今日は、めいっぱい用事、家事、家に関することをやった。
そのなかで、いつも、わたしが、胃にある何かが、食道から喉のあたりに、逆流しそうになる作業がある。
それは、大っっ嫌いな作業であり、
ありったけの力をふりしぼって、全身全霊、心身ともに抵抗を示し、吐き気をもよおすほど、苦痛を伴う。
それは、なにかと言うと・・・
散らかるだけ散らかり、散乱した、山のような夫の衣類、その他、身の回りのモノの整理整頓だ。
食事の世話は、わたしはもちろん、いつも、している。
わたしは、サービス係で、夫・専属の女中さんなのだが、
(注;質の良い善良な女中であると自負している。
しかも、若く、一度も結婚したことがなかった麗しの身だったのに、
どんぴしゃ、昔でいうところの、結婚適齢期内の年齢で結婚し、主【あるじ】の子供まで次々、産んだ)
最近、食事中、主は自分だけに必要なソースや調味料などは、自分で取りに行くようになり、たいした進歩を遂げている。
だが、桃や柿は仕方ないにしても、ブドウ、さくらんぼに至るまで、器に入れて洗ってサーブしなければならない。
自分では、絶対に、なにもしない。
女中は、ハッサクを剥くのが、皮が硬くて、いたって面倒だと感じている。
「一度ぐらい自分で、剥け」、と言ってみたいが、勇気がなく、陰険に陰で(ここで)愚痴っている。
フルーツを口に持って行く手前まで用意しないと、自分で準備しない主、
それも、わたしが、むっとしているなかで、大きいといえば、大きいのだが、
それは、別の機会に譲るとして、
今は、山のような衣類の話でありまして、・・・・・限界、MAXに近く、わたしはイラついている。
よく、「片付けられない女」などと、マスコミで取り上げられている。
ブログでも、その手のブログは、けっこう、よく目にする。
ゴミ屋敷の男性が、行政から強制執行で、ゴミを撤去されたりしているというニュースを見るが、
近隣住民は多大な迷惑をこうむっている。
先日は、深夜テレビで、イケメンの若い男子の、汚い部屋が紹介されていた。
「一人住まいの息子の部屋があまりにも汚いから、どうにか息子が心を入れ替えてキレイにするようにして欲しい」
という、お母さんから苦情の申し込みを採択し、
番組のなかで、レポーター役のお笑い系の人(梅ちゃんの同級生役をやっていた、メガネかけて、大きな図体の女性)が、
突撃取材みたいなかんじで、その男の子の部屋に突入していた。
それはそれは、汚い、最低の部屋だった。
ゴミが部屋中に散乱し、洗いものは、ほったらかし、食べた後も、ちゃんと始末しない、
お風呂やトイレも汚れ放題、布団も汚い。生活用品も、ぐちゃぐちゃ。
その汚い、狭い部屋に、友だちの男子が二人遊びに来ていた。
男の子って、あんなに汚いものなのか? 汚くても平気なのか?(あんなに可愛い顔して)
前置きが、非常に長くなったが、
わたしが、片付けなければ、夫の周辺は、ああいうかんじになるだろう。
来週明けから、ゲストを迎えるため、開かずの間である、夫の衣類などを置いている和室を片付けた。
開かずの間は、開かないから、「開かずの間」、という。
厳密にいうと、開けないのだが。
えいやっと、気合を入れて、襖を開ける。
なにしろ、6畳の間、足の踏み場がない。
通り道を確保するには、足で、衣類を押しのけるしかない。
とりあえず、自分が座るスペースを確保する。
ものすごい憎悪がこみ上げてきた。
わたしは、この夫に、どんなヒドイことをしても許されるような、
そして、膨大なこの借しは、どんなことをしても返してもらうことは、無理、と感じた。
この借しは、結婚以来ずっと続き、今後も死ぬまで続く。
そう思うと、女中でもあり、囚人でもあるような気になる。
とりあえず・・・・・
まわりの手の届くところから、ひとつひとつ、取り掛かる。
冬服、夏服、ゴルフ服、ゴルフグッズ、下着、靴下、帽子、タオル、バッグ、その他・・・
ダンゴになって、ごっちゃ煮になって、どけても、どけても、次から次から、下に何層にも重ねられて置かれている。
これが、バター生地なら、幾層も重ねると美味しいパイになり、
クレープ生地にクリームを挟んでいたら、しっとりミルクレープ、
パイ生地にクリームを挟んだら、さくさくミルフィーユ(ケーキ)になるのだが・・・。
そんなことは、ありえなく、
クリームのかわりに、ゴキブリやネズミの死骸が挟まっていないだけ、ましか。
なにしろ、怒りはMAX。
なんで、こんな男なのだろう。
母親が悪い。マザコンだ。自分でやらせろ。
なんで、こんなにまでして、放置した?
こんなに溺愛する息子なのに、いともすんなり、お嫁さんに息子を渡した。
「あとは、オヨメさんにバトンタッチ、ああ、やれやれ・・・」そうつぶやいた言葉は、
あれは、強がりでもなんでもなく、義母の本心だろう。
嫁のわたしも、夫を改造しそこねた。
見事に失敗した。
子供の教育や躾けに精一杯で、肝心の大の大人の教育も躾けもできなかった。
これは、わたしの不徳の致すところである。
しかし、腹がたつ。
あいつは、人間なのか?
自分の身の回りをこんなになるまで、ほっておいて、よくそれで平気なもんだ。
さらに、「○○さんの奥さんは、ゴルフの用意をしてくれるらしい。いいなあ」
とか、言う。
(ぬかす、とか、ほざく、とかいう言葉は、わたしは、やはり上品過ぎて、使えない)
いくら、片付けても片付けても、成果が現れない。
ゴミと、不用品を振り分け、おおまかに、仕分けして、衣類を丁寧に畳んだりしていると、
畳の半分ぐらいまでは、面積が見えてきた。
あとをどうしようか、ないアタマを絞った。
何で、セグメントするか?
季節は、最初に手をつける大きなくくりだが、あとは、使用頻度か、ジャンルか、新旧か、品質の高い、低いか・・・
新品の肌布団が入っていた、大きな紙箱をふたつ持ってきて、シャツ系衣類を入れたりして、工夫した。
ブドウが4キロ入っていた箱や、ミカン箱もフル稼働して、ゴルフグッズやらなんやらを区分けした。
だんだん、畳の表面が、どんどん見えてきた。
あと少し・・・というところまで来たが、これ以上は、コンパクトにならない、というところで、とりあえず、あきらめた。
その頃には、怒りの代わりに、疲労に、
でも、なにくそ、と続けているうちに、やがて、疲労の代わりに、達成感へと移行した。
夫が帰ってきたときは、不思議なことに、比較的明るい心持になっていた。
ゲリラ的雷雨のあとの、晴れ間みたいなものか。
が、これで、恨みや、怒りが、消え去ってしまったわけではない。
今回は、たまたま、片付けに熱中して、うまくいっただけだ。
明るい満月の夜ばかりではない。
いつ、ふいに、突然、復讐の刃が向けられるか、
月明かりのない、闇夜に注意せよ、夫よ。。。。