11月1日
普段はぐうたらなくせに、旅行に出た時だけは勤勉になる。
本日も早い列車に乗るために早起きしてボローニャ駅へ。
するとたくさんある券売機がどれも停まっていて
行列する乗客をよそに集金・調整作業中。
みんなが急いでいるこんな時間にやるなよ、と日本人としては思うが、イタリア人は慣れているのかイライラした様子も見せない。イタリア人って意外に辛抱強いのね、とこれはシチリアの郵便局で散々待たされた時にも思った。
7時54分発の普通列車で1時間半。
到着したラベンナは有名な観光地だが、駅はこじんまり。
駅の周囲も落ち着いた小さな町といった風情だが、歩いているうちにローマ時代の遺跡なども見えてくる。
二次元装飾フェチとして今回の旅で一番楽しみにしていたラベンナ、最初に見学したのはサンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂。
それほど大きくもなく、外見は地味な教会だが、ここで5館共通チケットを買って中に入れば
正面の祭壇部分こそ16世紀のものながら、両サイドに6世紀のモザイクがずらり。
祭壇に向かって右側には聖マルティヌスに導かれた26聖人。
左側には東方の三賢人に導かれた22人の聖女たちが並んでいて、金色のバックに白い衣と緑の椰子の木がさわやか。
これらはビザンチン形式のものだが、行列の先頭にいるキリストと聖母子像
そして壁の上部に並ぶキリストの奇跡などの場面はそれより古く、東ゴート王国のテオドリック王時代の、東ローマ帝国からは異端とされたアリオス派のものなのだそうだ。
両形式の細かい違いなどはわからないが、教会全体が明るく軽やかな印象でとても居心地のいい空間。
長居をしたくなるが、細部はこちら↓で見ていただくとして
次に行こう。
商店の並ぶ町の中央通りから脇道に入った所にあるのは
アリウス洗礼堂。
やはりテオドリック王によって5世紀末に建てられた小さな八角形の建物で、ドーム天井にキリストの洗礼の場面とそれを取り囲む12使徒のモザイクがあるが
水の中にキリストの男性器が見える。
これこそアリウス派がキリストの人間性を肯定した証しで、そのために異端とされた。
このモザイクが良く残ったものだ。
にぎやかな通りに戻ってしばらく行くと町の中心であるポポロ広場に出て
右折すれば市場があるが、土曜日のため残念ながらお休み。
この先にあるのがラベンナでも一番有名なサン・ヴィターレ聖堂 。
東ローマ帝国時代の548年に建てられたこの八角形の聖堂はのちのコンスタンティノープルのアヤソフィア、さらにその後のモスクにも影響を与えたとか。
小さな入口から中に入ると、中央の高いドーム天井はバロック様式だが
正面の内陣は華やかなモザイクでびっしり。
中央の若いキリスト像をはじめ
壁から天井まで、キリスト教のエピソードやシンボルで埋め尽くされている。
その中で目立つのは東ローマ帝国皇帝のユスティニアヌス1世とその后妃テオドラの肖像。
皇帝が厳しそうな表情なのはともかく
元踊り子とか言われるテオドラがいじわるそうな表情に見えるのは作り手の悪意だろうか。
柱や床まで、サン・ヴィターレ聖堂はとにかく密度が濃い。
モザイクも東ゴート時代の物に比べると、好みは別としてやはり完成度が高い。
というわけで、サン・ヴィターレ聖堂のモザイクはこちら↓
これを堪能して裏に出ると
かわいい並木の先にあるのが小さなガッラ・プラキディア廟堂。
ガッラ・プラキディアとはローマ皇帝オノリウスの妹で、この建物を自分の墓所として5世紀中頃に建てたが、ローマで亡くなったためにここには葬られなかったのだそうだ。
カーテンで覆われた小さな入口から中に入ると観光客でいっぱいだが
天井の青と雪片のような模様がかわいく
廟の中央の天井ではさらに深い青に小さな星がまたたき、小さなアラバスタ―の窓から入る光も神秘的だ。
入口の上には羊に囲まれた若いキリスト像があるが、これがラベンナでも最も古いモザイクとは信じられない完成度。
ラベンナ観光局のHPによると、この天井からインスピレーションを得て新婚旅行中のコール・ポーターが「夜も昼も」を書いたと言うが本当だろうか。
午前中からすごいモザイクをひたすら見上げて、さすがに疲れた。
そろそろお昼休みにしよう、とポポロ広場の近くに見かけたピアディーナ屋へ。
ピアディーナとはロマーニャの薄焼きパンで、この店ではあらかじめ焼いてあるものを注文すると鉄板で温めてくれる。
これに具を挟んで、二つ折りにすれば出来上がり。
一つはモルタデッラ、もう一つはクリームチーズとイチジクジャムにして友人とシェア。
パンはアラブのホブスとよく似た素朴なものだが、この店のはちょっと厚めで、一つ食べるとお腹がいっぱいになった。
さあ、午後もまたモザイクを見るぞ。
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普段はぐうたらなくせに、旅行に出た時だけは勤勉になる。
本日も早い列車に乗るために早起きしてボローニャ駅へ。
するとたくさんある券売機がどれも停まっていて
行列する乗客をよそに集金・調整作業中。
みんなが急いでいるこんな時間にやるなよ、と日本人としては思うが、イタリア人は慣れているのかイライラした様子も見せない。イタリア人って意外に辛抱強いのね、とこれはシチリアの郵便局で散々待たされた時にも思った。
7時54分発の普通列車で1時間半。
到着したラベンナは有名な観光地だが、駅はこじんまり。
駅の周囲も落ち着いた小さな町といった風情だが、歩いているうちにローマ時代の遺跡なども見えてくる。
二次元装飾フェチとして今回の旅で一番楽しみにしていたラベンナ、最初に見学したのはサンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂。
それほど大きくもなく、外見は地味な教会だが、ここで5館共通チケットを買って中に入れば
正面の祭壇部分こそ16世紀のものながら、両サイドに6世紀のモザイクがずらり。
祭壇に向かって右側には聖マルティヌスに導かれた26聖人。
左側には東方の三賢人に導かれた22人の聖女たちが並んでいて、金色のバックに白い衣と緑の椰子の木がさわやか。
これらはビザンチン形式のものだが、行列の先頭にいるキリストと聖母子像
そして壁の上部に並ぶキリストの奇跡などの場面はそれより古く、東ゴート王国のテオドリック王時代の、東ローマ帝国からは異端とされたアリオス派のものなのだそうだ。
両形式の細かい違いなどはわからないが、教会全体が明るく軽やかな印象でとても居心地のいい空間。
長居をしたくなるが、細部はこちら↓で見ていただくとして
次に行こう。
商店の並ぶ町の中央通りから脇道に入った所にあるのは
アリウス洗礼堂。
やはりテオドリック王によって5世紀末に建てられた小さな八角形の建物で、ドーム天井にキリストの洗礼の場面とそれを取り囲む12使徒のモザイクがあるが
水の中にキリストの男性器が見える。
これこそアリウス派がキリストの人間性を肯定した証しで、そのために異端とされた。
このモザイクが良く残ったものだ。
にぎやかな通りに戻ってしばらく行くと町の中心であるポポロ広場に出て
右折すれば市場があるが、土曜日のため残念ながらお休み。
この先にあるのがラベンナでも一番有名なサン・ヴィターレ聖堂 。
東ローマ帝国時代の548年に建てられたこの八角形の聖堂はのちのコンスタンティノープルのアヤソフィア、さらにその後のモスクにも影響を与えたとか。
小さな入口から中に入ると、中央の高いドーム天井はバロック様式だが
正面の内陣は華やかなモザイクでびっしり。
中央の若いキリスト像をはじめ
壁から天井まで、キリスト教のエピソードやシンボルで埋め尽くされている。
その中で目立つのは東ローマ帝国皇帝のユスティニアヌス1世とその后妃テオドラの肖像。
皇帝が厳しそうな表情なのはともかく
元踊り子とか言われるテオドラがいじわるそうな表情に見えるのは作り手の悪意だろうか。
柱や床まで、サン・ヴィターレ聖堂はとにかく密度が濃い。
モザイクも東ゴート時代の物に比べると、好みは別としてやはり完成度が高い。
というわけで、サン・ヴィターレ聖堂のモザイクはこちら↓
これを堪能して裏に出ると
かわいい並木の先にあるのが小さなガッラ・プラキディア廟堂。
ガッラ・プラキディアとはローマ皇帝オノリウスの妹で、この建物を自分の墓所として5世紀中頃に建てたが、ローマで亡くなったためにここには葬られなかったのだそうだ。
カーテンで覆われた小さな入口から中に入ると観光客でいっぱいだが
天井の青と雪片のような模様がかわいく
廟の中央の天井ではさらに深い青に小さな星がまたたき、小さなアラバスタ―の窓から入る光も神秘的だ。
入口の上には羊に囲まれた若いキリスト像があるが、これがラベンナでも最も古いモザイクとは信じられない完成度。
ラベンナ観光局のHPによると、この天井からインスピレーションを得て新婚旅行中のコール・ポーターが「夜も昼も」を書いたと言うが本当だろうか。
午前中からすごいモザイクをひたすら見上げて、さすがに疲れた。
そろそろお昼休みにしよう、とポポロ広場の近くに見かけたピアディーナ屋へ。
ピアディーナとはロマーニャの薄焼きパンで、この店ではあらかじめ焼いてあるものを注文すると鉄板で温めてくれる。
これに具を挟んで、二つ折りにすれば出来上がり。
一つはモルタデッラ、もう一つはクリームチーズとイチジクジャムにして友人とシェア。
パンはアラブのホブスとよく似た素朴なものだが、この店のはちょっと厚めで、一つ食べるとお腹がいっぱいになった。
さあ、午後もまたモザイクを見るぞ。
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