都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

大阪の万博を訝る:箱ものから世界の体験へ

2016-11-29 04:37:10 | 都市計画

 またも、夢洲(前は北港)が用地らしい。どうもカジノとセットで大阪復興をうたっており、府も市も賛成という状況だ。

 大阪は今や地方都市として神奈川と横浜の後塵を拝している。なんでまたというのはEXPO‘70の成功体験か。あの時は、千里ニュータウンとの連動、新大阪からの近接性と御堂筋線の輸送能力の高さでピーク集客の対応ができた。

 北港の交通整備( http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000044287.html )と跡地利用は考えていないらしい。一時は賑わっても、そのあとはどうなるのだろうか。大阪には不要とも思われる地下鉄も多い。

 むしろ、コンパクトでアメニティあふれる都心居住を売り物に、本町あたりを売り込むのが良いだろう。用地は靭公園や中之島の空き地などがお薦めだ。大阪での水運の拠点としての歴史や水と緑を売り込むのが現実的だ。誰が、大阪郊外の埋立地に行きたいと思うだろうか。夢洲もとい北港は市役所から10kmある。例えば、関西人が、東京駅から10kmの羽田空港で万博があるというと笑わないだろうか。

 夢洲もとい北港はSunk Costだ。( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8B%E6%B2%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8 英語 https://en.wikipedia.org/wiki/Sunk_costs )市場価値は低いが作ってしまった。作ってしまって、使わないのはもったいないと思うのは陥穽だ。行動経済学でよく笑われる事例だが、マーケット・プライスがない(売り物にならない)のは使わないか捨てるのが良い。高い値で買ったテニス・シューズだが相性が悪いのに無理に使うと、楽しくない上、捻挫か転倒につながりより高い医療費になる。こういう場合は、友人に譲るか、安値で売るかしかない。

咲州もとい南港も橋下前知事・市長の判断でSunk CostのWTCやATCを利用しようとしたが、耐震対策や庁舎引越の追加費用と市民サービスの低下を見ただけだ。現に、咲州でも今後の対応のため「咲洲ウェルネスタウン計画」が策定されているくらいだ。( http://www.city.osaka.lg.jp/suminoe/cmsfiles/contents/0000306/306810/keikaku01.pdf )

 大阪を世界に誇れるようにするなら、船場の職住近接に転生させる地味な計画から着手するべきだ。派手な箱ものにいまや集客力があるだろうか。海外に行けば本物がある。博覧会が流行ったのは日本では明治で勧業博覧会という工業発展のためだ。海外でも似たようなものだ。( 日本 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A 海外 時代を3期に分けている https://en.wikipedia.org/wiki/World%27s_fair )

 それとも跡地のカジノありきか、博打で儲けるのは都市産業のありようだろうか

コメント
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