都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

第35回まちカフェ 三条通の近代建築(笠原一人):保存手法の分析と街の賑わい形成とは別

2016-11-21 04:14:20 | 都市計画

 笠原助教は京都工繊大学でオランダの保存手法などを1年間の留学で研究、前にセミナー出席( http://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/3419218a6374e0eaa71c0fc279603d79 )があった。

 今回は近くの文化博物館であり、疲労のなか出席。あらら笠原さんの真正面。参加人数も多く近代建築は人気だ。2階の会議室は天井の縦横に突合せる模様が面白い。

 講演でAuthenticity : https://en.wikipedia.org/wiki/Authenticity 相当なのは“Authenticity (living history), in a living history presentation, or in a historical reenactment, a measure of how close an item of material culture, or a person's action, is to the known records concerning what was used or done in the time period being depicted”がキーワード。確かに建築的にはそうだが、社会学として保存の意義との根底となる「アメニティ」( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3 )の解説も必要だ。イギリスが発祥だが歴史物や緑は工業化に対する「癒し」とカウンター・カルチャーの側面がある。

 保存の区分があるが、過激でもある。なんちゃって増築(同化:島津元本社)、配慮増築(ガラスの箱:神戸地裁)は嫌い、つまりは異質のものを付け加える旧新風館は設計が傑作。

議論となったのか原型修復(東京駅) 当時の材質で再現(三菱本館 http://www.takenaka.co.jp/solution_manage/purpose/traditional/service11/index.html ) は保存かどうか。コンクリートで外観再現(第一銀行京都支店)はイメージ保存と手厳しい。

中京郵便局が嚆矢となったファサード保存は流行している。一部ならかざぶた保存(と言うらしい)、部分保存(日本生命三条ビルなど)、レプリカ保存(京都第一銀行など テーマパーク的)という。保存の位置付けのマップが欲しい。当方で考えたのが下記だ。

シニフィアン( signifiant )とシニフィエ( signifié )

( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%82%B7%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8 )として材料・歴史とデザイン・スタイルで区分した。

 

     signifié デザイン・スタイル   
 signifiant
材料・歴史 
Bitmap Bitmap Bitmap
 
 原型   付加・変容   
 原型   活用・保存・修復
(歴史遺産)
移転保存
(明治村など) 
 法規対応:免振付加など
(大阪中央公会堂) 
 
 原型+新築または新材料
 
 原設計復元に増築
(東京駅) 
 外周(ファサード)保存・内部転用(中京郵便局)
ファサード一部・一ヶ所保存
(事例多い) 
 
 材料とも復元
(三菱1号館) 
 用途転用・付加
(アメリカのFestival Market Place など ) 
 
 新築・新材料   現代の工法で外観復元
(第一銀行京都支店) 
 テーマパークや歴史風商業施設
(中国麗江、おかげ横丁) 
 
             
             

 破線の枠内がファサード保存や一部保存にあたる。特に用途転用をFestival Marketplaceなどで区分した。例えば、歴史物の商業化や、パリのオルセー美術館など駅舎の転用などがある。

 その他の気づきとして

建築的に評価の高い、新風館は賑わいがなく商業としては駄作だった。Festival Marketplace ( https://en.wikipedia.org/wiki/Festival_marketplace )として、賑わいの演出、テナント・ミックスに難があった。

 辰野金吾のイギリス留学と当時人気のノーマン・ショウの指摘はリヴァイバル様式(煉瓦と石の赤白ストライプも)と初めて知った。それなら旧日銀の折衷様式も変ではないと思った。実は、どうもバラバラ様式で、入口がオリエント(インド・サラセン)風のデザインは伊藤忠太に引き継がれるがどうもなぁと思っていた。

旧家邊徳時計店 ( http://www.kyobunka.or.jp/tradition/part_one/index.html )アーチに柱がないのは表屋造の軒の造りだからでは。京都の軒はもともと公共通路として道路にはみ出していたためか柱がないのが特徴だ。半公共空間ともいえる。

近くでもあり楽しめた

コメント
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