Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「ドン・キホーテ」&「パラサイト」

2020-02-01 12:21:58 | 機内食・映画・美術展

我が偏愛する映画監督の一人はテリー・ギリアム。

「未来世紀ブラジル」でぶっとばされ、「12モンキーズ」「フィッシャーキング」も大好き。
だからこの映画が完成したと聞けば見に行かないわけにはいかない。なにしろ何度も制作が中断して、構想から30年近くもかかってようやく完成したと言う因縁の映画なのだから。

 「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」The man who killed Don Quixote

ギリアムの分身である映画監督を演じるのはアダム・ドライバーで、この人は土の中を転がったりロバから落ちたりめとちゃくちゃ大変そう。
その彼が若い時にドン・キホーテ役に選んだ靴職人がジョナサン・プライスで、「未来世紀ブラジル」ファンとしては感慨無量。過去にはジャン・ロシュフォールとジョン・ハートが予定されていながら二人とも病気で降板(その後死亡)してしまったこの役、プライスが年を取るのを待ってちょうどよかったのではないか、こちらもギリアムの分身で素晴らしい。

映画の初めの方はいささかノリが悪くて、これはテリー先生もさすがに年に勝てなかったかと不安に感じたが、プライス・キホーテが登場するあたりからエンジンがかかって、自虐ネタもまじえつつ、クライマックスの仮装パーティーシーンはお得意のイメージの氾濫。フェリーニ晩年の「カサノバ」をちょっと思い出した。

さすがに全盛期のような傑作とはいかないが、この前の「ゼロの未来」よりは面白かったし前向き。
テリー先生、もう一本ぐらいSFを撮ってくれないだろうか。


劇場までわざわざ足を運んだら2本立てがお約束なので、続いては今話題のこちら。
 「パラサイト 半地下の家族」

努力しても這い上がれない貧乏な家族と、何でも手に入る金持ち家族の対比は韓流現代ドラマで定番の設定。この設定を見るたびに「そんなに金持ちがうらやましいか」とそのいじましさにうんざりすることが多いのだが、この映画の貧乏家族は全員めちゃくちゃ有能で、それだけに社会の不公平さ、閉塞感が伝わるようにできている。

この家族がちょっと卑怯な手も使いつつ金持ち家族の元に入り込むあたりはコメディー。なんで場内もっと笑いが起きないのかと不思議に思うほどおかしくて、特に北朝鮮のアナウンサーネタには爆笑。

後半はだんだん不穏な空気になって、クライマックスはこれも韓流らしいバイオレンスな展開になるのだが、この辺りはわりと予想の範囲内。
ストーリーは全く違うが、全体の構成はちょっと前に見たタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に似ている。

感心したのは貧乏家族のにおいの件。どんなに取り繕っても貧乏くささが匂ってしまうと金持ちのガキにまで指摘され、これに反応するお父さん役のソン・ガンホがさすがのうまさ。
豪雨の日に駆け降りる階段のシーンも絡み合う電線まで象徴的で印象に残る。

いろいろな意味で韓国らしさいっぱい、うまい映画だが、これがアメリカのアカデミー最優秀賞を取ったらびっくりかも。

それにしてもこの2本立て、自分の好みではあるが、続けてみると脳みそがウニになる。


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コメント (2)
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