
昨日。会場へ向かうのに市バスを利用したところ、
「今日は久しぶりに晴れの日になりました。よい一日になりますように。この先も気をつけていってらっしゃい」
「…仕事の方も観光の方も、素敵な一日になりますように。気をつけて行ってらっしゃい」
静かなやさしい調子でこんな言葉が車内に流れた。気づくのに一瞬の間があったが、バス停前の信号待ちの時間を利用した運転手さんの生の言葉かけだった。初めての体験に何かほっこりした気分で下車をして、高島屋へ。
上の写真の花はマツムシソウだったが、木のものが何だったか…、記憶から零れ落ちた。
ダリアが何点か活けられてあった。義母が畑で育ててもいたが、私がダリアは好きな花だと言ったとき隣の奥さんが「ダリアは仏さんに上げる花」と片付けたので、それっきり誰とも話題にすることをやめた花だが、控えめに色を添えていて、しかもそれで存在感を増し、とても好ましく感じた。
おおかたが二種の組み合わせで活けられていたなか、「一華」と書したお軸の前に細身の花器で一輪、というのが家元だった。
昨年初めて拝見したのをきっかけに、今年の2月には奈良の円照寺さん参拝のご縁をいただいた。
その円照寺に伝わる山村御流は「花は野にあるように」を流儀とされる。
素朴で、小さくて、時には幼かった頃の家族での思い出にもつながる野山の身近な秋の草々。いずれも日常に取りこみたい佇まいで、心に留まった。
平素いけばな展に足を向けることはない私が、目の前の作品と向き合いながら今年も素敵な空間を楽しませてもらったのでした。