![]() | ホーンテッド・キャンパス 死者の花嫁 (角川ホラー文庫) |
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櫛木理宇による青春ホラーシリーズ「ホーンテッド・キャンパス」シリーズの第4弾となる「死者の花嫁」。雪越大という、いかにも雪国にありそうな仮想の大学のオカルト研究会の面々が、怪奇な事件を解決していくというものだ。連作短編集であり、一つ一つの話は、それぞれ違った怪奇事件を扱ったものであるが、全体では、オカルト研究会のメンバーである八神森司と灘こよみとのラブコメ風な物語を構成している。
今回収録されているのは、以下の5篇。
・さいなむ記憶
図書館で森司が、何かが憑いているとオカルト研につれてきた、教育学部の中溝は、黒ミサで同じ大学の学生が殺される現場を目撃したという。
・追想へつづく川のほとり
オカルト研部長の黒沼麟太郎とその従弟のオカルト研メンバー・黒沼泉水の少年時代の物語。彼らの田舎には、すさまじい嫁いびりの歴史があった。嫁が逃げないように、携帯も解約させられ、独身時代の貯金通帳も取り上げ、牛馬のように働かせていた「藤のばばあ」の悪行と報い。
・ファイアーワークス
イベントサークルを主宰している教育学部の石黒は、人体発火現象に悩まされていた。石黒のあまりにも独善的でKYな性格が招いた悲劇。
・うつろな来訪者
黒沼家の別邸で、オカルト研の夏合宿。肝試しで訪れた墓で出会った男には、何かが両肩にしがみついていた。彼は自分の墓を探しているという。
・死者の花嫁
森司は、こよみの家に初訪問。こよみとはまったく似ていない両親。彼女は、実は父方の大叔母と瓜二つだった。その大叔母の悲劇。
ところで、本作のヒロイン灘こよみだが、性格もひかえめで優しい美少女なのだが、いつも眉間にしわがよった険しい顔をしている。実は、これ極度の近視で乱視のためらしいのだが、「いや、メガネかけるかコンタクト入れろよ」と思ってしまうのは私だけだろうか。「追想へつづく川のほとり」では、子供時代のこよみが登場するが、近所に出没する変質者対策で、なんと男の格好をさせれていたようだ。しかし、変質者だったら、美少年の方が却ってアブナイという可能性もあるのでは・・・。
森司は、こよみの両親に気に入られたようで、暇を持て余しているこよみの父親から、簿記の個人指導を受けることになってしまった。森司くん、もしかして春は近い。がんばれ森司(笑)。
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※本記事は、「本の宇宙」と共通掲載です。