京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「古典の日」

2013年11月02日 | 講座・講演

11月1日「古典の日制定記念 古典の日フォーラム2013」が京都コンサートホールで開催されました。
古典の日推進よびかけ人の瀬戸内寂聴さん。小学生の頃に因幡の白ウサギを演じた思い出を通し、「日本人はみんな小さいうちから知らず知らず古典にとりまかれて成長しているものなのですね」と。古典を誇りにして後世に伝えようと、ご挨拶がありました。

クラッシック演奏のあとは、女優の浅野温子さんの古事記を題材にした読みがたり、「大国主神 義父が与えた最後の試練」です。舞台を大きく動き回りながら感情豊かに1人3役を演じ分けて、迫力もある素晴らしい世界に誘われました。現代的な解釈、わかりやすい言葉での脚本だったから尚更です。素足にジーンズ、白のブラウス姿で登場でした。

そして、作家の浅田次郎氏が「私の中の古典文学」と題して講演されました。今、多くの小説が書店に並ぶ。商業ベースによる淘汰もあるが、それを読む人の力による淘汰もあるのだと。消えずに100年、500年と読み継がれる作品のすごさ…。
「芸術は娯楽で、人生を豊かにする最高のもの」だから楽しむことが大切。小説を書くときには自分の憲法を作っているそうで、改憲のないその3本の柱に「美しく書く・わかりやすく書く・面白く書く」を挙げてお話でした

文章を書き足すのではなく、不要な物をすべて除き真髄を見つめていく「平家物語」の文章。中島敦『山月記』の書き出しに見る無駄のない、美しい文章。史記の読み下しぶんの美しさ。陶淵明の美しい詩。陸游。芥川龍之介作品の無駄なく的確で、気品のある美しい文章。
古い作品をに学び、言っても言っても言い足りぬで膨らんだ文章ではなく、3行書くところをなんとか1行にできないものかと文章を練ると。手書きの作家です。

歴史に淘汰されてきた古典を咀嚼しながら伝えていく。それには「読む時間」を作ることで、それが古典を伝えることになるとも…。
コメント (8)
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