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今年もこんなに足しげく通うならまた年間パスポートを買うべきだったろうか。
名作と呼ばれる作品が他の作品や文学とどうつながっているかを関連する作品を並べて見せるという面白い企画。
最初の鑑真ゆかりの仏像から始まり、特に雪舟や若冲なども中国の美術のコピーから学んでいる所など、改めて中国の芸術の大きさを実感する。
友人には等伯の「松林図屏風」が必見と勧めておきながら、自分が行った時にはすでに展示替えになっていたとは、我ながら詰めが甘すぎる。
その代わり雪舟の国宝、「天橋立図」が出ていて、これはいくら眺めても飽きない素晴らしさ。
中国に学んだ雪舟だがこれは完全に日本の水墨画になっていてうっとり。
大倉集古館の超イケメン普賢菩薩がいらっしゃったのもうれしかったし、これぞ日本的グラフィックデザインの宗達や光琳のおしゃれさも再確認して、後半はちょっと尻つぼみながら楽しめた。
東博に続いては国立西洋美術館にはしごして
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プラドは去年行ったばかりだし、そもそもスペイン絵画にはあまり興味がないのでこの展覧会に行く気はなかったのだが、ちょうど唯一好きなベラスケスに関する本を読みはじめたので彼の作品だけ見ようと会場へ。
今回は確かにベラスケスが7点も来ていて、もちろん「ラス・メニーナス」は来ていないが、王室付きになる前の宗教画からバルタザール・カルロスの騎馬像まで観られ、ベラスケスの年表をはじめベラスケスが仕えていた時代のスペイン王宮の情報などもあって、やっぱり来てよかった。
ところで今読んでいるベラスケスの本とはこちら。
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町の普通の本屋が一枚の絵を巡って学者顔負けの調査をし、その絵に執着するあまりに生活までめちゃくちゃにしてしまうのだが、自ら不幸を望んだんじゃないかと思わせるほどのその執着ぶりがすごいし、100数十年前の普通人を追いかける作者の調査もすごく、どちらもひどくイギリス的に思われるところがとても面白い。
あと少しで本屋のベラスケスの顛末まで読み終わるのでワクワク。
ベラスケス本人の生涯も見えるようで見えなくて、それで一層プラド展を楽しめた。
ちなみにこの本、邦訳も出ているが、単行本が高いのでペーパーバックを読んでいる次第。
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