10月5日 続き
上諏訪から一駅、下諏訪駅で下車。
すぐに観光案内所に地図などもらいに行くとおじさんがいろいろ詳しく説明してくれた。
上諏訪の観光案内所でお勧めされたぐらいこちらのおじさんは有名らしい。
最近、観光案内所を見ると寄るのが習慣になったが、皆さん親切だし、やっぱり地元情報は貴重なのだ。
駅を出たらまずは諏訪大社下社の秋宮の方角に歩くが、上諏訪とは違ってこちらには大型旅館などなく、低い建物ばかりで落ち着いた雰囲気。
秋宮の鳥居の前を通り過ぎて少し行くと激渋のお菓子屋さんが見えてくる。
こちらの「新鶴」さんは塩羊羹を最初に売り出したお店だそうで、観光案内所のおじさんに「明日は定休日だからこの後すぐに行くように」と当然のように言われた。そこで素直に従って塩羊羹をいただくと
色は想像したような黒ではなくちょっと緑色がかって水羊羹っぽい。食べるとほんのり塩味で甘さも抑えられ、上品な味で確かにおいしい。
羊羹を買ってさらに行くと甲州街道と中山道合流の石碑があって
その横に綿の湯が出ているが、昔旅人で賑わったという浴場は今はない。
現在の中山道は車がやっとすれ違えるぐらいの狭い道。少し行くと下り坂になって
旦過の湯という共同浴場を過ぎると
本日の宿、「鉄鉱泉本館」があった。
こちらは創業110年と下諏訪でも一番古い旅館だそうで、現在の建物も大正時代のもの。
帳場から雰囲気があるが、女将さんに案内されて二階に上がると建具などが凝っていて楽しい。
自分が案内された部屋の入り口扉もアールのついた凝ったもの。
6畳の部屋の中は普通で畳などもいかにも古いが、これがまるで実家に帰ったようにやけに落ち着く。
窓は中山道に面していて、お向かいにも旅館が並ぶ様子が昔の宿場町らしくてこれもいい感じだ。
こちらのお風呂はすぐ近くの「旦過の湯」から引湯しているそうで
石造りで天窓以外には自然光が入らない造りだけれど、ここもまた非常に落ち着く。
ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉のお湯は癖がないけれどスベスベ、「旦過の湯」は熱いので有名らしいがここではかけ流しながら41℃の適温に調整されて気持ちいい~。
ところでこの宿の屋号である「鉄鉱泉」は浴槽ではなく、脱衣場の棚にある。
ちょっと黄色がかった水をおそるおそる飲んでみると酸味と少しの渋みがあるが思ったよりずっと飲みやすい。
こちらは含鉄、アルミニウム、硫酸塩冷鉱泉なんだそうだ。
食事は1階の食事処で。
この日は自分以外にはカップルが1組だけ。目隠しをして気を使ってくれている。
こちらの名物は鯉の洗いと旨煮。鯉は嫌う人が多いのだろう、お品書きの他にわざわざ鯉料理の説明書きが用意されていたが、洗いはこりこりと全く臭みなどなくて甘みも感じるおいしさ。
旨煮の方は甘辛いのだが今まで食べた中でも一番の味の濃さ。御飯がないと食べられないほどだったが、骨だけ残して食べつくしたら「こんなにきれいに食べてくれる人は少ないです。鯉も喜んでます」ととても感じのいい若女将に喜ばれた。皆さん肝の部分を食べないのだろうか、そこがおいしいのに。
この後はホタテの入ったかぼちゃ味噌スープとナスの田楽が来て、定番の揚げ物やら肉料理もないので物足りないかと思ったが、おそばがかなりの量で来た上に鯉の旨煮を食べるためにご飯まで食べちゃったのでものすごく苦しくなった。
地方色も出ておいしくいただいたが、全体に味が濃くて味噌も多用されているので食後はのどが渇いた。
朝食もワカサギの甘露煮や山クラゲ、自家製ヨーグルトに女将の3年物タクアンなど充実の内容。
こちらの宿は地味だけれど、お湯もいいし、とにかく落ち着く。
女将も若女将もとても気持ちが良くて、この宿に泊まって良かった。
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