都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

江戸の売春(永井義男):教科書的な著作、関西版も欲しい

2016-11-01 04:15:43 | マクロ経済

 労作でまとまりが良い。知見を羅列する

・売春婦は、遊女、女郎(呼称として多かった)、娼妓、商売女、売女、玄人、傾城

・公娼:吉原と宿場(江戸四宿:品川、内藤新宿、板橋、千住)の飯盛女→飯盛旅籠屋、普通は平旅籠屋

・私娼:岡場所(非公認、取締あり)神社門前では根津、音羽、谷中(感応寺→天王寺)、仲町(永代寺)、赤坂氷川、芝神明、赤城、市川八幡前、回向院前

・私娼のその他の種類:夜鷹(上方では総嫁)、舟饅頭(苫船)、地獄(素人売春:出会茶屋など活用で差配が要る)、芸者(の一部、不見転)、比丘尼(びんざさらを鳴らすのが本業、ついでに夜は)、地物は素人女→地獄とは別で素人遊び

・遊里では廻し(一晩数人の客)が常態化、割床(大部屋を衝立で仕切る:8畳に3,4組の布団)

・性病に無防備、無知

・遊女は年季明けでも家事ができない、子供ができにくいため妾か大店の妻が多い

・関西の遊郭:京都島原、伏見夷町・柳町、大津馬場町、奈良鳴川、堺北高洲町・南津町、大坂瓢箪町、兵庫磯の町

・江戸の色町は湯女から

・吉原:妓楼と揚屋、妓楼から揚屋に行く行列が花魁道中の発祥、後に太夫廃止、揚屋制度も廃止し妓楼に直接に変化

・吉原は観光地、表の妓楼が格式高く、端にある河岸見世は安いと区分

・遊女の階級:花魁では呼出し昼三(揚代 1両1分:12万5千円に諸経費は数倍)、昼三、座敷持、部屋持 新造では振袖新造、番頭新造(雑用係)、禿(見習い)、遊女は教養と性技が必要、除毛

・三回目に肌を合わせるは嘘、初会から(でないと儲からない)→俗説が流布 初会、裏、馴染み

・楼主は忘八、遣手は憎まれ婆

・揚代は昼間利用が高い(お昼にちょっと)、夜は飲食で稼げるため安い

・四六見世はちょんの間、4尺5寸の間口、6尺の奥行き、10~15分で百文(1,500円)

・深川七場所:伏玉は女郎屋に上がる、呼び出しは料理屋で酒宴と奥座敷で遊女と同衾、船頭が段取り

・上野山下には火除地があり、見世物、茶屋と「けころ」のいる女郎屋

・陰間は男娼、芳町が有名、通和散が潤滑剤

・根津遊郭は洲崎パラダイスへ→東大ができたため

 

 必読の書だ。

コメント (1)
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