文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:趣味は読書。

2013-11-16 09:30:43 | 書評:その他
趣味は読書。 (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房


 斎藤美奈子さんの「趣味は読書」(ちくま文庫)。実は、これまで、ずっと思い違いをしていた。著者のことを、てっきり北杜夫氏の娘さんかと思っていたが、あちらは斎藤由香さん。こちらの父上は、物理学者で宮沢賢治の研究家でもある斎藤文一氏。共通点と言えば、父上が、文理両道の人で、本人はふたりとも、成城大学出身というところか。

 ところで、この本だが、元々は平凡社のリトルマガジン「月刊百科」で、「百万人の読書」として連載されていたもので、忙しい皆さんに変わってベストセラーを読んで内容を報告しようという趣旨で始めたらしい。

 ベストセラーを対象にしているだけあって、名前は知っている本が結構あるが、不思議に殆どの本は読んだことが無い。全部で49冊の本を、以前読んだ「誤読日記」と同じく、シニカルでツッコミに満ちた筆致で、バッタ、バッタと切っていく。まさに、すがすがしいほどの切れ味(笑)。著者は、これらの本を次のような六類型に分類して紹介している。


1.読書の王道は現代の古老が語る「ありがたい人生訓」である
2.究極の癒し本は「寂しいお父さん」に効く物語だった
3.タレントの告白本は「意外に売れない」という事実
4.見慣れた素材、古い素材もラベルを替えればまだイケる
5.大人の本は「中学生むけ」につくるとちょうどいい
6.ものすごく売れる本はゆるい、明るい、衛生無害

 つまりは、これらが、ベストセラーを生み出すために心に留めなければならないことだということだ。本好きの割には、私はベストセラーと言われるものは、ほとんど読まないのだが、なんとなく頷いてしまう。それにしても、49冊も紹介しているのに、この本を読みたいという気にさせないのはさすがである(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。
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