杉本健吉 「雪散華」
中学生に聞いてみた。
A 白い
B よりいっそう白い
C もっとも白い
のうち、どれがいちばん白いだろうか。
「飾りの取捨」と題した文章の冒頭部分をそっくりいただいて、話題提供したことがあった
(外山滋比古著『文章を書くこころ』収)。
Cという答えが予想されるが、そうではない。Aの「白い」が100パーセント白い。
どこへ出しても「白い」と通用するのはAである。というわけで答えはA。
(Bの場合は、Cの場合は、の説明を省いてあります)
白さを強めたつもりでも…。
形容詞や副詞を乱用すると、「安ものの装飾品をつけた人のような感じの文章になる」。
「飾りをすくなくすることは、ことばの生地の美しさを見せることになる」と書いている。
こういうことを学ばせてもらった本なのに、すっかり忘れて(あら、こんな本があった)と手にした。ページを繰って、そうだったな…と学び直しとなった次第。また今度誰かにたずねてみようっと。
新京極の通りを抜けて歩き、和泉式部ゆかりの誠心院にふらっと入ってみると、作務衣を着た方が一人雪かきに精を出していた。
境内の隅に、役の行者が頭に雪を載せておいでだった。水もなかったので脇から右肩をなでなで。
雪かきの筋肉痛が出ませんように、と。
1/27追記
いちばん白いのは、Aのただ「白い」である。とされると、
きまったように「えっ!? なんでなんで?」と返ってきます。氏はどう説明されているかー。
Bは「よりいっそう白い」とあって、Aよりさらに白いように見えるが、そうとは限らない。
甲も白い。乙も白い。甲乙を比べて、乙の方が甲よりも白ければ、Bの「よりいっそう白い」が使える。二つのうちでは乙の方が白さが勝っているが、甲がどのくらい白いかによって、乙の白さも変わってくる。
Cの「もっとも白い」はAはもちろんBよりも白いように考えがちだが、これも問題である。
ここに三枚の紙があるとする。どれもうすく汚れている。そのうちの1枚をさして、これが「もっとも白い」と言ったとすると、この「もっとも白い」というのは、“三枚のうちでは”ということで、d
お子へ行っても「白い」とといって通用するものではない。
ということで、
Aの「白い」は100パーセント白い。絶対的だ。これが一番白いことになる。
(ということから)形容詞や副詞を乱用しないことが文章の心得で、飾りたくなるのは幼いのだと思ってよい。
などと落ち着くのでした。
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