京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

2017年10月05日 | 映画・観劇

  【どんな相談にも真剣に考え応えてくれる雑貨店
   そんな「ナミヤ雑貨店」に訪れた、たった一夜の優しい奇蹟
   時を超えた手紙が、彼らの未来を変えた—】          公式サイトより

原作を読んでおらず、大まかなストーリーを仕込むこともないままで、映画を観た。

背景の年代が交錯するので、少々戸惑いを感じることはあったが、「たった一夜」の話として何ともうまく構成され、「すごい!」と思った。ただ、「すごい」という表現には、自分のメッセージとして発信するものをなんら含んでいない、ということを学んだことがあったのを思い出す。「すご~い。すごい」と耳にして、「すごいって、いったい何がすごいの!?」と思うのに、そんな自分が、ただ「すごい!」と感想に変えていてはいけないのだろう。でも、よくできている。感動した!(ってのもどこかで聞いたけど…)

悩み事相談で投函された手紙に返信を認めるナミヤ雑貨店の店主が、自分の言葉は<答え>を求めた人の人生を迷わせたのではないかと自省する場面があった。けれど、人は<答え>を求めたのではないのかもしれない。自分に当てられた言葉をきっかけに、内ある思いが促され、自らの道を模索し始めるのだ。自分自身で自らの道を歩むために。

          

見知らぬ相手が発した言葉が、夢への推進力になる。生き方を変える原動力にもなる。価値観が揺すぶられ、自分と向き合い、思わぬ可能性を自分の中に見出すことだってあるだろう。言葉は人と人とをつなぐ。人はそこに心を結ぶ。結び目には古来、神が宿ると信じて尊んできている。結ぶことで新しいいのちが生まれ、思いがけない絆が生まれたりもする。人の世はこうした縁で回っているのでは。この、<たった一夜の奇蹟>も、円の相を見て取れる展開だった。薄くても細くても、やはり人と人とをつないでくれるのは言葉だろう。そして、結び目に宿った魂に触れ合う。魂の交感、とはちとオーバーかな。

様々な悩みを抱えた人たちの再生に感動を覚えた。心は停滞しないように、よく動かさなければならない。「リボーン」(再生)という主題歌は、作品世界をやさしくつつみこみ、何度でも聞きたくなる。たくさんの方にお勧めしたくなる映画です。
                                                (写真はナツメグの実)
コメント (6)
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