が始まるが、その場では、是非、予防接種歴を聴取し、実施していない場合は、きちんと接種するように指導していただきたい。
麻しんは、罹患時、肺炎や脳炎を合併することのある重大な病気である。また、罹患後、体に入っていたウイルスが、脳に障害を起こすこと(亜急性硬化性全脳炎SSPE)がある。侮ってはならない。
(ブログ最後に麻しんの合併症を載せて起きます。)
11)新型インフルエンザ対策
①医師会との連携は?本年の訓練実施計画
回答:本年も、実施する。患者隔離の場所なども考慮して実施。1月に、聖路加国際病院とも連携し実施する。
②タミフルの貯蔵は?
回答:備蓄なし。
③プレパンデミックワクチンの実施について
回答:すでに実施しているようであるが、公表されておらず、区では把握していない。
④「新型インフルエンザ発生時に個人で出来る対策」チラシを作成しているが、周知は?
回答:昨年は、172箇所3800部配布した。これからも、啓発をしていく。
11/12には、「新型インフルエンザ」の講演会も実施する。
第2、第3のチラシなどを作成・配布し、啓発活動に力を入れていく。
以上。
*****麻しんの合併症について、国立感染症研究所ホームページより転載****
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
【麻疹の合併症】
(1)肺炎:麻疹の二大死因は肺炎と脳炎であり、注意を要する。
<ウイルス性肺炎>病初期に認められ、胸部レ線上、両肺野の過膨張、瀰漫性の浸潤影が認められる。また片側性の大葉性肺炎の像を呈する場合もある 8)。
<細菌性肺炎>発疹期を過ぎても解熱しない場合に考慮すべきである。抗生物質により治療する。原因菌は一般的な呼吸器感染症起炎菌であるStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus であることが多い。
<巨細胞性肺炎>成人の一部あるいは特に細胞性免疫不全状態時にみられる肺炎である。肺で麻疹ウイルスが持続感染した結果生じるもので、予後不良であり、死亡例も多い。発疹は出現しないことが多い。本症では麻疹抗体は産生されず長期間にわたってウイルスが排泄される。発症は急性または亜急性である。胸部レントゲン像では、肺門部から末梢へ広がる線状陰影がみられる 8)、16)。
(2)中耳炎:麻疹患者の約5~15%に合併する最も多い合併症の一つである。細菌の二次感染により生じる。乳幼児では症状を訴えないため、中耳からの膿性耳漏で発見されることがあり注意が必要である。乳様突起炎を合併することがある。
(3)クループ症候群:喉頭炎および喉頭気管支炎は合併症として多い。麻疹ウイルスによる炎症と細菌の二次感染による。吸気性呼吸困難が強い場合は気管内挿管による呼吸管理を要する(13)。
(4)心筋炎:心筋炎、心外膜炎をときに合併することがある。麻疹の経過中に一過性の非特異的な心電図異常が半数以上に見られるとされるが、重大な結果になることは稀である 8)。
(5)中枢神経系合併症:1000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併する。発疹出現後2~6日頃に発症することが多い。髄液所見としては、単核球優位の中等度細胞増多を認め、蛋白レベルの中等度上昇、糖レベルは正常かやや増加する。麻疹の重症度と脳炎発症には相関はない(16)。患者の約60%は完全に回復するが、20~40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞、痙攣、行動異常、神経聾、片麻痺、対麻痺)を残し、死亡率は約15%である 12)。
(6)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE):
麻疹ウイルスに感染後、特に学童期に発症することのある中枢神経疾患である。知能障害、運動障害が徐々に進行し、ミオクロニーなどの錐体・錐体外路症状を示す。発症から平均6~9カ月で死の転帰をとる進行性の予後不良疾患である 8)、12)、17)。発生頻度は麻疹罹患者の10万例の1人、麻疹ワクチン接種者100万人に1人である。発病までの期間は、麻疹罹患例で平均7年を要し、麻疹ワクチン接種例では平均3年で発病する。麻疹ウイルスの中枢神経系細胞における持続感染により生じるが、本態は不明である。麻疹初感染時の症状はほとんどが軽症で、その後もウイルスのM(matrixa)蛋白、H(hemagglutinin)蛋白、F(fusion)蛋白の発現に欠損が認められる欠損ウイルス粒子として存在し続ける 12)。in situ reverse transcriptase-PCR (in situ RT-PCR) により、麻疹ウイルスRNAが患者のneuron、astrocyte, oligodendrocyte,血管内皮細胞に検出されるという報告がある 18)。診断は、麻疹の既往歴があること、血清中の麻疹抗体価(HI、CF抗体価)の異常高値(>1:1280)、髄液中の麻疹抗体の存在により、容易である 8)、12)、13)。
*****転載おわり****
以前、ブログ上で、取組むべき課題をあげましたが、経過をご報告します。
委員会での質疑が中心ですが、それ以外もあります。
<震災からの安全>
1)銚子市の防災訓練
銚子市など災害協力協定を結んだ区市町村に対して、その地域の防災訓練実施時における協力内容はどのようになっているでしょうか?
回答:今年は、銚子市とは、相互の訓練はない。
銚子市は、10月11日土曜日に利根川の氾濫を想定して訓練予定。
(私自身は、本年の銚子市防災訓練も、視察も考えましたが、土曜日であることもあり、視察は検討中。)
2)防災拠点運営委員会、防災訓練
①各防災拠点での防災訓練実施の広報
各防災拠点の防災訓練実施を、どのように広報していくのか?外国人、企業勤務者などの参加も求めていくには?
回答:防災拠点運営委員会メンバーから周知
小坂要望:今後は、町会・自治会のホームページ作りの支援も始まることであり、そのような媒体も利用しながら、広く広報し、住民及び企業が幅広く参加する訓練を目指してください。
②防災拠点運営委員会のあり方
地域の人を巻き込んで委員会を開催・運営していくべきだと考えます。まちづくり協議会のように、その開催を広く、その地域にお知らせし、多くの地域住民や企業勤務者、NPO関係者の参加の下、その地域の防災に関する課題を話し合うことが重要だと思います。
防災の切り口で話し合うことを通して、地域コミュニティの強化・再構築も可能になると考えています。
回答:防災拠点運営委員会の設置は終ったところ。運営の支援をしていく段階へ。h難所運営を地域の力でしていくことができるようになるのが目指すところ。
地域の特性にあわせ、会議体をつくっていく。
小坂要望:開かれた会議体の運営を支援してください。
防災を切り口に、関心のある地域住民や企業の人、商店街の人が集まって、話し合いをもつこと。そのことを通じて、コミュニティ作り・強化につながると思います。
3)防災協定
築地市場と中央区との協定は、どのようになっているのでしょうか?
特に、本年9月1日から、「全国中央卸売市場協会災害時相互応援に関する協定」という協定が築地市場も全国47都市の中央卸売市場開設者を相手方としてむすんだ。これは、「全国中央卸売市場協会の加盟都市が、災害やテロ攻撃を受け、独自で生鮮食料品を被災都市の住民に十分に供給できない場合、相互応援協力として、被災都市の住民に供給する生鮮食料品の提供を行う。」という主旨である。
回答:現段階で考えていない。
<火災からの安全>
4)火災報知機設置状況
①高齢者及び障がいのある方への火災報知機設置状況、設置率
回答:福祉保健部所管。設置率という点では、既についている場合もあり、母数がはっきりしていないので、出せない。
業者がつける場合、2個で、設置費込みで7800円程度。
②設置率向上の取組み
③設置義務化に向けての、行政の支援は?例えば、町会による共同購入、消防団員による設置などは。
回答:町会で共同購入をしていることころもある。
消防団員がつけているケースもある。
小坂要望:消防団員がつけることで、顔の見える関係ができるから、その方向性が望ましいと思います。
5)火災
火災の発生状況
回答:7月以降は、7月30日、月島であり。死傷者なし。
<事故からの安全>
6)重大事故発生状況
①交通事故 死者・重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
②学校での重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
③公園での重傷者の事故発生状況(小坂調査中)
④子どもの事故サーベイランス事業で上がってきた重傷者の事故発生状況
回答:4月から7月で147件上がってきている。重症、死亡はなし。
電池を飲んだケースも。
7)子どもの事故サーベイランス事業
来年度の方向性は?
回答:現在6箇所の医療機関から、事故の集計をしている。来年度も事業を続ける。転落の事故が多い。誤飲もある。
集計した情報は、チラシや、ホームページでだしていく。
来年度は、啓発を強化したい。自宅での処置などもふくめ。
小坂要望:心肺蘇生とAEDの知識の普及もよろしくお願いします。健診やポリオなどの予防接種の機会も用い、保健所の一角に、心肺蘇生の人形や解説ビデオをおいて、情報提供してはどうか。
8)東京湾大華火祭、中央区大江戸祭り盆踊り大会での事故
東京湾大華火祭の実施結果報告書の中にある医療機関送致例3件の状況
回答:船酔い、転倒、くも膜下出血(入院→手術)の3件。
9)波除神社、鉄砲図、日本橋、住吉神社、八幡神社 祭りの事故発生状況
回答:区では把握していない
<感染症からの安全>
10)麻しんの予防接種状況
①2006年 2007年のMR(麻しん風しん混合ワクチン)実施状況 23区比較で。
特に、2007年のMR2 の接種率は、23区中22位であったと聞く。
回答:
06年 MR1 93.6%、MR2 70.3%
07年 MR1 97.5%、MR2 74.9%
②今年のMR3,MR4の4月~6月の実施状況
回答:今年から開始
4月~6月実績 MR3 32.2%、 MR4 20.6%
③実施率向上のための対策は?
回答:保健所だけでなく、5月には危機管理ネットワークの会議もし、
各種団体の長の会議でも、広報している。
小坂要望:MR2は、小学生入学までの児にするもの。それが、昨年度は、非常に低い接種率であった。
これから、入学時健診が始まるが、その場では、是非、予防接種歴を聴取し、実施していない場合は、きちんと接種するように指導していただきたい。
麻しんは、罹患時、肺炎や脳炎を合併することのある重大な病気である。また、罹患後、体に入っていたウイルスが、脳に障害を起こすこと(亜急性硬化性全脳炎SSPE)がある。侮ってはならない。
(ブログ最後に麻しんの合併症を載せて起きます。)
11)新型インフルエンザ対策
①医師会との連携は?本年の訓練実施計画
回答:本年も、実施する。患者隔離の場所なども考慮して実施。1月に、聖路加国際病院とも連携し実施する。
②タミフルの貯蔵は?
回答:備蓄なし。
③プレパンデミックワクチンの実施について
回答:すでに実施しているようであるが、公表されておらず、区では把握していない。
④「新型インフルエンザ発生時に個人で出来る対策」チラシを作成しているが、周知は?
回答:昨年は、172箇所3800部配布した。これからも、啓発をしていく。
11/12には、「新型インフルエンザ」の講演会も実施する。
第2、第3のチラシなどを作成・配布し、啓発活動に力を入れていく。
以上。
*****麻しんの合併症について、国立感染症研究所ホームページより転載****
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
【麻疹の合併症】
(1)肺炎:麻疹の二大死因は肺炎と脳炎であり、注意を要する。
<ウイルス性肺炎>病初期に認められ、胸部レ線上、両肺野の過膨張、瀰漫性の浸潤影が認められる。また片側性の大葉性肺炎の像を呈する場合もある 8)。
<細菌性肺炎>発疹期を過ぎても解熱しない場合に考慮すべきである。抗生物質により治療する。原因菌は一般的な呼吸器感染症起炎菌であるStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus であることが多い。
<巨細胞性肺炎>成人の一部あるいは特に細胞性免疫不全状態時にみられる肺炎である。肺で麻疹ウイルスが持続感染した結果生じるもので、予後不良であり、死亡例も多い。発疹は出現しないことが多い。本症では麻疹抗体は産生されず長期間にわたってウイルスが排泄される。発症は急性または亜急性である。胸部レントゲン像では、肺門部から末梢へ広がる線状陰影がみられる 8)、16)。
(2)中耳炎:麻疹患者の約5~15%に合併する最も多い合併症の一つである。細菌の二次感染により生じる。乳幼児では症状を訴えないため、中耳からの膿性耳漏で発見されることがあり注意が必要である。乳様突起炎を合併することがある。
(3)クループ症候群:喉頭炎および喉頭気管支炎は合併症として多い。麻疹ウイルスによる炎症と細菌の二次感染による。吸気性呼吸困難が強い場合は気管内挿管による呼吸管理を要する(13)。
(4)心筋炎:心筋炎、心外膜炎をときに合併することがある。麻疹の経過中に一過性の非特異的な心電図異常が半数以上に見られるとされるが、重大な結果になることは稀である 8)。
(5)中枢神経系合併症:1000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併する。発疹出現後2~6日頃に発症することが多い。髄液所見としては、単核球優位の中等度細胞増多を認め、蛋白レベルの中等度上昇、糖レベルは正常かやや増加する。麻疹の重症度と脳炎発症には相関はない(16)。患者の約60%は完全に回復するが、20~40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞、痙攣、行動異常、神経聾、片麻痺、対麻痺)を残し、死亡率は約15%である 12)。
(6)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE):
麻疹ウイルスに感染後、特に学童期に発症することのある中枢神経疾患である。知能障害、運動障害が徐々に進行し、ミオクロニーなどの錐体・錐体外路症状を示す。発症から平均6~9カ月で死の転帰をとる進行性の予後不良疾患である 8)、12)、17)。発生頻度は麻疹罹患者の10万例の1人、麻疹ワクチン接種者100万人に1人である。発病までの期間は、麻疹罹患例で平均7年を要し、麻疹ワクチン接種例では平均3年で発病する。麻疹ウイルスの中枢神経系細胞における持続感染により生じるが、本態は不明である。麻疹初感染時の症状はほとんどが軽症で、その後もウイルスのM(matrixa)蛋白、H(hemagglutinin)蛋白、F(fusion)蛋白の発現に欠損が認められる欠損ウイルス粒子として存在し続ける 12)。in situ reverse transcriptase-PCR (in situ RT-PCR) により、麻疹ウイルスRNAが患者のneuron、astrocyte, oligodendrocyte,血管内皮細胞に検出されるという報告がある 18)。診断は、麻疹の既往歴があること、血清中の麻疹抗体価(HI、CF抗体価)の異常高値(>1:1280)、髄液中の麻疹抗体の存在により、容易である 8)、12)、13)。
*****転載おわり****