「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

環境基本法 (平成五年十一月十九日法律第九十一号)を読む。

2012-10-10 23:00:00 | 地球環境問題
 環境基本法を読む。

 その関連法体系は、こちらで示されています。

http://www.logistics.or.jp/green/map.html


環境基本法
(平成五年十一月十九日法律第九十一号)

 第一章 総則(第一条―第十三条)
 第二章 環境の保全に関する基本的施策
  第一節 施策の策定等に係る指針(第十四条)
  第二節 環境基本計画(第十五条)
  第三節 環境基準(第十六条)
  第四節 特定地域における公害の防止(第十七条・第十八条)
  第五節 国が講ずる環境の保全のための施策等(第十九条―第三十一条)
  第六節 地球環境保全等に関する国際協力等(第三十二条―第三十五条)
  第七節 地方公共団体の施策(第三十六条)
  第八節 費用負担等(第三十七条―第四十条の二)
 第三章 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等
  第一節 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関(第四十一条―第四十四条)
  第二節 公害対策会議(第四十五条・第四十六条)
 附則


 さて、その第一条

 第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。


 この条文をどう読むか。

 環境法の授業で、学びました。


************************

この法律は、

A【規定内容(手段)】
①環境の保全について、
基本理念を定め、
並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、
②環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、

B【中間目的、直接目的】
環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、


C【最終目的】
もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに
人類の福祉に貢献することを

目的とする。

*************************


 言われてみると、目次も、そのような順でならんでいるのがわかります。
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比例原則:均衡の原則 重要判例 富山県パトカー事件(最高裁昭和61.2.27第一小法廷判決)

2012-10-09 23:00:00 | シチズンシップ教育
比例原則に関する判例を見ます。

関連法

*警察法

(警察の責務)
第二条  警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
2  警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。

(現行犯人に関する職権行使)
第六十五条  警察官は、いかなる地域においても、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百十二条に規定する現行犯人の逮捕に関しては、警察官としての職権を行うことができる。

*警察官職務執行法
第二条  警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2  その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3  前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4  警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。

*刑事訴訟法
第二百十二条  現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
○2  左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一  犯人として追呼されているとき。
二  贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三  身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四  誰何されて逃走しようとするとき。

****最高裁ホームページ******
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52182&hanreiKbn=02

事件番号

 昭和58(オ)767



事件名

 損害賠償



裁判年月日

 昭和61年02月27日



法廷名

 最高裁判所第一小法廷



裁判種別

 判決



結果

 破棄自判



判例集等巻・号・頁

 民集 第40巻1号124頁




原審裁判所名

 名古屋高等裁判所 金沢支部



原審事件番号

 昭和57(ネ)66



原審裁判年月日

 昭和58年04月27日




判示事項

 警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被つた場合において右追跡行為が国家賠償法一条一項の適用上違法であるというための要件




裁判要旨

 警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被つた場合において、右追跡行為が国家賠償法一条一項の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行するうえで不必要であるか、又は逃走車両の走行の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当であることを要する。




参照法条

 国家賠償法1条1項,警察法2条,警察法65条,警察官職務執行法2条1項,刑訴法212条

****判決文*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120546480233.pdf

 主   文

 原判決を破棄し、第一審判決中上告人の敗訴部分を取り消す。
 被上告人らの請求を棄却する。
 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。

       理   由

 上告代理人安倍正三、同山岸長嘯の上告理由第五点について
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 上告代理人中村三次、同林晃司、同菊池政八、同西尾澄男、同宮岸富美雄の上告理由第一点及び上告代理人安倍正三、同山岸長嘯の上告理由第四点について
 一 原審が適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 1(一) 富山警察署外勤課自動車警ら係巡査A、同B、同Cは、昭和五〇年五月二九日午後一〇時五〇分頃、警ら用無線自動車(パトカー富山一一号。以下「本件パトカー」という。)に乗車して富山市a町b丁目方面から同市c町d丁目e番方面に向い北進して機動警ら中、富山警察署住吉警察官派出所前の交差点付近にさしかかつた際、国道八号線(現国道四一号線)を高岡市方面から魚津市方面に向け走行中のD運転の普通乗用自動車(以下「加害車両」という。)が速度違反車であることを現認したので、直ちに約三八〇メートルの間追尾してその時速が同所の指定最高速度時速四〇キロメートルを越える七八キロメートルであることを確認した。そこで、本件パトカーは、加害車両を停止させるため赤色灯を点灯しサイレンを吹鳴して同車の追跡を開始した。
 (二) 加害車両は、時速約一〇〇キロメートルに加速して逃走し、同市f番地付近で停車したので、本件パトカーも同車の前方約二〇メートルの地点に斜めに同車の進路を塞ぐように停止したが、その間に同車の車両番号を確認した。
 (三) C、B両巡査が本件パトカーから下車し、事情聴取のため加害車両に歩み寄つたところ、同車は突如ユー・ターンして高岡市方面に向け時速一〇〇キロメートルで西進し逃走を開始した。右両巡査の乗車をまつて、A巡査は直ちに本件パトカーの赤色灯をつけサイレンを吹鳴して再び追跡を開始し、同時に富山県警察本部通信司令室を介して県内各署に加害車両の車両番号、車種、車色、逃走方向等の無線手配を行つた。そして、本件パトカーは、加害車両との車間距離約二〇メートルないし五〇メートル、時速約一〇〇キロメートルで追跡を続行したが、途中ユー・ターン地点から約九五〇メートル西進した富山交通株式会社前付近で「交通機動隊が検問開始」との無線交信を傍受した。ユー・ターン地点から同市g町交差点までの国道八号線は、東西に延びる延長約二キロメートルの四車線であるところ、加害車両は、右区間は時速一〇〇キロメートルで逃走を続けたが、その間途中トラツク一台を反対車線にはみ出して追い越し、当時同区間に設置されていたh町、i町、j町の各交差点の信号機のうち、少なくとも一か所は赤信号を無視して走行した。
 (四) 加害車両は、g町交差点にさしかかるや、同所の左折車線及び直進車線には先行車が信号待ちのため停車していたのに、減速しつつ右折車線から大回りで、赤信号を無視して左折逃走し、本件パトカーも同様の方法で左折し追跡を継続した。左折後本件事故現場に至る道路は、g町交差点からほぼ南北に延びる約一・七キロメートルの通称しののめ通りという市道であつて、k町交差点までは四車線、その後は二車線で歩道を含む道路の幅員が約一二メートルであり、最高速度は時速四〇キロメートルに指定され、道路両側には商店や民家が立ち並び、また、交差する道路も多いという状況であつた。加害車両を運転するDは、g町交差点を左折後時速約九〇キロメートルに加速して逃走したが、l町交差点付近で自車後方視界に本件パトカーが入らなくなつたので、同車を振り切つたものと考えて一たん時速を七〇キロメートルに減速した。本件パトカーは、g町交差点の左折の辺りでは加害車両との距離が開いたが、左折後時速約八〇キロメートルに加速して追跡を続行したため、加害車両との車間距離を縮め、また、A巡査は、左折直後加害車両の逃走方向を無線で手配した。
 (五) ところが、Dは、右減速後しばらくして後方に本件パトカーの赤色灯を認め、追跡が続行されていることに気付き、再び時速約一〇〇キロメートルに加速して進行し、m町交差点の黄色点滅信号、k町及びn町o丁目の各交差点の赤色点滅信号を無視して進行したが、本件パトカーは、k町交差点からは道路が片道一車線になつているうえ前方のn町o丁目交差点から道路が右にカーブしていて加害車両が見えなくなつたため、赤色灯は点灯したまま、サイレンの吹鳴を中止し、減速して進行した。
 2 Dは、赤信号を無視して富山市n町p丁目q番r号地先交差点に加害車両を進入させたため、同日午後一〇時五七分頃、同交差点内において、同交差点を同市s町方面から同市t方面に向つて青信号に従い進行中のE運転の普通乗用自動車に加害車両を衝突させ、そのため、右E運転の普通乗用自動車が折から同交差点を山室方面からs町方面に向い青信号に従つて進行してきた被上告人環運転、同F及び同G同乗の普通乗用自動車に激突して、被上告人Fは顔面挫傷等の、同環は骨盤骨折等の、同Gは大腿骨骨折等の各傷害を負つた(以下「本件事故」という。)。
 3 以上の事実関係のもとにおいて、被上告人らは、上告人に対し、上告人の警察官の追跡が違法であつたとして、国家賠償法一条一項に基づき、本件事故による損害賠償を求めたものである。
 二 原審は(一) パトカー乗務の警察官としては、交通法規違反者の追跡に当たつては、追跡行為により被追跡車両が暴走するなどして交通事故をひき起こす具体的危険があり、かつ、これを予見できる場合には、追跡行為を中止するなどして交通事故を未然に防止すべき注意義務があるところ、(二) 本件においては、加害車両の運転速度及び逃走態様、道路交通状況に照らすと、本件パトカーが追跡を続行したならば、加害車両の暴走により通過する道路付近の一般人の生命、身体等に重大な損害を生ぜしめる具体的危険が存し、また、A巡査らも右危険を予見できたものというべきであり、しかも、追跡を続行しなくても交通検問その他の捜査によりこれを検挙することも十分可能であつたから、A巡査らとしては、追跡を中止するなどの措置をとつて第三者の損害の発生を防止すべき注意義務があつたのに、これを怠り、高速度かつ至近距離で追跡を続行するという過失を犯したものであり、(三) 右追跡行為は、第三者の生命、身体に対し危害を加える可能性が高く、他の取締方法が考えられるから、被上告人らに負わせた傷害の重大性に鑑み、被上告人らに対する関係では違法性を阻却されないと判断して、被上告人らの各請求の一部を認容した。
 三 しかしながら、およそ警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断してなんらかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問し、また、現行犯人を現認した場合には速やかにその検挙又は逮捕に当たる職責を負うものであつて(警察法二条、六五条、警察官職務執行法二条一項)、右職責を遂行する目的のために被疑者を追跡することはもとよりなしうるところであるから、警察官がかかる目的のために交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被つた場合において、右追跡行為が違法であるというためには、右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要するものと解すべきである。
 以上の見地に立つて本件をみると、原審の確定した前記事実によれば、(一) Dは、速度違反行為を犯したのみならす、警察官の指示により一たん停止しながら、突如として高速度で逃走を企てたものであつて、いわゆる挙動不審者として速度違反行為のほかに他のなんらかの犯罪に関係があるものと判断しうる状況にあつたのであるから、本件パトカーに乗務する警察官は、Dを現行犯人として検挙ないし逮捕するほか挙動不審者に対する職務質問をする必要もあつたということができるところ、右警察官は逃走車両の車両番号は確認したうえ、県内各署に加害車両の車両番号、特徴、逃走方向等の無線手配を行い、追跡途中で「交通機動隊が検問開始」との無線交信を傍受したが、同車両の運転者の氏名等は確認できておらず、無線手配や検問があつても、逃走する車両に対しては究極的には追跡が必要になることを否定することができないから、当時本件パトカーが加害車両を追跡する必要があつたものというべきであり、(二) また、本件パトカーが加害車両を追跡していた道路は、その両側に商店や民家が立ち並んでいるうえ、交差する道路も多いものの、その他に格別危険な道路交通状況はなく、東山交差点からk町交差点までは四車線、その後は二車線で歩道を含めた道路の幅員が約一二メートル程度の市道であり、事故発生の時刻が午後一一時頃であつたというのであるから、逃走車両の運転の前示の態様等に照らしても、本件パトカーの乗務員において当時追跡による第三者の被害発生の蓋然性のある具体的な危険性を予測しえたものということはできず、(三) 更に、本件パトカーの前記追跡方法自体にも特に危険を伴うものはなかつたということができるから、右追跡行為が違法であるとすることはできないものというべきである。してみると、かかる状況のもとにおける本件パトカーの乗務員の追跡行為に伴う具体的危険性及び右追跡行為の必要性の有無についての判断を誤り、右追跡は違法であつたとした原審の判断には、法令の解釈適用の誤りがあり、右の違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由がある。そして、右に説示したところによれば、前記確定事実のもとにおいては、被上告人らの請求は理由かないことに帰するから、原判決を破棄し、被上告人らの各請求の一部を認容した第一審判決中右請求認容にかかる上告人の敗訴部分を取り消したうえ、被上告人の請求を棄却すべきである。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、九六条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
   
 最高裁判所第一小法廷
        裁判長裁判官  谷口正孝
           裁判官  角田禮次郎
           裁判官  高島益郎
           裁判官  大内恒夫
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祝ノーベル生理・医学賞受賞 京都大学iPS細胞研究所長山中伸弥教授

2012-10-08 23:00:00 | 医療
 本日、午後7時ごろ、朗報が飛び込んできました。

 山中信弥京大教授が、iPS細胞(新型万能細胞)に関連して、ノーベル生理・医学賞を受賞されたということです。
 授賞理由:「体細胞のリプログラミング(初期化)による多能性獲得の発見」。


 iPS細胞は、医学分野において、画期的な治療を生み出す可能性があります。
 今後の発展に期待したいと思いますし、世界をリードする医学研究が、次々と日本から生まれることを期待いたしたいと思います。

 ただただ、すごい発見だと思います。
 ある種の遺伝子を組み込むことで、体細胞が、細胞の元になる受精卵に近い細胞に逆戻りできるなんて・・・
 なぜ、その遺伝子を組み込むことを思いついたのか、興味があります。


****読売新聞(2012/10/08)******
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121008-OYT1T00570.htm
山中・京大教授にノーベル賞…iPS細胞作製


ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まり、記者会見する山中伸弥・京大教授=川崎公太撮影 スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル生理学・医学賞を、様々な種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を作製した京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)と英国のジョン・ガードン博士(79)に贈ると発表した。

 体の細胞を人為的な操作で受精卵のような発生初期の状態に戻すことができることを実証し、再生医療や難病の研究に新たな可能性を開いた点が高く評価された。山中教授は、マウスのiPS細胞作製を報告した2006年8月の論文発表からわずか6年での受賞となった。

 日本のノーベル賞受賞者は、10年の根岸英一・米パデュー大学特別教授、鈴木章・北海道大学名誉教授(化学賞)に続いて19人目。生理学・医学賞は1987年の利根川進博士以来、25年ぶり2人目。

 授賞式は同賞の創設者アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日、ストックホルムで開かれる。賞金の800万クローナ(約9500万円)は2人の受賞者で分ける。

 ◆山中伸弥(やまなか・しんや)=1962年9月4日生まれ。大阪府出身。神戸大医学部卒。大阪市立大助手、奈良先端科学技術大学院大助教授、教授を経て、2004年10月から京都大教授。10年4月から同大iPS細胞研究所長。07年から米グラッドストーン研究所上席研究員も務める。

 授賞理由は「体細胞のリプログラミング(初期化)による多能性獲得の発見」。

 人の身体は、60兆個もの細胞でできている。これらすべての細胞は、たった一つの受精卵が分裂と変化を繰り返してできる。脳や皮膚、内臓などにいったん変化した細胞(体細胞)は通常、元に戻ったり、他の細胞に変化したりしない。

 山中教授は2006年、マウスを使った実験で、わずか4種類の遺伝子を細胞に入れるだけの簡単な方法で、皮膚の細胞を受精卵に近い状態まで若返らせること(リプログラミング)に成功し、この常識を覆した。07年には、人間のiPS細胞の作製にも成功したと発表した。

 iPS細胞は、全身のあらゆる細胞に変化できる「多能性」があり、ほぼ無限に増やすこともできる。患者の体の細胞から作ったiPS細胞を使い、これまで根本的な治療法のなかったパーキンソン病や脊髄損傷の治療に道が開ける可能性がある。

 また、難病の患者からiPS細胞を作れば、発症の仕組みの解明や治療法の開発にもつながるなど、幅広い分野で応用が期待されている。

 共同受賞のガードン博士は、オタマジャクシの細胞の核を、核を除去した卵子に移植することで、同じ遺伝子をもつオタマジャクシを誕生させた。成熟した動物の体細胞にも、潜在的にすべての細胞に変化する能力が残っていることを示し、iPS細胞作製への道を開いた。

(2012年10月8日20時38分 読売新聞)
コメント (2)
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死亡診断書(死体検案書)記載マニュアル厚生労働省・ダウンロード可

2012-10-07 23:00:00 | 医療

 死亡診断書(死体検案書)記載マニュアルは、以下、厚生労働省からダウンロードできます。

 記載には、やや注意が必要な部分があります。

 もちろん、医師としては、正確な死因の記載が求められます。
 安易な病名付け、例えば、「心不全」や「呼吸不全」は、適切ではありません。

 病名は、医学的に妥当なものであるべきなのは当然ですが、書き方次第では、保険金が出る出ないの大きな差を生じることがあり、慎重さが求められます。(交通事故事案や風呂場での溺水の場合など。)
 医学的な診断の正確性を担保するため、東京都等にならった監察医制度などのような法医学解剖が適切になされる体制整備も全国的に求められています。

⇒ http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual_h23.pdf

 

医師法
第19条 
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。 

第20条 
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

第21条 
医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。



***************************
目次
1 死亡診断書(死体検案書)の意義
参考 医師臨床研修制度について

2 死亡診断書と死体検案書の使い分け
3 作成に当たっての留意事項
(1) 一般的事項

(2) 氏名・性・生年月日

(3) 死亡したとき

(4) 死亡したところ及びその種別

(5) 死亡の原因

(6) 死因の種類

(7) 外因死の追加事項

(8) 生後1年未満で病死した場合の追加事項

(9) その他特に付言すべきことがら

(10) 診断(検案)年月日等

4 その他の留意事項(厚生労働省からのお願い)
(1) 人口動態調査への協力について

(2) 死亡診断書(死体検案書)の取扱いについて

コラム「原死因ってどう決めているの?」

付録[1]出生証明書及び死産証書(死胎検案書)記入マニュアル

付録[2]疾病、傷害及び死因分類(ICD-10(2003年版)準拠)の解説



(死亡診断書の記入方法に関すること)  厚生労働省医政局

医事課企画法令係

TEL:03-5253-1111(内線 2569)

(死亡統計に関すること)  厚生労働省大臣官房統計情報部

人口動態・保健統計課

企画指導係

TEL:03-5253-1111(内線 7466)

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医師がひとりの人にする最後の仕事のひとつ:死体検案 その研修

2012-10-06 23:00:00 | 医療

 医師がひとりの人にする最後の仕事のひとつ、死体検案。
 ものすごく重要な任務です。

 その研修が、10月7日、8日開催され、受講してきます。

 2/10の講師に、「木下博之先生」とあります。高校の同級生に木下博之という親友がいたが、同姓同名だろうか?香川にうつった話は聞いていないのだけど・・・期待してネットで調べたら、同姓同名でした。残念。

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民法 第5章 第3節代理(99条-118条)を読む。「代理」を整理する。

2012-10-05 17:50:59 | シチズンシップ教育
 民法では、条文を一つずつ丁寧に理解することが大切です。

 代理は、とても重要な制度ですが、やや複雑で、きちんと整理して理解せねばなりません。
 日常生活・企業活動・行政活動の問法律題でも、代理から派生することが多々あります。


 民法第5章第3節代理(99条-118条)

1)代理とは(99条)
代理人が、本人のために、相手方に意思表示をし、又は意思表示を受けることによって、その法律効果が本人に帰属する制度。

2)代理の要件: 
    ①代理権授与
    ②顕名

3)本人のためにすることを示さない場合 
 原則:自己のためにしたものとみなす(100条本文)
 例外(100条但書き):①相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、(悪意)
            ②知ることができたときは(有過失)
   ⇒99条1項 準用 法律効果が本人に帰属


4)代理行為の瑕疵  
   原則:代理人について決する(101条1項)
   例外の要件(101条2項)(①②and)⇒本人について決する
     ①特定の法律行為をすることを受託された場合
     ②本人の指図に従ってその行為をしたとき
                

5)復代理人の専任 
        任意代理人の場合 原則:選任できない
                 例外:①本人の許諾を得たとき
                    ②やむを得ない事由があるとき
        法定代理人の場合 自己の責任で選任することができる。

6)復代理人を選任した代理人の責任 
任意代理人の場合 
 原則:選任及び監督について、本人に対して責任を負う(105条1項)
 例外:本人の指名に従って復代理人を選任したときは、責任を負わない(105条2項本文)
 例外の例外:その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながらその旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、責任を負う(105条2項但書き)

法定代理人の場合 
 原則:自己の責任で選任し、責任を負う(106条前段)
 例外:やむをえない事由があるときは、選任及び監督についてのみ、本人に対して責任を負う(106条後段)



7)表見代理
    ①代理権授与の表示による表見代理 109条
    ②権限外の行為の表見代理 110条
    ③代理権消滅後の表見代理 112条

8)無権代理  
      効果 原則:無効
         例外:本人が追認すると有効(113条1項)

      相手方の保護 催告権:114条
             取消権:115条
             無権代理人の責任 
              原則:相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う(117条1項)
              例外(117条2項) ①②③orで  ⇒117条1項適用しない
                ①代理権を有しないことを相手方が知っていたとき
                ②代理権を有しないことを過失によって知らなかったとき
                ③他人の代理人として契約をしたものが行為能力を有しなかったとき

以上

                 


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地方分権 その先の道州制に関しての私見

2012-10-05 09:31:05 | 国政レベルでなすべきこと
 「地方の疲弊」が言われて久しいです。

 この問題を解決しない限り、日本の発展はありません。


 解決の方法の選択肢のひとつとして、「地方分権」とその先にある「道州制」があるのではないでしょうか。


 ただし、気をつけねばならない点もあり、慎重に制度設計する必要があると思います。
 国民の声をきちんと反映できること、この点においてです。

 今、出されている国のかつての報告書「道州制ビジョン懇談会 平成20年 3月24日 中間報告」http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/doushuu/080324honbun.pdf(以下、「中間報告」という。) を参考にしながら、「道州制」について考えます。


Ⅰ道州制をどのようにイメージするか?


 道州制導入により、どのような地方公共団体と、国の役割分担になるかは、中間報告に書かれており、以下、引用します。

******中間報告*****

(1)基礎自治体の役割
基礎自治体は、地域に密着した対人サービスなどの行政分野を総合的に
担う基本単位である。具体的には、①住民の安全安心、消防、救急、②社
会福祉(児童福祉、高齢者福祉など)、保育所・幼稚園、③生活廃棄物収集・
処理、公害対策、保健所、④小中高等学校、図書館、⑤公園、都市計画、
街路、住宅、下水道、⑥戸籍、住民基本台帳および⑦地域振興にかかわる
産業・文化行政全般を分担する。
こうした行政需要を担うため、基礎自治体の行政能力を強化する仕組み
が必要である。また、対人サービスなど基礎自治体として行うべき仕事が
十分にできない可能性がある小規模基礎自治体への対応を別途検討しなけ
ればならない。政令指定都市や大都市圏域の基礎自治体のあり方について
もあわせて検討する。

(2)道州の役割
道州は、基礎自治体の範囲を越えた広域にわたる行政、道州の事務に関
する規格基準の設定、区域内の基礎自治体の財政格差などの調整を担う。
具体的には、①広域の公共事業(大型河川、広域道路、空港港湾の整備・
維持、通信基盤、生活環境整備など)、②科学技術・学術文化の振興、対外
文化交流、高等教育(大学相当以上)、③経済・産業の振興政策、地域の土
地生産力の拡大(林野・農地の維持)、④能力開発や職業安定・雇用対策
⑤広域の公害対策、環境の維持改善、⑥危機管理、警察治安、災害復旧、
⑦電波管理、情報の受発信機能、⑧市町村間の財政格差の調整、公共施設
規格・教育基準・福祉医療の基準の策定などを分担する。なお、住民の安
全安心については検討し、最終報告書に盛り込むこととする。また、道州
の機構は簡素を旨とし、道州内分権を徹底する。

(3)国の役割
国の役割は、国際社会における国家の存立及び国境管理、国家戦略の策
定、国家的基盤の維持・整備、全国的に統一すべき基準の制定に限定する。
具体的には、①皇室、②外交・国際協調、③国家安全保障、治安、④通貨
の発行管理及び金利、⑤通商政策、⑥資源エネルギー政策、⑦移民政策、
⑧大規模災害対策、⑨最低限の生活保障、⑩国家的プロジェクト、⑪司法、
民法・商法・刑法等の基本法に関すること、⑫市場競争の確保、⑬財産権
の保障、⑭国政選挙、⑮国の財政、⑯国の統計及び記録の16項目を基本
として検討していく。
また、生活保護、年金、医療保険等のナショナルミニマムならびに警察
治安・広域犯罪対策については、十分な議論を行い、基礎自治体と道州が
果たすべき役割と、国が責任をもつべき部分を検討する。
このように、国の役割を国家の存立や国全体にかかわるマクロな政策分
野にかかわるものに限定することによって、国家公務員数は大幅に削減さ
れるとともに、国際リスクの回避や国益の拡大など、国家として対応すべ
き課題への高い問題解決能力をもつ優れた政府を実現することができる。

******以上*******


Ⅱメリット・デメリット

 この道州制によって得られるメリット・デメリットを考えてみます。

<考えられるメリット>

*地域の実情に合った政策の実行、道州地域の発展ができる。

例えば、県道の整備に当たり、県境で急に二車線が、一車線になってしまう。県の財政状況で、幹線道路の整備が一貫してできない。
 国道の整備であれば、時間がかかる。
 道州の整備であれば、道州の合意の元、一貫した幹線整備ができる。


*現在の二重行政の無駄がなくなる。

*国が国の仕事に特化でき、国家戦略が有効に打つ建てることが可能になる。

*副次的な効果として、東京に大震災が起こったときのリスクマネジメントとなる。



<考えらえるデメリット>

*基礎自治体を合併させることは、国民の声を反映させることとは逆行し、反映から遠ざけることになる。

*地域格差ができる。

*人材不足の場合、行政能力に差ができ、住民サービスの質が落ちる地域ができる。




 以下は、中間報告記載のメリット・デメリットです。
 メリットは、一部そうかな?と思うのですが、デメリットはすべて言いえていると思います。

*****中間報告******
道州制導入のメリット

①政治や行政が身近なものになることで受益と負担の関係が明確化し、効率の低い政治行政の要求が抑制される。

②政策の意思決定過程の透明化が進み、住民参加が容易になる、

③東京一極集中が是正され、多様性のある国土と生活が構築される、

④地域の実情や特性を踏まえた迅速で効果的な政策展開が可能となる、

⑤国の縦割り機構による重複行政がなくなり、補助制度による無駄遣いや陳情合戦の非効率が改革される、

⑥十分な規模と権限を持った道州による地域経営がなされることで、広域の経済文化圏が確立される、

⑦国の役割を国家本来の機能に集中させることで、国家戦略や危機管理に強い中央政府が確立される、



道州制導入のデメリット
①国の「上からの調整機能」が失われるために、地域間の格差がかえって拡大する、

②道州に十分な人材や能力が伴わず、国の関与が続く結果となる、

③規模が大きくなることで住民との距離が広がり、住民自治が形骸化してしまう、

④道州間の企業や富裕層誘致の競争が激化し、生活者の目線から遊離してしまう、

⑤都道府県単位で育った業界や文化の団体が困る、

⑥都道府県単位で代表を出している行事等ができなくなる、

*****以上*****



Ⅲデメリットを最小にするための注意点

 デメリットを生むことを最小限抑えねばなりません。

 特に重要なのは、住民サービスの低下の防止、住民自治の形骸化の防止です。

 基礎自治体は、少なくともそのまま残す方向で、合併で規模を大きくすることは、避けるべきと考えます。
 おそらく、平成の大合併がなされた地域の皆さんは、その恩恵をどれだけ感じられているでしょうか。
 住民の声が、届きにくくなったとお感じではないでしょうか。
 主たる業務ができる役所は、遠くの一か所となったことなどにより、行政サービスが受けにくくなったとお感じではないでしょうか。

 よって、注意点として、
①やむに已まれない事情を除いては、これ以上の合併による基礎自治体の大規模化は避けるべき。基本は、基礎自治体はそのまま残す。

②道州の州庁は、道州全体の繁栄を十分に考察したうえで、小規模自治体に置くような配慮をする。(道州制導入で、道州内の一極集中を招いてはならない。)


Ⅳ道州制導入を阻むもの
 なぜ、進まないのか。

①そこには、国の仕事をそのまま一極に集中し、権限を離したくないという力学があるのだと思います。

②また、国の借金、地方の借金がありますが、税源が移動することにより、国の借金の解消方法に不利に働くところがあるのだと思われます。



Ⅴでは、どのように進むか。
①地域側からは、地域の体力をつける。NPO発展施策、住民参加施策を地方がどんどん取り入れ、受け皿整備をしていく。

②国側からは、地方分権を進めていく。そこには、一つの事務を、国がすべきか、地方がすべきか、第三者的に分析し、権限委譲を的確に進むように、代議士・議員がきちんとメスを入れる必要がある。二重行政の無駄は、早急に解消する必要がある。これは、国家予算が厳しくなる中、喫緊の課題である。

③中間報告では、東京大震災など関連して、一極集中に対するリスクマネジメントをすることが述べられているが、これは、道州制があろうがなかろうが、進めていくべきものである。

④行政の透明化が、中間報告で出ているが、これも、当然今でも進めるべきものである。


Ⅵ総括
 日本のこれからの発展を言うならば、

1)国は国の事業だけを残し、他は、地方公共団体へ権限を委譲していく。

2)その受け皿として、県単位のところを道州制へ移行させていく。

3)基礎自治体は、原則そのままとする。

4)当面、地方分権の強力な推進と、二重行政の無駄を省くことを進める。

5)税の分担、借金の分担は、衡平な仕組みを打ち立てる。

6)道州制でも同様の考え方と思われるが、司法権に関しては、道州の施策が、合理的な理由なく国民の権利を侵害するものであれば、それを正すよう国の責務として残す。


以上
 
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軽度発達障害理解のためのガイドブック(岡山県保健福祉部子育て支援課)を読む。

2012-10-04 11:23:57 | 小児医療

 岡山県作成「軽度発達障害理解のためのガイドブック」

 たいへんよくまとまっていると思います。


 日本全国、軽度発達障害の子ども達への教育の場、生活の場での適切な対応、支援が求められています。
 もちろん、ここ中央区でも。

 軽度発達障害の子ども達が、自身の可能性を最大限に伸ばすことができる教育環境を整えていかねばなりません。


*********************************

軽度発達障害理解のためのガイドブック
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/45369_159471_misc.pdf



1.はじめに…………………………………………………… 1
2.支援にかかわる人の基本について……………………… 1
3.「軽度発達障害」とは…………………………………… 3
(1)まず、発達障害とは何ですか……………………………………………………… 3
(2)あえて軽度をつけるのはなぜですか……………………………………………… 3
(3)原因は何ですか……………………………………………………………………… 4
(4)治るのですか………………………………………………………………………… 6
(5)特徴は何ですか……………………………………………………………………… 6
(6)診断について………………………………………………………………………… 9
4.発見のポイントと関わり方について……………………12
(1)乳児期………………………………………………………………………………12
(2)幼児期~特にAD/HD、PDD、アスペルガー障害を中心に~ …………………13
(3)児童期………………………………………………………………………………19
(4)思春期………………………………………………………………………………27
5.さいごに……………………………………………………31


【執筆協力者】
中 島 洋 子まな星クリニック 院長児童精神科医師
笹 野 京 子なのはなクリニック院長児童精神科医師
岡 田 あゆみ岡山大学医学部・歯学部附属病院小児科小児科医師
萩 原 順 子岡山県福祉相談センター 元障害者相談課長臨床心理士
小 寺   嗣岡山県中央児童相談所 元判定課長臨床心理士
西   佐衛子岡山県倉敷児童相談所 判定課
福 田 敏 隆岡山県津山児童相談所 業務課臨床心理士
山 口 温 代岡山県倉敷児童相談所 措置課
永 冨 徹 志岡山県中央児童相談所 元判定課
【本文イラスト】
阪 本 清 美岡山県倉敷児童相談所 判定課
【資料編協力】岡山県保健福祉部健康対策課
【事務局】岡山県保健福祉部子育て支援課


************************************

1.はじめに
平成17年4月1日に発行した“軽度発達障害理解のためのガイドブック”が残り少なく
なったので、これまでに利用してくださった方々のご意見を参考に、より中身の濃いもの
にとの思いで改訂しました。なお、配布先としては前回と同様、子どもと保護者の身近な
相談者である保育士、保健師、教員等を想定しています。
内容については、本文と資料編の2本仕立てとしました。前回の資料編のうち、調査1
「発達障害に関する意識調査」と、調査2「軽度発達障害の行動化予防に向けて」は削除
しました。そして、中学校や高等学校からも需要があったことから、範囲を思春期にまで
に拡大し、それぞれの発達段階に応じた発見・かかわり方のポイントについて述べました。
「発達障害」という用語は、平成17年4月1日施行の発達障害者支援法の影響もあり、
世間に広く知られるようになりました。しかし、未だに支援体制は十分とは言えず、二次
的問題の発生が危惧されています。不登校、場面緘黙、非行、虐待等の問題が発生しやす
いこと、いじめ問題の背景に軽度発達障害を持つ子どもが多いのも現状です。
また、少年事件の加害者・被害者となって初めて支援につながる、あるいは社会に出て
幾多の挫折を経てから支援につながる子どもたちもいます。軽度発達障害を持つ子どもた
ちが、このような深刻な状況におちいることなく、いきいきと自分らしくくらしていくこ
とができるようにと願い、ガイドブックを改訂しました。広く利用していただければ幸い
です。


2.支援にかかわる人の基本について
ここでは、まず「軽度発達障害」と呼ばれている子どもたちの支援にかかわる人の基本
的な姿勢を示しておきたいと思います。
私たちが目指すのは、どのような子どもでもいきいきと自分らしくくらせる環境を提供
することです。そのためには、まず身近な家族を支援することから始めることが多いと思
います。それは間違いではありません。家族も広い意味では支援の利用者だからです。
実際、支援にかかわる人は、家族の負担の解消ばかりに目を奪われてしまいやすいとい
う現実があります。しかし、家族の負担を解消したことで、子どもの権利が侵害されるよ
うな結果になってはいけません。支援を受ける主体は「軽度発達障害」と呼ばれる子ども
たちなのです。支援にかかわる人は、常にそのことを忘れないように支援をしていく必要
があります。
さらに、どのような障害を持っている子どもであっても、そうでない子どもと同じ成長
- 1 -
の時期やくらしの場面を共有しています。そこには、障害にとらわれない共通のくらしの
課題があります。支援にかかわる人は、その点も見落としてはいけません。障害の有無に
かかわらず、各発達段階の課題を乗り越えていけるように、子どもの成長を支援する必要
があるのです。
どのような支援でも、一方的に押しつけるものではありません。一緒につくるという姿
勢が大切です。そのためには、まず子どもや家族がどのようにくらしているのか、その全
体像を把握することが重要です。また、困難におちいっていることと、その周辺の問題だ
けに焦点を合わせないことです。子どもや家族の持つ力を大切にしましょう。
それから、子どもや家族がどのような支援を望み、また必要としているのかを把握し、
支援にかかわる人はそれを共有することも重要です。家庭や学校でのくらしの場面をイメ
ージし、何が必要なのかを具体的にしながら、話し合いを重ねましょう。
なお、支援にかかわることは、子どもや家族のくらしに大きく関与することになります。
支援の仕方によっては、子どもや家族の人権を侵害することにもなりかねません。そのこ
とには、常に注意を払う必要があります。

支援にかかわる人が考えておくべき点を以下に引用しました。

引用文献:★中野敏子、滝沢久美子、福知栄子、森山千佳子
「誰のため何のためどう活かすあなたの支援「基本のキ」『障害』のある学齢期の子どもとと
もに」太揚社より引用(2005)
・わからないといえること。わかったふりをしない
・調べておきます。必ず連絡します。一緒に調べていきましょう。
そのひとことが重要
・今日は、話してよかったという気持ちを大事に
・痛みをわかる人、痛みをわかろうとする人
・知識にこだわる 危険
・話しを聴けたことと、「できる」こととは違う
・見通しをなくすと苦情になる
・よかれと 思ってしているところに 課題がある
- 2

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「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」(H24.3.28公布 H24.10.1施行)を読む。

2012-10-04 10:05:08 | シチズンシップ教育

 「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」が平成24年10月1日施行されました。

 以下、8条、9条の内容が禁止されます。


 条例の文言が、漠然不明確、過度に広範な場合、条例の機能を果たすことが難しくなる場合があります。

 子ども達を性犯罪から守ることは、絶対に必要なことです。

 一方、子ども達は、地域に見守れながら、育つ存在です。
 地域の子ども達への声掛けもまた、大切であり、それへの影響がない条例であることを望みます。



(不安を与える行為の禁止)

第八条 何人も、親権者、未成年後見人、学校等の職員その他の者で現にその監督保護をするもの(以下「監督保護者」という。)が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、挨拶、防犯に関する活動等の社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。

一 甘言又は虚言を用いて惑わし、又は欺くような言動をすること。

二 義務のない行為を行うことを要求すること。

(威迫する行為等の禁止)

第九条 何人も、その監督保護者が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。

一 いいがかりをつけ、又はすごむこと。

二 身体、衣服等を捕らえ、又はつきまとうこと。






***************************************

○大阪府子どもを性犯罪から守る条例
http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/ak20115831.html


平成二十四年三月二十八日

大阪府条例第二号

大阪府子どもを性犯罪から守る条例を公布する。

大阪府子どもを性犯罪から守る条例

次代の社会を担う子どもが、健やかに成長し、安全に安心して暮らせることは、府民全ての願いである。

しかしながら、子どもの心身に重大な被害を及ぼす犯罪が後を絶たず、とりわけ子どもに対する性犯罪は、その人権及び尊厳を踏みにじる決して許すことのできない犯罪であり、身体的及び心理的に深刻な影響を与え、子どもの健やかな成長を著しく阻害するばかりでなく、その家族はもとより地域社会にも重大な影響を及ぼすことになる。

また、犯罪に至らないまでも、子どもや保護者、地域社会に不安を与える事象の発生も少なくない。

これらの状況を踏まえ、子どもに対する性犯罪を未然に防止し、その安全を確保するためには、私たち一人ひとりが子どもを性犯罪から守ることに対する理解を深め、府、市町村、事業者、府民等が一体となった取組を展開することが不可欠である。

社会全体で子どもを性犯罪から守ることを基本に、子どもが性犯罪の被害に遭わない、その加害者を生み出さない社会の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、子どもに対する性犯罪を未然に防止するため、府、事業者及び府民の責務を明らかにするとともに、子どもの安全を確保するための取組を推進し、及び必要な規制等を行い、もって子どもが健やかに成長し、安全に安心して暮らせる社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 子ども 十八歳未満の者をいう。

二 性犯罪 次に掲げる罪をいう。

イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十六条から第百七十九条まで、第百八十一条、第二百二十五条(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十八条(同法第二百二十五条に係る部分に限る。)、第二百四十一条及び第二百四十三条(同法第二百四十一条に係る部分に限る。)の罪

ロ 盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条(刑法第二百四十一条前段の罪又はその未遂罪を犯す行為に係る部分に限る。)の罪

ハ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第七条第三項の罪

ニ イからハまでに掲げるもののほか、自己の性的好奇心を満たす目的で犯した罪

(府の責務)

第三条 府は、市町村、事業者、府民等と連携して、社会全体で子どもを性犯罪から守るために必要な施策を実施する責務を有する。

2 府は、事業者及び府民が、子どもを性犯罪から守るために行う自主的な活動を促進するため、必要があると認めるときは、助言その他の必要な支援の措置を講ずるよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第四条 事業者は、社会の一員として子どもを性犯罪から守るために積極的に行動するよう努めるとともに、府が実施する子どもを性犯罪から守るための施策に協力するよう努めるものとする。

(府民の責務)

第五条 府民は、日常生活における子どもの安全の確保に努めるとともに、府が実施する子どもを性犯罪から守るための施策に協力するよう努めるものとする。

(適用上の注意)

第六条 この条例の適用に当たっては、性犯罪の被害を受けた子ども及びその関係者の名誉又は平穏な生活を害することのないよう十分配慮しなければならない。

(啓発活動等)

第七条 府は、子どもに対する性犯罪を未然に防止し、その安全を確保することについて、府民の理解を深めるために必要な広報その他の啓発活動を推進するものとする。

2 府は、子どもを性犯罪から守るための教育を充実するよう努めるものとする。

(不安を与える行為の禁止)

第八条 何人も、親権者、未成年後見人、学校等の職員その他の者で現にその監督保護をするもの(以下「監督保護者」という。)が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、挨拶、防犯に関する活動等の社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。

一 甘言又は虚言を用いて惑わし、又は欺くような言動をすること。

二 義務のない行為を行うことを要求すること。

(威迫する行為等の禁止)

第九条 何人も、その監督保護者が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。

一 いいがかりをつけ、又はすごむこと。

二 身体、衣服等を捕らえ、又はつきまとうこと。

(禁止行為に係る通報)

第十条 前二条に規定する行為に該当すると認められる行為を発見した者は、監督保護者に連絡し、又は警察官に通報するよう努めるものとする。

2 前項の規定による連絡を受けた監督保護者は、前二条に規定する行為に該当すると認められる行為が発生した旨を警察官に通報するよう努めるものとする。

3 第一項の規定による連絡又は通報を行う者は、前二条に規定する行為に該当すると認められる行為を受けた者の不安の軽減を図るよう努めるものとする。

(不安を与える行為の禁止等に関する配慮事項)

第十一条 第八条及び第九条の規定の適用に当たっては、挨拶、防犯に関する活動等を阻害することのないよう十分配慮するものとする。

(住所等の届出義務)

第十二条 子どもに対し、第二条第二号イからハまでに掲げる罪を犯し、これらの罪に係る刑期の満了の日から五年を経過しない者で府の区域内に住所を定めたものは、規則で定めるところにより、当該住所を定めた日から十四日以内に、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

一 氏名

二 住所

三 性別

四 生年月日

五 連絡先

六 届出に係る罪名

七 刑期の満了した日

2 前項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたとき(次項に規定する場合を除く。)は、その日から十四日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

3 第一項の規定による届出をした者が新たに府の区域外に住所を定めることとなった場合は、その旨を知事に届け出なければならない。

(社会復帰に関する支援)

第十三条 知事は、前条第一項の規定による届出を受けたときは、訪問等により届出の内容を確認した上で、その確認が得られた者(以下「社会復帰支援対象者」という。)に対し、社会復帰に関する相談その他必要な支援(以下「社会復帰支援」という。)を行うものとする。

2 社会復帰支援を行うに当たっては、社会復帰支援対象者の意に反して、その家族、近隣住民その他の関係者にその事情を知られないよう十分配慮しなければならない。

(警察本部長に対する協力の依頼)

第十四条 知事は、前条の規定に関し、警察本部長に対して協力を求めることができる。

(個人情報の管理)

第十五条 知事は、社会復帰支援を行うために第十二条第一項の規定による届出により収集した個人情報(大阪府個人情報保護条例(平成八年大阪府条例第二号)第二条第一号に規定する個人情報をいう。)について、別に定めるところにより、適正に管理しなければならない。

(規則への委任)

第十六条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

一 常習として第八条の規定に違反した者

二 第九条の規定に違反した者

第十八条 第十二条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、五万円以下の過料に処する。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成二十四年十月一日から施行する。

(経過措置)

2 第十二条の規定は、この条例の施行の日前に第二条第二号イからハまでに掲げる罪を犯し、これらの罪に係る刑期が満了した場合については、適用しない。



*****大阪弁護士会******
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/kanri/db/info/2012/2012_4f55c6709de0d_0.pdf

大阪府子どもを性犯罪から守る条例制定に反対する会長声明

今般、大阪府議会に上程された「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」(以下「条例」と
いう。)では、①保護年齢を13歳未満の子どもとして「子どもに不安を与える行為」、「子
どもを威迫する行為」を犯罪として罰則を設け(いわゆる「声掛け規制」8条、9条、1
7条)、かつ、②性犯罪刑期満了者に対し、居住地、氏名、読み仮名、性別、生年月日、連
絡先、罪名、出所年月日を知事に届け出なければならないとし、違反者には過料の行政罰
を科すことを新たに提案している(「住所等の届出義務」12条、18条)。

まず、「声掛け規制」は、挨拶や防犯などの活動に配慮し(11条)、これら社会通念上
正当な場合を除くことになっているが(8条、9条)、社会通念上正当な理由がある場合と
それ以外の場合とを明確に外観上区別することは出来ない。具体的にどのような行為を行
えば処罰されるのかが不明確であることは、罪刑法定主義との関係で許されない。しかも、
条例は、市民に対して警察への通報を求めている(10条)。つまり地域住民は、子どもと
関わりを持つ大人に対しては、まず疑いをもつことが求められ、とりあえず通報すること
を奨励されかねない。このような条例は、地域のコミュニティの破壊につながり、逆に子
どもの成長の機会をも奪いかねない。

次に、届出義務を課される情報は、「罪名、出所年月日」が含まれる以上、全体とすれば
前科にかかわる事実に他ならず、高度にプライバシー性の高い情報である。このような情
報に罰則を伴った届出義務を課すことは、一連の最高裁判例(前科にかかわる事実を公表
されない利益が法的保護に値すると判示した平成6年2月8日判決(ノンフィクション「逆
転」事件)、及び個人情報について自己の欲しない他者にみだりに開示されない期待が法的
保護に値すると判示した平成15年9月12日判決(早稲田大学江沢民主席講演会名簿提
出事件))に照らしても許されないことは明白である。条例は、「社会復帰に関する相談そ
の他必要な支援」を行うと規定している(13条)が、これだけではプライバシー侵害を
正当化はできない。そもそも、条例にいう「社会復帰に関する支援」とは何を指すのか全
く不明のままであるし、条例の前文、第1条「目的」には、「社会復帰」の文言すらない。
しかも、条例では、「社会復帰に関する支援」について「警察本部長に対する協力の依頼」
を定めている(14条)。警察が協力する「社会復帰に関する支援」とは、結局は対象者の
監視を意味するのではないかと大いに疑問が残る。さらに、条例は、届出情報について、「適
正に管理しなければならない」(15条)と規定するだけである。届出情報が漏洩した場合
の被害が甚大であることは容易に推察されるところ、条例の管理規定はあまりにも不十分
である。そもそも、どのように厳格な管理を行うにしても、情報漏洩のリスクがなくなる
ことはないことを看過してはならない。

本会は、本年1月25日付けの意見書において同趣旨の意見を述べたところであるが、
以上のとおり、この条例は問題点が多いうえ、出所後の子どもを対象にした暴力的性犯罪
者の再犯率は必ずしも高いと言うことはできず条例を基礎づける立法事実もない。したが
って、その制定には反対である。

2012年(平成24年)3月6日

大阪弁護士会
会 長 中 本 和 洋

*****産経新聞(2012/9/30)******
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120930/osk12093021500011-n1.htm
性犯罪前歴者の住所届け出義務付け 大阪府で子供を守る条例 1日から施行
2012.9.30 19:32
 大阪府が18歳未満の子供に対する性犯罪前歴者に居住地の届け出を義務付ける全国初の条例が10月1日施行される。条例をめぐっては法務省が対象者の罪名や刑期満了の時期について府の照会に応じることを了承しているが、出所者が居住地を届け出ない限り、府は把握できないという課題があり、施行後の実効性にも注目が集まる。

 条例は橋下徹知事(現大阪市長)が大阪の性犯罪認知件数が全国最悪という状況を受け制定を目指した。対象は18歳未満に対する強姦や強制わいせつなどの罪で服役し、10月1日以降に刑期を終える出所者。氏名▽住所▽連絡先▽罪名など7項目を府に報告するよう定めており、違反者には5万円以下の科料が課せられる。届け出期間は出所後5年間。

 運用は大阪府内に居住する意思を示した出所予定者に対し、刑務所が条例の趣旨を説明。出所後、府に同意書とともに7項目を届け出ると、府が刑務所に罪名などを照会する仕組みになっている。

 府は届け出を基に住居や就労などを支援するほか、府の委嘱を受けた臨床心理士らが再犯防止のための専門プログラムで支援。必要に応じて専門機関での治療も行う。

 ただ、出所者が届け出ないまま府内に居住しても府にその情報を得る手段はない。府の担当者は「条例は決して前歴者を排除するものではない」と強調。「出所者をサポートすることで再犯を防ぐことが、子供を守ることにつながる」と話している。


*****産経新聞(2012/9/30)******
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120930/osk12093021510012-n1.htm
「遊ぼう」「お菓子をあげる」…声かけ規制 子供への性犯罪防止へ
2012.9.30 19:32
 今回の大阪府の条例のもう一つの特徴は、子供への「声かけ」などを規制し、罰則を盛り込んだことだ。同種の条例は、小1女児誘拐殺人事件を受けて平成17年に施行した奈良県に次いで2番目。声かけは性犯罪の前兆行動とされており、大阪府警は子供に対する性犯罪被害の未然防止策としても期待を寄せる。

 子供を狙った強制わいせつ事件は多発傾向にある。府警によると、平成23年の18歳未満に対する府内の強制わいせつ事件は過去5年で最多の506件に上った。被害者の多くは小学生以下の児童で、下校時間帯に集中しているという。

 こうした事件の多くは、「遊ぼう」「お菓子をあげる」などの声かけがきっかけとなる例が目立つ。府警が今年8月に強制わいせつ容疑で逮捕した男(25)は、小学生の女児に「猫を探して」と声をかけて団地の階段に連れ込み、体を触るなどのわいせつ行為におよんでいたという。

 23年の13歳未満の子供に対する声かけ事案の認知件数も、強制わいせつと同様に過去5年で最多で、前年比68件増の609件に上っている。

 条例では常習的な声かけや、言いがかりをつけたりつきまとったりする行為を禁じ、違反者には30万円以下の罰金または拘留などの罰則を設定。また、行為を目撃した場合には警察に通報するよう求めている。捜査関係者は「これまで声かけなどの行為に対しては、法的根拠がなく取り締まりが難しかった。条例施行で性犯罪の予防的効果も期待できる」と話している。

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メモ:パニック障害も「傷害」にあたると初判断 岡山地裁H24.9.28

2012-10-03 17:11:43 | シチズンシップ教育

パニック障害も傷害にあたるという判決(岡山地裁H24.9.28)があったと報告のブログがありました。

「パニック障害も「傷害」にあたると初判断」
http://sakuragaoka-lo.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-5882.html

 

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地方自治法236条2項の規定にもかかわらず,消滅時効の成立を認めない理論的根拠 藤田宙靖氏

2012-10-02 23:00:00 | シチズンシップ教育
 法で定められているにもかかわらず消滅時効を認めさせないことは、できるのか。


 地方自治法236条をみるに、

  第八節 時効

(金銭債権の消滅時効)
第二百三十六条  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、五年間これを行なわないときは、時効により消滅する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
3  金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利について、消滅時効の中断、停止その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき法律の規定がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定を準用する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
4  法令の規定により普通地方公共団体がする納入の通知及び督促は、民法第百五十三条(前項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。


<在ブラジル被爆者健康管理手当等請求事件>で、藤田裁判官が述べられた、上記法律の解釈。

【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成18年(行ヒ)第136号
【判決日付】 平成19年2月6日

*****

裁判官藤田宙靖の補足意見は,次のとおりである。

 私は,法廷意見に賛成するものであるが,地方自治法236条2項の規定にもかかわらず,本件において消滅時効の成立を認めない理論的根拠について,若干の補足をしておくこととしたい。

 信義誠実の原則は,法の一般原理であって,行政法規の解釈に当たってもその適用が必ずしも排除されるものではないことは,今日広く承認されているところである。地方自治法236条2項の解釈・適用に当たってもこのことは変わらないのであって,住民が権利行使を長期間行わなかったことの主たる原因が,行政主体が権利行使を妨げるような違法な行動を積極的に執っていたことに見出される場合にまで,消滅時効を理由に相手方の請求権を争うことを認めるような結果は,そもそも同条の想定しないところと考えるべきである。その意味において,本件のようなケースにおいては,同条2項ただし書にいう「法律に特別の定めがある場合」に準ずる事情があるものとして,なお時効援用の必要及びその信義則違反の有無につき論じる余地が認められるものというべきである。

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山の上ホテル 下水道料不正未払い 都、5000万円請求方針(徴収を免れた金額五倍に相当する金額以下)

2012-10-01 16:16:09 | シチズンシップ教育
 不正配管を利用した下水道料金の支払い逃れ、老舗ホテルである「山の上ホテル」で行われていたとのこと。

 記事で、気になったのは、老舗山の上ホテルが、不祥事を起こしたという事実とともに、“5倍以下の過料”という定めのこと。
 「東京都下水道条例」第26条でそのようになっているのですね。

 実際は、“2倍の過料”をしたと東京都は広報しています。
 裁量権の幅が、あるということでしょうか。
 水量計を通さないバイパス管をつくるという不正に対し、5倍ではなく2倍でよいとした「比例原則」のような根拠はあるのかな?


****下水道法****
第五章 罰則


第四十五条  公共下水道、流域下水道又は都市下水路の施設を損壊し、その他公共下水道、流域下水道又は都市下水路の施設の機能に障害を与えて下水の排除を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2  みだりに公共下水道、流域下水道又は都市下水路の施設を操作し、よつて下水の排除を妨害した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第四十六条  第十二条の五(第二十五条の十第一項において準用する場合を含む。)若しくは第三十七条の二の規定による公共下水道管理者若しくは流域下水道管理者の命令又は第三十八条第一項若しくは第二項の規定による公共下水道管理者、流域下水道管理者若しくは都市下水路管理者の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第四十六条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第十二条の二第一項又は第五項(第二十五条の十第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二  第十二条の九第二項(第二十五条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
2  過失により前項第一号の罪を犯した者は、三月以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。

第四十七条  第三十二条第七項の規定に違反して土地の立入り又は一時使用を拒み、又は妨げた者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第四十七条の二  第十二条の三第一項又は第十二条の四(第二十五条の十第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

第四十八条  第十一条の三第三項又は第四項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第四十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一  第十一条の二又は第十二条の三第二項若しくは第三項(第二十五条の十第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二  第十二条の六第一項(第二十五条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三  第十二条の十二(第二十五条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による記録をせず、又は虚偽の記録をした者
四  第十三条第一項(第二十五条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
五  第三十九条の二の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第五十条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第四十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第五十一条  第十二条の七又は第十二条の八第三項(第二十五条の十第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。


****東京都下水道条例*****
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/jigyou/hourei/jourei.htm
第六章 罰則

 (罰則)
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の過料に処する。
一 第四条第一項、第二項若しくは第三項、第六条第二項、第八条、第十二条第一項若しくは第二項又は第十七条の三の規定による届出を怠つた者
二 第五条第三項の規定に違反した者
三 第七条の規定に違反して排水設備の新設等の工事を施行した者
四 第七条の十四第四項の規定に違反した者
五 第九条第一項の規定に違反してし尿を排除した者
六 第十六条第三項の規定による装置の取付けを拒否し、又は妨げた者
七 第二十一条の規定による資料の提出を求められてこれを拒否し、又は怠つた者
八 第四条第一項、第二項若しくは第三項、第六条第二項、第八条、第十二条第一項若しくは第二項若しくは第十七条の三の規定による届出書、第十七条第一項の規定による申告に係る書類、第二十一条の規定による資料又は第二十二条の規定による申請書に不実の記載をして提出した者

第二十六条 偽りその他不正な手段により料金又は手数料の徴収を免れた者は、その徴収を免れた金額の五倍に相当する金額(当該五倍に相当する金額が五万円を超えないときは、五万円とする。)以下の過料に処する

第二十七条 法人の代表者または法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、各本条の過料を科する。


*****東京都 広報******
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/10/20ma1300.htm

井戸水利用に伴う公共下水道の不正使用に対する過料処分等について

平成24年10月1日
下水道局

 このことにつきまして、下記のとおり、東京都下水道条例に基づき、不正に免れた下水道料金の徴収及び不正使用等に対する過料処分を行いましたので、お知らせします。



1 対象者(被処分者)

 株式会社山の上ホテル(千代田区神田駿河台1丁目1番地)

2 不正使用の態様

 被処分者は、井戸水を利用して公共下水道を使用するには下水道局への届出が必要であることを知りながら、下水道料金を免れる目的で、無届で同ホテル本館の井戸水使用を開始して公共下水道へ排出した。
 また、井戸水使用量を計測する量水器を迂回するバイパス管を設置し、これを利用して使用量を実際より少なく偽ることで、下水道料金を不正に免れていた

3 不正に免れた下水道料金
•不正使用期間
平成21年4月5日~平成24年6月21日
•不正に免れた水量
49,607立方メートル
•不正に免れた下水道料金
17,970,135円

4 過料処分
1.井戸水利用に伴う公共下水道使用届出書の無届に対して(下水道条例第25条)
50,000円の過料

2.下水道料金を不正に免れたことに対して(下水道条例第26条)
免れた料金の2倍(35,940,270円)の過料





*****東京新聞(2012/10/01)******
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012100190135443.html
【社会】


山の上ホテル 下水道料 不正未払い 都、5000万円請求方針

2012年10月1日 13時55分

 川端康成や三島由紀夫ら文豪が利用した老舗「山の上ホテル」(東京都千代田区)が二〇一〇年ごろから、井戸水の使用量を過少申告し、下水道料金の支払いを不正に免れていたことが、都や関係者への取材で分かった。都は一日、不正な配管を設置するなど手口が悪質として、料金の未払い分に過料を上乗せした約五千万円を請求する方針を固めた。

 不正配管を利用した下水道料金の支払い逃れは一昨年ごろから、全国の温浴施設などで相次いで発覚したが、都内では初めて。

 下水道料金は、水道や井戸の給水量の合計で算定される。井戸の配管には水量を測る検針メーターが取り付けられ、くみ上げ量を自治体が検針して料金を請求する。

 下水道局によると、山の上ホテルは一〇年五月に井戸の使用を届け出たが、メーターを迂回(うかい)させる配管を使い、給水量を実際の使用量より少なく見せかけていた

 下水道局は今年六月下旬、井戸水の使用量が月ごとに大きく変動していることなどから、ホテルを立ち入り調査し、不正が発覚した。その際は、メーターの設置された配管には水が流れないよう弁が閉められていた。

 都のホテルへの聞き取り調査では、通常は閉まっている弁を検針前などに従業員が開いていたという。下水道局は、井戸水の使用量がゼロだと不審に思われるため、メーターの使用量を調整していたとみている。

 都は、不正発覚後の給水量との比較から、毎月千~千五百トンの水が不正に使われたとみている。下水道料金にすると、年に数百万円になる

 都の条例では、未払い分に加え、最大五倍までの過料を徴収できると定められている。担当者は「料金逃れが法律違反に当たらないか警視庁に相談する」としている。

 一方、ホテル役員は本紙の取材に「ごまかすために配管を設置したわけではなく、不正請求の認識はなかった」と回答した。

<山の上ホテル> 1954(昭和29)年開業の老舗ホテル。所在の千代田区神田駿河台の周囲に出版社が多かったことから、作家が執筆に使ったことで知られる。池波正太郎や山口瞳らが定宿にした。本館の建物は37年に文化事業団体によって建設され、太平洋戦争中は旧海軍が使用。敗戦後は、連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、ホテル名は、当時の建物の愛称「ヒルトップ」にちなんで付けられた。

(東京新聞)


*****朝日新聞(2012/10/02)*****
http://www.asahi.com/national/update/1002/TKY201210020133.html
老舗・山の上ホテル、下水道代不正 5400万円請求


 下水道料金約1800万円を不正に免れたとして都は1日、山の上ホテル(千代田区)に料金と過料の計約5400万円を請求した、と発表した。

 都下水道局によると、同ホテルは2009年4月~今年6月、井戸水の使用量を計測する量水器を迂回(うかい)するバイパス管を設置。実際よりも使用量を少なく見せかけていたという。ホテル側は「コスト削減のためだった」と不正を認め、支払いに応じる意向だという。

 配管による下水道料金の支払い逃れは各地の温泉施設で発覚しているが、都内では初めて。同ホテルは1954年開業の老舗で、川端康成や三島由紀夫ら文豪が通ったことで有名だ。
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