Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

欧州ミステリー読み比べ

2020-12-14 16:57:48 | 雑談

このところ続けざまにヨーロッパ産のミステリーを読んでいた。

翻訳もので読むのはたいていイギリス人作家の作品なのだが、しばらく前にベストセラーになった「ミレニアム」シリーズにははまって、全巻ほとんど徹夜をして一気に読んでしまった。

これに味を占めて同じスウェーデンの「刑事ヴァランダー」も何冊か読んだが、これは主人公が暗すぎて途中でドロップアウト。

 次には同じ北欧ながらデンマークの「特捜部Q」を読み始めた。するとこれが面白い。
はみ出し者の警部補が地下室に追いやられて、謎のシリア人や変人の女の子たちと未解決事件を捜査するのだが、その時々の社会問題をうまく絡め、チームメンバーとのやり取りにはユーモアもあるので暗い事件でも楽しく読める。
今まで8冊出ていて、これは新作を楽しみにしているシリーズ。

はみ出し者を集めたチームで未解決事件の捜査、と全く同じ設定なのがフランスの「パリ警視庁 迷宮捜査班」。
 これは女流作家で、そのせいかチームのリーダーも女性警部という設定。
地下室ならぬ、古アパート最上階のボロ部屋に集められるのだが、驚くのがみんな勝手に好きな家具やら電化製品を持ち込んで壁紙まで張り替えてしまう所。
自宅ならともかく、フランス人はこれほど居住環境にこだわるのか。

フランスのミステリーはこれもベストセラーになった「その女アレックス」がなかなか衝撃的で、続けてピエール・ルメートルは3冊読んだが、描写が残酷すぎて気持ち悪くなってしまった。

幸いにして「パリ警視庁」にはエグイ描写はないが、設定ありきのストーリーで登場人物たちのキャラクターも浅く、娯楽小説にしてもちょっと物足りない。

またもやはみ出し者を集めた設定のイタリアのミステリーは「P分署捜査班 集結」。
 この設定はどこの国でも使いやすいのだろう、キャラクターの設定も「パリ」と似ている部分があるが、現地での出版はこちらの方が先。「特捜部Q」をなぞったようなタイトルは日本の出版社の仕業、Pはピッツォファルコーネ署から来ているのだが、米英以外の小説では地名や人名になじみがなくて覚えにくいのが難。

同じような設定ながらP分署の面々はパリよりキャラクター設定がきっちりしていて、解決する事件そのものは他愛ないが複数の事件が同時進行して、複数の視点からストーリーが語られるなど凝っている。シリーズものらしいので、これは続巻が楽しみ。

と、同じようなミステリーを続けざまに読むとお国柄が見えて、これが実は一番面白い。
フランスの小説では女性が強いし、イタリアの小説では胸の大きなナイスバディーの美女がぞろぞろ出てくる。そのわりにイタリア人はなかなか関係が進まないのだが、北欧だとすぐに寝ちゃったりする。

しかし一番違うのは食事について。フランスやイタリアの面々はチームで一緒に食事をする場面がたくさんあって、食べるものもおいしそう。それに比べて北欧では一人でせいぜいサンドイッチぐらいしか食べないし、ミレニアムの主人公たちなどタバコとコーヒーで生きているのかと思った。

警察小説で一番好きなのは実はイギリスのフロスト警部シリーズなのだが
 こちらはもちろん紅茶ばかり飲んでいる。

外国人が日本のミステリーを読んだらどう感じるのか、聞いてみたいところだ。


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コメント (2)
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