
セイタカアワダチソウは、九州北部の筑豊の土地の象徴のような存在だった、と五木寛之氏が書かれていた(ので、ほおっと思って読み進めた)。
遠賀川の土手も、香春(かわら)岳の野づらも、見渡す限り泡立つ黄色の海と化していたそうだ。
石炭産業の合理化が進み、やがてボタ山は姿を消した。列島改造、高度経済成長の波のなかで、人と自動車の激しい流れが、セイタカアワダチソウの種子の空中拡散に拍車をかけた。
神武の東征にも似た、渡来植物の東上が開始された。・・・などと(「黄金色のバブルの花」)。
“東征”とすれば、セイタカアワダチソウにやられたのはススキであるらしい。

猛威を振るっていたかつての姿を私も見てきているが、今は小ぶりにもなって、群生し高々と茂る勢いはないようだ。次第に日本での環境に適応した姿を持つようになったのかしら。
夕日が当たって輝くさまは美しくもある。
さんたろうさんがそんな写真をしばしばブログに載せられていたなあ…と思い出した。
足元を落ち葉が音を立てて転がっていく。
林の中から、木の実が落ちるような音がしてくる。
おにぎりと温かいお茶と本を持って、歩きに出た。