京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

俳人×ロック絵師の涅槃図

2025年01月20日 | 催しごと
京の冬の旅」で非公開文化財が特別公開されている(1/10~3/18)。仁和寺の経蔵と椿が咲き始めたら椿寺を拝観したいと思っている。
今朝は地元紙で、この特別公開に合わせて建仁寺の塔頭西来院で公開されている「俳句涅槃図」が大きく取り上げられていた。縦2m、横3mだそうな。


2020年に父親を亡くされた黛まどかさん。喪失感の中’23年に本法寺で涅槃図 - 長谷川等伯が息子久蔵の7回忌追善供養に描いたもの - を見て、自分も涅槃図で菩提を供養したいと思ったという。
そこで旧知の絵師、Ki-Yan(キーヤン)の愛称で知られる木村英輝さんを訪ね、俳句と絵画で描く涅槃図の共同制作を依頼した。


ただ、2025年を生きる我々が涅槃図を前にして、お釈迦様のお弟子さんが書かれていてもわからない。セオリーは守りつつ、命を明るく讃える作品にしたい。涅槃図に描かれている釋迦入滅と万物の命。その命を黛さんが四季それぞれの俳句に託す。木村さんは「ニュートラルにポップな感じにしたかった」と。

ふーん、へえ~といった思いくらいで記事を読んでいた朝。
「。。。読んだ? 行かへん?」 行くだろうとすでに思ってるに違いない。
お互い目新しさに反応しやすいものを持っているのか、どことなく波長が合う友人の誘い水に即「行ってみよう」と待ち合わせることにした。
葉室さんではないけれど、「幕が下りるその前に見ておくべきものは、やはり見たいのだ」という思いも私にはある。

木村氏の青の色遣いが鮮やかだ。氏の特徴だとボランティアガイド氏が教えてくれた。
清少納言だけは黛さんのリクエストだそうな。
中空に浮かぶ満月には「春の月まどかに白砂輝かす」とあり、製作者二人の名前が詠み込まれている。
その左手に、亡き父の句「朴の木に朴の花泛(う)く月夜かな」を添え、黛さんは「現世を抽(ぬき)んでて咲く朴ひとつ」と並べ、涅槃の父に捧げている。
「今頃は四条を急ぐかたつむり」がどこにあるのか、探した。左上から反時計回りで春夏秋冬が紡がれている。


「発想が素晴らしい現代の『涅槃図』」と住職談。
見知った顔顔顔がしっくり馴染まないけれど、〈斬新〉という言葉が包みこんでしまう。


花見小路を北へ。四条通りに面した西利の二階で遅いお昼をいただく。
楽しい時間だった。
コメント
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