11月2日 続き
フェラーラから戻って一休みしたら、再びおでかけと今日は忙しい。
ツアーリーダー、コッコロのマダムの行きたいレストランが辺鄙なところにあるので、ツアー4名にイタリア在住のお知り合いも合わせて、車をチャーターして向かうのだ。
目的地はボローニャの南西30キロの位置にあるサヴィーニョ村。
出発したのが6時だったので外はすでに真っ暗、幹線道路をはずれて山道に入ると人家の明かりもほとんど見えなくて、ここはどこの国だろう。
45分ほどかかって到着したところは山の上。
石造りの村役場もかっこよく、思ったより家が立ち並んでいるが人口は2700人ほどとかで、昼間見れば初日のアグリツーリズモから出かけた村のようなたたずまいではないかと思われる。
さて、なぜこんな辺鄙なところに有名レストランがあるかと言うと、この村ではトリュフが獲れるから。
しかもこの日はちょうどトリュフ祭が開催されていて
村のメインストリート沿いには屋台がずらり。
と言っても到着した時間にはもう観光客も帰ってしまって、どこも撤収作業の真っ最中。
それでもテーブルを覗き込むと
おお、フレッシュトリュフがある、ある。
黒いトリュフももちろんあるが、ここの売りはそれより高級なホワイトトリュフ。
まるで出来の悪いジャガイモのように見えるが、かぶせていたガラスの蓋をはずされると、うひゃ~、すごい香り。
離れていてもどこにあるかわかるほど強烈で、なるほどブラックとはずいぶん違う。
指の先ほどの大きさで10ユーロだけれど、これってお安いのだろうね。
こちらの大テントの中もトリュフ屋さんばかりで
大きいものはまるで宝石のような扱い。聞きもしなかったが値段も宝石並みなのだろう。
このテントの中は白トリュフの香りが文字通り充満していたが、初めて嗅いだフレッシュトリュフの香り、正直自分にはいいにおいとは思えなかった。まるでガスか、誰かの体臭のようと言ったらグルメには怒られるだろうか。
しかし日本であがめられる松茸だって、いっぱい獲れるブータンでは「くさい靴下のにおい」とちょっと前まで現地人は見向きもしなかった。
珍味は文化、というか所詮豚に真珠か。
店じまいの屋台の奥には普通のお店がまだ開いていて
かわいいお店に並べられていたこんな道具でトリュフを掘り出すらしい。
こちらの肉屋さんにも道具がディプレイされているけど、店頭の縛られた豚さんと言い、なかなかダークな趣味の店だ。
トリュフの香りを嗅ぎつつうろつきまわっているうちにようやく開店時間になったのでレストランへ。
Amerigo dal 1934
レストランの入り口は左側だが、右側にはこの店のソースやらペーストやらの瓶詰が売られていて、これらは実は日本でもイータリーなどで買うことができる。こんな辺鄙な村のレストランなのに、とその商才に感心するとともに期待も高まる。
ここを通って2階に上がると、案内されたのはこんな部屋。
壁によく見るといろいろな動物が描かれていて、我々のテーブルの正面には犬がいる。
思いがけない内装に驚きつつメニューを受け取ると、日本人の料理人が説明に来てくれた。
1ヶ月前に店に来たばかりとのことだったが、イタリアンやフレンチのシェフのみなさんは本当にいろいろなところで修業していらっしゃる。
通常のメニューとは別に、今がシーズンということでこんな白トリュフのメニューもある。
トリュフは時価(この日はグラム2.7ユーロ)、一皿の値段の内トリュフの値段はいくらとまで明示してあるところ、実に良心的だ。
とは言え散々嗅いだ白トリュフの香りが結局あまり好きではないとわかったので、トリュフ料理ではなく季節のコース(55ユーロ)を選択。
サービスで出されるスプマンテと、とうもろこし粉(たぶん)の甘くないクッキーをつまみつつ待っていると
一皿目はまるでデザートのように見えるが、これは赤い生牛肉を黒トリュフではさんだ前菜。白で鼻が麻痺したか、香りは感じなかったがお肉はおいしい。
2皿目はポルチーニのパスタ。
厚みのあるパスタは何もはさまれているわけではないが食べごたえ十分。ポルチーニは期待通り。
3皿目もきのこなのだが、こちらはアンズ茸だろうか。
ただしきのこはちょっとで、下のラザーニャが大きい。しかもラグーソースもチーズも味が濃くて、パスタも前の皿とかぶるのでもてあます。次の皿を考えて残したら体に白トリュフのにおいの染みついた(笑)オーナーのおっさんに「食べるまで次は出さないぞ」なんて言われたが、これは無理だって。
そしてメインは豚首肉のロースト。
写真では小さく見えるがこれが結構な大きさで、肉自体はおいしいのだがこれも味付けが濃いというかしょっぱくてまたもてあます。
口直しに出されたランブルスコのシャーベットはアルコールが強すぎたので酒飲みにまわし、さてデザートと期待すると洋ナシとりんごのコンポートもワインが効きすぎ、しかもナイフが入らないぐらい固い。
キャラメル味のアイスクリームだけおいしくいただいて食事終了。
お腹はいっぱいになったが、正直に言うとここのお料理にはかなりがっかり。
ただしこれはこちらのオーダー・ミスで、田舎らしく料理が大盛りで出されるこの店ではまわりのお客さんたちのように前菜をシェアし、この店自慢のトリュフかジビエの一皿だけを頼むべきだったのだ。
アウェイはこういうところが難しいが、これも経験のうち。
なにより本物の白トリュフの香りをいやと嗅ぐなんて日本ではとてもできないこと。
ここまで来た甲斐はあった。
星空の中をドライブして、宿には11時過ぎに帰り着いた。
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フェラーラから戻って一休みしたら、再びおでかけと今日は忙しい。
ツアーリーダー、コッコロのマダムの行きたいレストランが辺鄙なところにあるので、ツアー4名にイタリア在住のお知り合いも合わせて、車をチャーターして向かうのだ。
目的地はボローニャの南西30キロの位置にあるサヴィーニョ村。
出発したのが6時だったので外はすでに真っ暗、幹線道路をはずれて山道に入ると人家の明かりもほとんど見えなくて、ここはどこの国だろう。
45分ほどかかって到着したところは山の上。
石造りの村役場もかっこよく、思ったより家が立ち並んでいるが人口は2700人ほどとかで、昼間見れば初日のアグリツーリズモから出かけた村のようなたたずまいではないかと思われる。
さて、なぜこんな辺鄙なところに有名レストランがあるかと言うと、この村ではトリュフが獲れるから。
しかもこの日はちょうどトリュフ祭が開催されていて
村のメインストリート沿いには屋台がずらり。
と言っても到着した時間にはもう観光客も帰ってしまって、どこも撤収作業の真っ最中。
それでもテーブルを覗き込むと
おお、フレッシュトリュフがある、ある。
黒いトリュフももちろんあるが、ここの売りはそれより高級なホワイトトリュフ。
まるで出来の悪いジャガイモのように見えるが、かぶせていたガラスの蓋をはずされると、うひゃ~、すごい香り。
離れていてもどこにあるかわかるほど強烈で、なるほどブラックとはずいぶん違う。
指の先ほどの大きさで10ユーロだけれど、これってお安いのだろうね。
こちらの大テントの中もトリュフ屋さんばかりで
大きいものはまるで宝石のような扱い。聞きもしなかったが値段も宝石並みなのだろう。
このテントの中は白トリュフの香りが文字通り充満していたが、初めて嗅いだフレッシュトリュフの香り、正直自分にはいいにおいとは思えなかった。まるでガスか、誰かの体臭のようと言ったらグルメには怒られるだろうか。
しかし日本であがめられる松茸だって、いっぱい獲れるブータンでは「くさい靴下のにおい」とちょっと前まで現地人は見向きもしなかった。
珍味は文化、というか所詮豚に真珠か。
店じまいの屋台の奥には普通のお店がまだ開いていて
かわいいお店に並べられていたこんな道具でトリュフを掘り出すらしい。
こちらの肉屋さんにも道具がディプレイされているけど、店頭の縛られた豚さんと言い、なかなかダークな趣味の店だ。
トリュフの香りを嗅ぎつつうろつきまわっているうちにようやく開店時間になったのでレストランへ。
Amerigo dal 1934
レストランの入り口は左側だが、右側にはこの店のソースやらペーストやらの瓶詰が売られていて、これらは実は日本でもイータリーなどで買うことができる。こんな辺鄙な村のレストランなのに、とその商才に感心するとともに期待も高まる。
ここを通って2階に上がると、案内されたのはこんな部屋。
壁によく見るといろいろな動物が描かれていて、我々のテーブルの正面には犬がいる。
思いがけない内装に驚きつつメニューを受け取ると、日本人の料理人が説明に来てくれた。
1ヶ月前に店に来たばかりとのことだったが、イタリアンやフレンチのシェフのみなさんは本当にいろいろなところで修業していらっしゃる。
通常のメニューとは別に、今がシーズンということでこんな白トリュフのメニューもある。
トリュフは時価(この日はグラム2.7ユーロ)、一皿の値段の内トリュフの値段はいくらとまで明示してあるところ、実に良心的だ。
とは言え散々嗅いだ白トリュフの香りが結局あまり好きではないとわかったので、トリュフ料理ではなく季節のコース(55ユーロ)を選択。
サービスで出されるスプマンテと、とうもろこし粉(たぶん)の甘くないクッキーをつまみつつ待っていると
一皿目はまるでデザートのように見えるが、これは赤い生牛肉を黒トリュフではさんだ前菜。白で鼻が麻痺したか、香りは感じなかったがお肉はおいしい。
2皿目はポルチーニのパスタ。
厚みのあるパスタは何もはさまれているわけではないが食べごたえ十分。ポルチーニは期待通り。
3皿目もきのこなのだが、こちらはアンズ茸だろうか。
ただしきのこはちょっとで、下のラザーニャが大きい。しかもラグーソースもチーズも味が濃くて、パスタも前の皿とかぶるのでもてあます。次の皿を考えて残したら体に白トリュフのにおいの染みついた(笑)オーナーのおっさんに「食べるまで次は出さないぞ」なんて言われたが、これは無理だって。
そしてメインは豚首肉のロースト。
写真では小さく見えるがこれが結構な大きさで、肉自体はおいしいのだがこれも味付けが濃いというかしょっぱくてまたもてあます。
口直しに出されたランブルスコのシャーベットはアルコールが強すぎたので酒飲みにまわし、さてデザートと期待すると洋ナシとりんごのコンポートもワインが効きすぎ、しかもナイフが入らないぐらい固い。
キャラメル味のアイスクリームだけおいしくいただいて食事終了。
お腹はいっぱいになったが、正直に言うとここのお料理にはかなりがっかり。
ただしこれはこちらのオーダー・ミスで、田舎らしく料理が大盛りで出されるこの店ではまわりのお客さんたちのように前菜をシェアし、この店自慢のトリュフかジビエの一皿だけを頼むべきだったのだ。
アウェイはこういうところが難しいが、これも経験のうち。
なにより本物の白トリュフの香りをいやと嗅ぐなんて日本ではとてもできないこと。
ここまで来た甲斐はあった。
星空の中をドライブして、宿には11時過ぎに帰り着いた。
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