虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 5

2019-11-05 20:42:41 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

前回は休憩を挟んでしまって申し訳ありません。

 

「その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れる」

ということについて、どうしてうまく説明できないのか……と考えていて、

ひとつ思い当たることがありました。

 

いかにもこの書き方だと、何かをプラスする

というイメージがともなうのですが、

実際に私がしているのは、その反対なんですよ。

 

子どもは本来、その時期その時期で過度にこだわることがあるので、

私は子どもが関心を持っていることだけに

集中できるように余計な情報や手順を減らす

というサポートをしているんです。

これは算数の学習で関わる時も同じです。

何かを教え込もうとするよりも、その子が最も重要な部分に気づきやすいように

情報を減らして余計な負荷をかけないようにしています。

頭で考える作業だけに集中できるように

その子のレベルに応じて、めんどうな部分をはぶいてあげたりしているんです。

そうして、「算数の問題を解くのがすごく面白い」という気持ちになったところで

しっかり最後まで自分で解くよう勧めています。

 

それは簡単にしてあげているのとはちょっと違います。

ひとつひとつの課題を易しくして、スローステップで進めるようにしているのとは

大きく異なるんです。

 

その子が今一番、頭を集中させたいと思っているところに

照準を合わせやすいようにしているので、

実際している内容はその子の最近接領域で、

「できるようになりたい」けど、「自分ひとりではできない」レベルへの橋渡しです。

 

 写真は小学1年生のCちゃんの工作風景です。教室に着くなり、

「クローゼットが作りたい」と

言っていました。

「クローゼットってどんなもの?」とたずねると、

「引き出しとかがあって、こんな風になっていて……」と身振りで説明してくれました。

「どうやって作る予定?何を使って作る?」とたずねると、

「折り紙で箱が作れるから、それを引き出しにしたい」と言いました。

Cちゃんの折り紙の引き出しというのは、3、4歳の頃に何度か作ったことがある

「お風呂」や「プール」を作る時のシンプルな折り方でした。

引き出しにするのなら、最初に折り紙を長方形にしておくことと、

二枚の折り紙を外が表になるように合わせて

両面折り紙のようにして折るときれいな引き出しができるはず、といった話しあいをしました。

(↓の写真は3,4歳の子らのお風呂作りの様子です)

Cちゃんと、作った引き出しより数ミリ大きい幅で

方眼紙で背面の型紙を作りました。

それから、「あと、どんな面があるかな?」とたずねると、

「横のところと下と上」と言うので、側面の型紙を折り紙の箱にひっつけるようにして

サイズを把握して作り、底の型紙を折り紙の引き出しを上に乗せて

作りました。

こんな風に形の型紙を使って作ることにしたのですが、

Cちゃんに「後ろと右横左横の3つをひっつけて

折り筋をつけて折って作る方法と、

ひとつひとつの形をバラバラに切ってテープで合わせていく方法があるけど

どっちがいい?」とたずねると、「バラバラがいい」と言いました。

その後Cちゃんは、型紙を当ててみては、必要だと思う面を増やして

クローゼットを完成させていました。

 

こういう時、仕上がりがきれいかとか、効率的か、ということで選ばず、

子どもが自分の頭で判断しながら

興味を持続させて作れる方法を選ぶと、その後はどんどん集中して

自分で作っていきます。

 

 

 

下の写真は小学2年生のDちゃんが宝箱を作っている様子です。

はじめに材料箱から下のようなひし形の板を見つけて

それにきれいな折り紙を貼ることに熱中していました。

その後、何かひらめいた様子で、

「宝箱が作りたい」と言っていました。

宝箱のサイズやイメージをきいて

作り方の相談に乗りました。

Dちゃんは、ひし形のふたを型紙代わりにして

なぞり、底の面としました。

そしてそこから立ち上がる側面の型紙を作って、それを底の

辺にあてて側面を作って、ふたのない箱の展開図を

実際に紙を折ってイメージの助けにしながら描いていました。

 

こうした工作の後で1年生の子らは

長さの単位の変換を学んでから周りの長さを学び、

2年生の子らは面積の計算方法や方陣算などを学ぶと

やる気いっぱいの姿勢で学んでいました。

 

(↓ 1年生の周りの長さの問題です。自由に自分たちで作った形の周りの

長さを計算しています。)

最初の記事の説明が終わらないまま脱線しているのですが、次回に続きます。

 

 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (naoh)
2019-11-08 01:31:50
こんにちは。夏に一度大人向けの教室でお会いした者です。

小一の長男はいろいろなものにすぐに飛びつくものの、どれも長続きせず、やりきることがあまりありません。年少の次男に比べ、時間や概念の理解もなかなか向上していかないため、私もイライラしたり悲しくなってしまったりします。長男は少し発達障害っぽさを感じさせるところもあり、接し方にとても悩みます。ただ、レゴではすごい速さで複雑なつくりのものをつくったりしますし、スイッチが入ると工作も集中してつくったりします。
ただ、最近は仮面ライダーのおもちゃやテレビゲームがそうした機会をうばってしまっているように見えます。自分の自信の無さから、そうしたものに逃げているような、ネガティブな感じを受けるのです(本当にやりたいからやるのではなく、手持無沙汰だからやる、というような、、)
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