京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

銀杏も色づき始めて

2023年10月26日 | 日々の暮らしの中で
昨日、朝刊でもんたよしのりさんの隣で興膳宏さんの小さな訃報記事に触れた。
和漢の書籍から一語を紹介する連載コラムを執筆されたとき、一年間ずいぶんと学ばせていただいた。

手元にある氏の著書『漢語日暦(かんごひごよみ)』を開いてみると、亡くなられた10月16日の一語は、「鴨脚(おうきゃく)」だった。
こんなふうに記されている。

銀杏が華やかに色づいてきた。銀杏の葉が家鴨(あひる)の脚に似ているところから、中国では「鴨脚」の通称がある。日本語の「イチョウ」は、中国語の「鴨脚(ヤ―チャオ)」が転化したものらしい。北宋の梅堯臣の詩「鴨脚子(おうきゃくし)」に、「高林、呉の鴨(あひる)に似て、満樹、蹼(みずかき)は鋪鋪(ほほ)たり」。高い銀杏の林は南方の家鴨のようで、木一面に水かき状の葉がびっしりと茂っている。「子(み)を結びて黄李(すもも)より繁く、仁(さね)を炮(あぶ)れば翠(みどり)の珠(たま)のごとく瑩(あざ)やかなり」


京都大学の建物を見ながら東大路通を下がる時、(ああ、銀杏がいろづいてきたなあ)と思ったのはこの頃だったかもしれない。

昔、バケツいっぱいのギンナンの実をもらい、母と二人で処理に奮闘した日があった。
実弟と義兄弟の契りを結んだHさんからのいただきもの。わたしを「おねえさん、おねえさん」と呼んでくれていたが、二人とも、母を入れれば三人ともが、今は亡き人に。

翡「翠」は玉の一つ。その鮮やかな翠緑色の美しさに重なるギンナンの実。
茶碗蒸しかな、かつては、炒って殻をむいた気がするが、今ならレンジでチン。
スパーなどで買うことになるんだけれど。


秋晴れの一日だった。
孫娘がやってくる日をひと月後に控え、先日から何度か寝具に陽を当てて、そこらを片付けながら迎える準備に思いを巡らす。
ちょうど忙しい時期に重なるのだ…。
                         (写真は東本願寺にあったベンチ)

コメント (2)
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