文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

ブログのリストラ

2013-11-03 11:37:44 | その他
 私は、全部で3つのブログを持っている。一番最初が、2006年1月に、楽天ブログに開設した「時空の流離人」だ。次に、そこから資格試験、自己啓発系の記事を分離して、2006年9月に、この「文理両道」を開設した。最後に2008年8月に、書評・感想文ブログである「本の宇宙」を開いた。だからブログ歴は既に7年以上だ。

 しかし、記事によって使い分けているとはいえ、3つのブログを運営していくのは、なかなか大変だ。どうしても、関わりに濃淡ができてくる。そんな中、一応メインブログ扱いをしていた楽天ブログが、どんどんサービスを改悪してきて、ブログとしての体をなさなくなったので、他の2つのブログに運営の重点を移した。このブログに「旅行記事」を移したのも、元々は楽天ブログの改悪がきっかけだ。

 もうひとつのライブドアブログの方は、特に不満はないのだが、最近は読書をする人が減っているからだろうか、極端なアクセス数の低迷が続いている。やはり、ブログとしては、色々な話題がある方が読んでもらえるのかもしれない。

 ということで、とりあえず、数日前から、一番アクセス数の多いこのブログに、「本の宇宙」と同様に、書評を掲載していくことにした。「本の宇宙」の方は、様子を見ながら、将来は、このブログにすべて統一することになるかもしれない。

 このブログは、最初に書いたように資格試験・自己啓発系ブログである。しかし、考えてみれば、読んだ本の書評を書くということも立派な自己啓発だろう。勉強とは、資格試験を受けたり、学校に通ったりするだけではないのだ。旅行だって、映画やドラマを観るのだって、そこから何かを考えれば、立派な勉強なのである。勉強ということを、広い意味に捉えて、このブログを運営して行こうと思う。
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書評:かぐや姫の物語

2013-11-03 07:07:56 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
かぐや姫の物語 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店



我が国の「ものがたり」文学としての原点である「竹取物語」。これを高畑勲監督がジブリ流に解釈をして映像化した、「かぐや姫の物語」。本書は、その脚本を基に、ノベライズされたものである。

 竹から生まれたかぐや姫は、翁と媼に育てられて美しい姫に成長する。名だたる貴公子たちが姫に求婚するものの、誰も彼女がその条件にと示した宝を手に入れることができなかった、やがて帝までも姫に求愛をするものの、姫はこれにも応じず、月の世界に帰ってしまう。物語の大筋は、「竹取物語」もこの作品も変わらない。

 かぐや姫は「罪」を犯したためにこの世界にやってきたとされている。「竹取物語」では、それがどのような「罪」であるかは明らかにされていないが、島内裕子氏は「日本の物語文学」(放送大学教材)のなかで、<たぶん男女関係に関わるものだろう。あるいは性の過剰だったのかもしれない>と述べている。当時の貴族社会の状況を考えれば、この指摘も案外当たっているかもしれない。

 しかし、この作品では、「罪」に対して別の解釈を与えている。作品に描かれている月の世界は彼岸の世界。そこは、何もかも静かで落ち着いていている、四苦八苦に溢れた輪廻から抜け出した寂静の世界、悟りの世界だ。争いも、心乱されることもない。その代わりに心をときめかせるような感動も喜びもないのである。

 これに比べれは、この世の中、則ち此岸は混乱に満ちた世界だ。人は争い、貧困や病苦も蔓延している。崇高なる月の世界からみればそれは穢れ。そのような世界に憧れることは罪なのだ。確かにこの世はカオスに溢れている。しかし、それは一面では命の煌めき。生命の躍動でもある。

 「竹取物語」では、かぐや姫が最後に心を通わせたのは帝である。姫は、月に帰る際に、帝に不老不死の薬を授けるが、帝は姫のいない世界で永遠に生きてもしかたがないと、次のような歌を詠まれ、薬を富士山の頂上で焼かせてしまう。

 <逢ふこともなみだに浮かぶ我が身には死なぬ薬も何にかはせむ>

 月に帰ることを宿命づけられた姫と帝の愛の物語。これも「竹取物語」の大きなテーマである。ところが、この作品では帝との関係はあっさりと扱われ、代って木地師の少年捨丸が姫の心の中で大きな割合を占める。この変更は、実は作品に込められたメッセージと大きく関係しているような気がする。

 この世は、雲の上の世界から見れば、穢れに満ちているように見えていても、命の輝きに溢れている。姫は、動物も人も、精いっぱい生を営み続けるこの世界にこそ魅かれたのだ。だからこそ、姫が愛したのは、帝ではなく貧しい木地師の少年だったし、鳥や虫や動物や草木だったのだ。例え苦しみや悲しみが溢れていたとしても、この世界こそが、本当の意味で素晴らしいのだ。この作品には、そんなメッセージが込められているように思える。

☆☆☆☆☆

※本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。




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