蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

エンドレス姑物語

2020-04-26 | 
わたしは姑と仲良しだった。
至って相性が良かった。
お互い、正反対の性格、気性で、うまく凸凹が噛み合い、喧嘩することはなかった。
(その息子とは?だが)

わたしは姑を尊敬していたし、人生の先輩として、上司として、教えられることや影響をとても受けた。
こんな不出来な嫁を可愛がってもらい、感謝している。
組み合わせの運が良かったとも言えるが、姑に気に入られたようなものだから、姑としてもわたしを選んだからには大事に扱わなければ、ね。
(でも欠陥品だったかも?多少は目をつぶろう。て、誰に言ってる?)

姑とはよく、ピーチクパーチク喋った。
彼女は専業主婦だったので、時間采配は彼女流、彼女時間。
朝昼晩という食事時間の他には洗濯(干す時間、取り入れる時間)、お風呂タイム、就寝、、、と、一日は順調なタイムスケジュールになっていた。(当たり前すぎたか)
食事と食事の間に家事を入れたり、食事中におしゃべりを延長したり、
今日はこの事をしましょう、と計画を立てたり、規則正しい生活だった。
(ではあるが、監獄に入っていてもこんな感じかも?)
コロナ厳戒態勢の今なら、ピッタリ充実のお家時間になるだろう。

と、これは前置き。長くてすみません。

姑はよく喋った。
彼女の幼少期の話だけでもたっぷりあった。
実家の娘たちは「いとさん」と呼ばれる中でも、姑は末っ子だったため「こいとちゃん」と呼ばれていたとか。
すぐ上のお姉さんとの確執、一番上のお姉さんの嫁ぎ先やその優雅な結婚生活、両親の話、毎日の暮らし、お稽古事の話、、、などなど。

父親は骨董品が好きで、茶道具を特にコレクションしていた。(その影響もあり姑は茶道には詳しい)
母親は、学生時代はテニスを楽しんでいたらしいが、明治生まれなのにモダンで活動的。(生前、お会いしたことが何度かあるが、あのおばあちゃんが、ねえ、、、)
朝食はいつもパン。
商家ということもあるが、昭和初期当時の地方にしてはハイカラ・イメージだ。
だが、嫁ぎ先は、古い旧態然としたライフスタイルで全て姑には合わなかったらしい。
そうだろう、そうだろう、ほんとに旧態然としている。
男尊女卑、家父長制。昔の映画やドラマで見るかのごとく。
姑も身体を壊し、わたしも身体を壊した。
声なき声が、身体を通して訴えたのだろう。
(しかし、長男である夫は、無意識であるかも知れないが、骨の髄までその考えが浸透している。
それを書き始めると、またまた何時間あっても何日あっても足りない)

姑の小さい頃の話だけでも、長時間。
これに親戚の栄枯衰勢物語がまた長い。
聞いても聞いても、枯れない井戸水のように湧き出てくる。
よくまああんなに、こころに溜めたものだ。
出る出る出る。
姑のフィルターを通して見た家、家族観を延々と何十年も拝聴した。

わたしの母は仕事をしていたし、時間があれば仕事、仕事で、エネルギーが切れたら死んだように寝て、また復活する、ゾンビ活力の塊の人だった。
なので、専業主婦の姑とは行動内容が少し、いや、大いに違う。
頭脳は姑が優秀だったが、母とは置かれたポジションが違った。
経済を握るのは大きい。
わたしは、ぼーっと昼行灯(死語)だが、なんにも勉強しないで優秀な頭脳DNAを姑、夫経由で子供たちに繋いだ。
たまたまであるが、ラッキー。

と、話が逸れた。
膨大な人生時間とエネルギーを使う、使い方が、姑と母では違った。
姑は能力はあっても経済力がない苦渋、辛酸、悔しさを十分味わったと思う。
だが、安定した生活、ぬるま湯、殻から抜け出すエネルギーや勇気がなかったからで自業自得である面もある。
もともと抜け出す気などなく、ただ鬱憤晴らしに、わたしに対して、無意識ではあるものの深層心理では、隠れパワハラもどきのオブラートで包んで、話していたのかも知れない。
(だが、姑自身も「こんなに至らない未熟な嫁である自分を姑は責めなかった」と当時を振り返り、嫁いびりのない、きょうだい間にも喧嘩のない仲の良い明るい家だったと回顧していた。
姑が嫁いだ時は、長男である姑の夫にはまだ未婚の弟妹たちが同居していて、中でも、すぐ下の妹の話があるが、またそれが度々しばしば、しょっちゅう出てくる)

あるいは、他人には言えないから、わたしに思いっきりホンネを打ち明けたのだろう。(男たちには聞かせられない女子会トークもあった)
ホンネすぎて、重い、重い、、、途中、後半からは背負いきれなくなった。
ゼネレーション・ギャップも厚い壁としてそびえ立つ。
時間の経過とともに、姑は歳を取り、わたしも歳を取り、シーソーゲームで権力は推移する。
といっても、わたしはいつまでも権力なし。
もし、わたしが権力をフルに使えるとしたら、ダイアナさんではないが、Leave me alone!! かなあと。

と、話は逸れる逸れる。
姑の「幼い頃編」だけでも、たくさんある。
絶対に終わらないエンドレス・ストーリーなので、今日はこのへんで。