4月30日
朝、ホテルの屋上テラスから外を見ると道路の向こうに市場が広がっている。
いかにもローカルな日用品の市場のようでそそられるが、残念ながら我々は出発しなければならない。
ティネリールの中心街を抜けて北へちょっと標高を上げると
このあたりは谷筋にだけ緑の帯と土でできた村々があり、回りは荒涼とした山であることがよくわかる。
緑の畑では何が作られているのか。
緑のオアシスを見下ろしながら小一時間ほど走ると岩山がまじかに迫るトドラ渓谷に入る。
ほとんど垂直に切り立った崖はどれくらいの高さがあるのか、両側から迫るので空が狭い。
「地球の歩き方」にはこの渓谷の中は河原道とあるが、現在はきれいに舗装された道が崖下のレストランの所まで300メートルほど続いている。だがこの道もつきあたりまで、その先にもフェズへ通じる道があるが4WDでしか行けない難路だそうだ。
トドラ渓谷で少し散歩をしたらティネリールまでまた戻る。
この町はベルベル人が多いそうだが、
ここの女性たちはみな片方の肩から大きな白い布をかけている。なにか特別な意味でもあるのかと思ったら
日差しが強くなった時に頭からかぶるためらしい。なるほど実用的。
なにしろ町を一歩出たら周りは荒涼とした乾燥地帯なのだから。
ティネリールからワルザザードまでの道はカスバ街道と呼ばれているが、どこも川筋にだけ緑があり、土でできた家が並ぶ。
この街道沿いにエルケラアムグナと言う村があり、バラの栽培で有名だということで、なるほどバラ水を売る店がたくさんある。しかし時期のはずなのに回りの景色にそれらしい花は見当たらず、そのうち村も外れたところの店にようやく車は止まった。
バラ水を作っているところでも見せてもらえるかと思ったがただの土産物屋でがっかり。
しかしバラのエッセンスを使った製品の品ぞろえは豊富で、パッケージは垢抜けないもののバラの香りは本物。とても良い香りがする。
せっかく花の季節に来たのでやはりバラが咲いているところが見たいと言うと、今通り過ぎてきたところにいくらでも咲いていると言う。
ではもっとしっかり見ようとドライバーに引き返してもらい、畑の所で停めてもらうと
普通の畑の生け垣が実はバラの木。
よくよく見ればなるほどいっぱい花が咲いている。
本物のダマスクローズなので園芸種のような派手さはないが、畑の中の小道に入りこむとあたりはバラの香りでうっとり。
やっぱり引き返してもらってよかった。
バラの香りを堪能しているうちに昼もだいぶ回り、やっとワルザザードの町に到着。
まずは昼食を、と連れて行かれたのはこの町のカスバの前に建つレストラン。
いかにもツーリスト向けで、カスバが見えるテラスはすでに欧米人でいっぱい。
中庭のテーブルについてはみたものの、メニューは相変わらずのタジンとクスクスしかなくて、もっと軽いものが食べたいと言っていたのに、とぶんむくれる。
しかたないのでサラダとスープだけオーダーしたが
スープは羊好きの自分でさえ辟易するほど羊臭くておいしくない。
「このレストランに連れてくるよう言われているから」とドライバーは弁明していたが、こんなことなら途中の町の屋台にでも強制的に停まらせればよかった。
とむくれてばかりいてもつまらないので、気を取り直して道を渡ったところにあるタウリルトのカスバの見学へ。
17世紀に作られたという城砦だが、見学できるのはグラウイ家というこの地方の有力者が20世紀初頭に再建したという部分。
いかにもカスバと言う外観は修復され過ぎている気もするが壁の模様がきれい。
大きな建物の中には部屋がたくさんあるものの、ほとんどはがらんとして何もない。
天井のきれいなこの部屋と
最上階の部屋に装飾があるぐらい。
しかしたくさんある窓のアイアンワークがどれもかわいくて
窓フェチにはちょっとたまらない。
窓の外にはコウノトリのお屋敷も見える。
ところでこのタウリルト・カスバ、かなり好きな映画「シェルタリング・スカイ」のロケに使われたとのことなので楽しみにしていた。が実際に見てみるとちょっと想像していた場面とはちがうみたい。
もちろん映画の編集技術もあるだろうし、何より自分の記憶が一番怪しい。
もう一度映画を見直してみなければ。
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朝、ホテルの屋上テラスから外を見ると道路の向こうに市場が広がっている。
いかにもローカルな日用品の市場のようでそそられるが、残念ながら我々は出発しなければならない。
ティネリールの中心街を抜けて北へちょっと標高を上げると
このあたりは谷筋にだけ緑の帯と土でできた村々があり、回りは荒涼とした山であることがよくわかる。
緑の畑では何が作られているのか。
緑のオアシスを見下ろしながら小一時間ほど走ると岩山がまじかに迫るトドラ渓谷に入る。
ほとんど垂直に切り立った崖はどれくらいの高さがあるのか、両側から迫るので空が狭い。
「地球の歩き方」にはこの渓谷の中は河原道とあるが、現在はきれいに舗装された道が崖下のレストランの所まで300メートルほど続いている。だがこの道もつきあたりまで、その先にもフェズへ通じる道があるが4WDでしか行けない難路だそうだ。
トドラ渓谷で少し散歩をしたらティネリールまでまた戻る。
この町はベルベル人が多いそうだが、
ここの女性たちはみな片方の肩から大きな白い布をかけている。なにか特別な意味でもあるのかと思ったら
日差しが強くなった時に頭からかぶるためらしい。なるほど実用的。
なにしろ町を一歩出たら周りは荒涼とした乾燥地帯なのだから。
ティネリールからワルザザードまでの道はカスバ街道と呼ばれているが、どこも川筋にだけ緑があり、土でできた家が並ぶ。
この街道沿いにエルケラアムグナと言う村があり、バラの栽培で有名だということで、なるほどバラ水を売る店がたくさんある。しかし時期のはずなのに回りの景色にそれらしい花は見当たらず、そのうち村も外れたところの店にようやく車は止まった。
バラ水を作っているところでも見せてもらえるかと思ったがただの土産物屋でがっかり。
しかしバラのエッセンスを使った製品の品ぞろえは豊富で、パッケージは垢抜けないもののバラの香りは本物。とても良い香りがする。
せっかく花の季節に来たのでやはりバラが咲いているところが見たいと言うと、今通り過ぎてきたところにいくらでも咲いていると言う。
ではもっとしっかり見ようとドライバーに引き返してもらい、畑の所で停めてもらうと
普通の畑の生け垣が実はバラの木。
よくよく見ればなるほどいっぱい花が咲いている。
本物のダマスクローズなので園芸種のような派手さはないが、畑の中の小道に入りこむとあたりはバラの香りでうっとり。
やっぱり引き返してもらってよかった。
バラの香りを堪能しているうちに昼もだいぶ回り、やっとワルザザードの町に到着。
まずは昼食を、と連れて行かれたのはこの町のカスバの前に建つレストラン。
いかにもツーリスト向けで、カスバが見えるテラスはすでに欧米人でいっぱい。
中庭のテーブルについてはみたものの、メニューは相変わらずのタジンとクスクスしかなくて、もっと軽いものが食べたいと言っていたのに、とぶんむくれる。
しかたないのでサラダとスープだけオーダーしたが
スープは羊好きの自分でさえ辟易するほど羊臭くておいしくない。
「このレストランに連れてくるよう言われているから」とドライバーは弁明していたが、こんなことなら途中の町の屋台にでも強制的に停まらせればよかった。
とむくれてばかりいてもつまらないので、気を取り直して道を渡ったところにあるタウリルトのカスバの見学へ。
17世紀に作られたという城砦だが、見学できるのはグラウイ家というこの地方の有力者が20世紀初頭に再建したという部分。
いかにもカスバと言う外観は修復され過ぎている気もするが壁の模様がきれい。
大きな建物の中には部屋がたくさんあるものの、ほとんどはがらんとして何もない。
天井のきれいなこの部屋と
最上階の部屋に装飾があるぐらい。
しかしたくさんある窓のアイアンワークがどれもかわいくて
窓フェチにはちょっとたまらない。
窓の外にはコウノトリのお屋敷も見える。
ところでこのタウリルト・カスバ、かなり好きな映画「シェルタリング・スカイ」のロケに使われたとのことなので楽しみにしていた。が実際に見てみるとちょっと想像していた場面とはちがうみたい。
もちろん映画の編集技術もあるだろうし、何より自分の記憶が一番怪しい。
もう一度映画を見直してみなければ。
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