雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

成人は何歳ですか? 小さな小さな物語 ( 1843 )

2025-01-13 08:05:16 | 小さな小さな物語 第三十一部

今日は「成人の日」です。
各地で様々な催しが行われるようです。殆どは市町村が開催するもののようですが、対象の方がいらっしゃる家庭などは、大わらわなのでしょう。それでも、新しい門出を祝う行事だけに、明るさや希望が渦巻いていることでしょう。
私たちのご先祖は、洋の東西を問わず、子どもの成長を祝ったり願ったりする機会を作って、さまざまな行事を行ってきています。わが国も同様で、現在忘れかけている物も含めれば実に細やかな配慮がなされています。
そして、成人式は、そうしたものの総仕上の行事だといえます。

ただ、わが国の成人である法的な規定は、なかなか複雑です。
かつては20歳で統一されていましたが、選挙権などが18歳に変更されてから、権利や責任などが分散されています。さらに、実質的ということになりますと、早くに仕事に就いている人は子どもの域を脱しているかもしれませんし、自立という観点から見れば、大学生の多くは、まだ到達していないのかもしれません。
もっとも、江戸時代以前の場合も同様で、形式上は男子は「元服」、女子は「髪上げ」や「裳着」などといった儀式が行われたようですが、その年齢には大きな開きがあったようですし、一般庶民などでは、村ごとの慣習などに従っていたようです。
いずれにしても、18歳や20歳よりはかなり早かったようです。

「人生五十年」という言葉をよく聞いたのは、それほど前のことではないと思うのですが、本当にそうだったのでしょうか。
「『人生五十年』という言葉は、信長が好んだとされる敦盛の一節『人間五十年 下天のうちを比ぶれば・・』の影響だよ」という意見もあるようですが、必ずしもそうではなく、昭和22年( 1947 )の平均寿命は「男 50.0 歳 女 53.9 歳」、昭和25年( 1950 )は「男 59.5 歳 女 67.75 歳」となっていますから、当時であれば、現実離れしているというものではないようです。
これが、江戸時代の頃となりますと、相当様子が変ります。もちろん、確実なデーターではないのでしょうが、平均寿命は30歳未満だったのではないかという資料があります。
江戸時代のある時期の限られた場所のデーターですが、成人した人の死亡年齢が「男 61 歳 女 60 歳」とされています。但し、当時の0~5歳児の死亡率は70%を超えていたともされますから、平均寿命となれば、30歳を下回ることになります。

昨年のわが国の平均寿命は、「男 81.0 歳 女 87.1 歳」ですから、「人生五十年」はまったく実感しません。ありがたい時代だということも出来ますが、「人生五十年」程度の根性では、生き抜くのは大変だということも出来ます。
成人の日の今日、若い方々の前途を祝う言葉の一つでも書き記すべきかもしれませんが、前途洋々であると共に、相当根性を据えて人格の基礎作りをしなくては、80歳90歳を超えて生きがいを持ち続けるのは容易でないことを伝えたいと思うのです。
「人生五十年」という言葉を耳にしながら年を重ねてきた者が言っているのですから、本当ですよ。ただ、良くしたもので、人間という奴は、それはそれで、80歳になろうと90歳になろうと、チャレンジ精神を培うことは可能のようですがねぇ・・・。


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