Luntaの小さい旅、大きい旅

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北イタリアの旅 13 フェラーラ後編

2014-12-16 18:43:59 | ヨーロッパ
11月2日 続き

昼食後は巨大なエステンセ城内へ。

 1385年に作られたこの城の主は12世紀末以来フェラーラを治めたエステ家。13世紀からはモデナとレッジョも領有したルネサンス期の名門で、ダ・ビンチに肖像画をねだったもののスケッチしか描いてもらえなかったイザベラはここからマントヴァへ嫁に行き、その弟のアルフォンソ1世の嫁に来たのがルクレツィア・ボルジア、とここいらへんは昔懐かし、塩野七生先生の「ルネサンスの女たち」を出発前に復習してきた。

 
城の一階はがらんとしていて飾り気もなく、ここは厨房などもある使用人たちの仕事場だった様子。
今はエステ家に関する説明パネルが並んでいる。

  
ここから地下に降りたところにあるのはドン・ジュリオの牢屋。
ジュリオはイザベラの弟だが、ルクレツィアの侍女と恋仲になり、それを横恋慕した別の弟の枢機卿に目をくりぬかれたのでアルフォンソに訴えたが政治的理由から取りあってもらえず、恨みに思って反乱を企てていたら捉えられてこの牢屋に放り込まれてしまったと言うなんとも救いようのない話。
 しかもこの狭い牢屋になんと56年も幽閉されて、81歳でようやく釈放されたと言うのだからすさまじい。

 陰惨な地下から上階にあがるとオレンジの木の並ぶテラスがあり、その先に続くのは主たちの部屋。

  
たくさんの部屋に今は家具も壁の装飾もないが、天井の見事なフレスコ画だけは残され、これを見上げなくても見られるように各部屋には大きな鏡が置かれている。
 
この鏡の大きさと角度が絶妙で、隅々までよく見えるのには感心してしまう。

様々な部屋の中でもおもしろいのは「ゲーム・サロン」と呼ばれるところで 
  
 
天井で裸の男たちがボール遊びをしたり、風呂に入ったりしている。

  
他にもさまざまな天井のスタイルがあり
 壁に周辺の地図が描かれた部屋や
 歴代枢機卿や教皇の紋章を描いた部屋もある。

城の特に奥の方は今は役所として使われているそうなので入れないが、見たところだけでもとても広い。
 やっと出口の中庭に戻ると壁には消えかけたフレスコ画があり、昔はすべての壁が色鮮やかなフレスコ画で覆われていたというのだからエステ家の財力には恐れ入る。

エステンセ城を出た後は広場からはちょっと離れた小路に入る。
 このアーチの先に続く石畳のヴィア・ヴォルテを中心にフェラーラの町は7世紀ごろから発展したそうで
  
   
狭い通りの頭上をまたいでまで建てられた家々は14,5世紀以来の物らしいが、今も普通に人が住んで生活のにおいがするところが素晴らしい。

ここからさらに進むと周りは落ち着いた住宅街になって、住むならこんなところがいいかも、と思う。
しかしこの町は予想よりずっと大きくて、次の目的地までは随分歩く羽目になった。

ようやくたどり着いたのはスキファノイア宮殿。
 
14世紀に建てられたエステ家の娯楽用別邸を拡張したのは15世紀のボルソ・デステ。

そしてわざわざここまで歩いてきた理由はこの人が作らせたこの部屋のため。
 フレスコ画で覆われた「月暦の間」。
 入口の右手は残念ながら剥落してしまっているが
  
左手と、特に正面の上部には華やかなフレスコが残っていて、壁画好きにはたまらん。

「フラッシュなしなら写真を撮っていい」と見張りのおばさまの許可をいただいたので、もちろんシャッター切りまくり。
15世紀のフェラーラ派の画家たちによって描かれているのは12か月の寓意や12星座を表す絵、最下段はボルソ公の宮廷のシーンなどだが
 
 農民から貴族、馬や犬まで生き生きと描かれていて、細部を見れば見るほど楽しい。ここまでやって来た甲斐があった。

ということで細部はこちら↓


スキファノイア宮殿は博物館になっているので他にも展示室はあるようだったが、疲れてしまったのでこの部屋を見ただけで見学終了。
受付のお姉さんに乗り場を聞いて、帰りは駅までバスで10分ほど。
 
この町のバスチケットはタバコ屋ではなく、車内で買えるようになっているのも気が利いている。

無事に駅に着くと乗ろうと思っていた列車の発車時刻10分前でパーフェクト。
と思ったらなんと、券売機に大勢並んでいて、しかも例によって一人一人時間がかかるのですんでのところで一本逃してしまった。きーっ。

  しかたないので、1時間後の列車まできれいなお姉さんに作ってもらったオレンジジュースを飲んで一休み。

フェラーラは広いし、見どころも多くて一日では足りなかった。
落ち着いて住み心地の良さそうなこの町、もう一度行って今度はルクレツィアの墓参りがしたい。


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コメント (2)
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