京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

ボーン ボーン ボーン

2020年06月03日 | 日々の暮らしの中で

ボーン ボーン ボーン
通りすがりの家から3時をつげる時計の音が聞こえてきた。

確か、「ボーム ボム ボム」と出てくる時計の詩があった。風呂敷に包んだ柱時計を背負った少年が、星に照らされた夜道を心細い思いで村へと帰って行く詩だった。…と思い出しながら歩いていた。タイトルも作者も細かな表現も、忘れている。

田中冬二の「青い夜道」と題した詩だった。
〈ぼむ ぼうむ ぼむ〉〈ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ…〉〈ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ…〉この擬音語が3カ所に繰り返されていて、印象深かったのだな。少年の不安な気持ちを駆り立てる。〈少年は生きものを 背負ってるようにさびしい〉

懐かしい音。夜中の12時を知らせる音は家中に響く大きさだった。それをよく数えていたのを憶えている。振り子が止まると、ゼンマイでねじを巻くのだが、父がその役を担っていた。父不在の時はまずは手で、振り子よ動けと右か左に振って仕掛けてみたものだった。すっかりレトロな昭和の柱時計だろう。記憶にあるのはそれひとつだから、ずっと家族の暮らしに時を刻んでいたのだ。

そう言えば、孫のLukasと ♪コチコチカッチン おとけいさん~ と一緒に歌うことがあった。私が「カチコチカッチン」と歌い出すものだから「ちがうよ!」とストップがかけられて…。次いこ! ♪鬼のパンツはいいパンツ~と振ると、ちゃんと一人で「5ねんはいてもやぶれない つよいぞー つよいぞー」と歌っていく。ちゃんと覚えているんだなあと、その成長を喜ばせてもらうのだけれど、ここひと月ほど会っていない。



コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 更衣(ころもがえ) | トップ | 地上を歩く同行者 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
時代、ねむの木さん (kei)
2020-06-05 21:54:16
ほんとうにそうですね。
幼年時はとても大切な時期ですよね。、
感情でも感覚でも、人間としてのかなめともなるものを形成していく、と言っても過言ではないような…。
違いを指摘できるのも成長かと気づかされました。

柱時計のボーン ボーンは今はもう昔ですか…。
寂しいことです。
返信する
幼い子の感性 (ねむの木)
2020-06-05 16:40:57
幼い子の鋭い耳、記憶力の確かさ、おろそかにはできませんな。
ましてや、何気ないひとことが心に残る大切なひと言になって、勇気百倍になることも。
そんな今時の子供たちに言っても理解してもらえない、柱時計の時を刻む音、時報をしらせるボ~ンボン。
時代の移り変わりの標本を手に取るように再現されてます。歳をとるわけですねー。
返信する
古時計、Reiさん (kei)
2020-06-04 16:13:25
♪百年いつも動いていた ご自慢の時計さ
これもよく知られていますね。
「チク タク チク タク 」
擬音語の持つ効果、それぞれにありますね。

「〇〇?せんせーがルーカス君だいすきって」
前日まで行きたくないと言ってましたが、入園後この先生のひと言で
ころっと変わったみたいです。げんきんなものですね。
会ったとき、先生の言葉を教えてくれるのですよ。
白紙の状態から一つ一つ習い覚えていくのですから、
人間って素晴らしいですね(笑)


返信する
掛け時計 (Rei)
2020-06-04 09:14:03
この詩は知りませんが
「♪大きなのっぽの古時計♪
  おじいさんの時計♪」は
孫たちとよく歌いました。
この擬音語、田中冬二の創作ですね。

Lukas君、真っ新な海綿に吸い取られるように
一度で間違いなく覚えられるのでしょう。
返信する

コメントを投稿

日々の暮らしの中で」カテゴリの最新記事