都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

飯場へ(渡辺拓也):体験は貴重だが、飯場の位置付けや特殊な雇用の分析が薄い

2018-01-13 03:56:50 | マクロ経済

論文のまとめの転用だろうか、飯場の体験から多面的まとめている。しかし、何のためにという目的がはっきりしないうえ、結論もない。最近、このような「新分野を調べました」といいうのが多い

 

 当方も研修で4か月間、堺東の商業施設の作業所で地下躯体に関わった経験があり、鳶・土工・型枠大工の躯体三職や鉄筋屋などに現場監督として関わった経験がある。

 土工( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%B7%A5#建築工事業の土工 )の補助が「手元」、著者は飯場でこの役割を体験している

 Hanba: An Ethnography of s Japanese Construction Laborers’ Camp から飯場とは、日雇いの手元を集めている集団居住の住居と派遣を指す。

 知見は:

・建設業の作業により、柔軟に労働力が必要、しかも習熟度が低いのが手元、長期固定の人材は職長、リーダーにも

・手元は「言われたことをやる」、「働きすぎない」、「怠けているようにみられてはいけない」

・勤勉さをアピールしたい→能力、業績でなく情意考課を狙う、エリートは勝つための競争、ノン・エリートは負けないための競争との論もある(原田達)

・飯場労働者には長期固定層(飯場の主力)、移行期固定層(長期への移行を志向)、長期化流動層(白手帳の印紙を貯めるなど一時的)、短期流動層

・経験が豊富でも有能とは限らない→ベテラン程大事故を起こすのは失敗学が証明

 実例が面白いが、その反面、社会学的見地からの飯場の位置付けや雇用の特殊性の分析、建設業の雇用ニーズの分析などが薄い

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