先の話と重複しますが、
虹色教室内では、最初はあまりやる気が見えなかった子も次第に深い集中状態に
入っていきます。
また工作やボードゲームなどに意欲的に取り組むと、その後の
学習態度も真剣なものになっています。
遊びや物作りへの意欲的な態度とと学習へのやる気のスイッチの入り方は
地続きで、強く結びついているものだと感じています。
前回までの記事で、
「簡単じゃないと、やりたくないと思うのに、簡単だとやる気がでない」
という複雑な心理と
「その年代、その年代で、とても敏感になっている
数学的なテーマを工作に取り入れる」
ということについて書きました。
それについて、2年生のDちゃん、Eちゃん、Fちゃんの積み木遊びとその後の算数学習の様子から少し補足を
していこうと思います。
教室のレッスンはたいていの場合、かなり自由にやりたい活動を選べるようにしているのですが、
たまに「今日は〇〇で」とざっくりとした縛りを設ける日があります。
この日は後者の方で、「今日は積み木を使って何かを作りましょう」という決まりのも
とで活動しました。
どんなものを作りたいかアイデアを出し合う際は、
三人とも制作にあまり乗り気ではありませんでした。
世界の遺跡の写真を見せたり、他の子らが作った
ヨーロッパ風の城や日本の城の縄張り図などの写真を見せたり
しても、「どれも作りたくない~」と言っていました。
それが、らせんの階段を高く高く上がっていった先に建物があるという
ちょっと難易度が高そうな建築物の絵を見て、「作りたい!」
と言いました。
何がこの子たちを惹きつけたのかというと、
「完成するかどうかわからない(まだ誰も作ったことがない)ような未知の難しさ」と
「とにかく階段を積んでいけばできそう
という作業に対する親しみ」だったようです。
まずざっくりと大きな土台を作り、それぞれに子が段差を作って
創作に励んでいました。土台作りはけっこう大変で、
かなりの高さを作るのにどうすればいいか
みんなで知恵を作って解決しました。
その「なんかいいものないかな?」「誰かいいアイデアない?」と
ちょっとした飢餓感やみんなで真剣に知恵を絞らなくてならない場面が
子どもたちのやる気を高めていきました。
またそれぞれの子が自分流のアイデアで
作りたいところを作っていたのも楽しさのもとになっていたようです。
子どもたちは、誰かの指示や指導のもとで、決められた作業を
まかせられるのではやる気がでないのです。
自分発の未知の発想を試してみる時、一番、いきいきしています。
教室で子どもたちの様子を見ていると、
幼児期の子たちは、2歳ごろの1対1対応の遊びから始まって、
個々の数えられるものをたくさん扱っていくことに熱心です。
それが年長頃から2年生の後半ごろまで
面を扱うことや形に興味がいきがちだと感じています。
3年生ごろの子はいったん何か形あるものを生み出すことへの興味が薄れ、
暗号やゲームのルールなどに惹きつけられる子が多いです。
暗号遊びに興じた後の子は、数字を記号に置き換えて
算数問題を解く力がついています。
同じように色いたを並べている時も
Dちゃんは正三角形の敷き詰めていて、一番端の部分に30度の三角の隙間ができるのを
何とかしようとがんばっていました。
Eちゃんは段差と段差をよりなだらかな段にするのに励んでいました。
Fちゃんは色板を立てた状態で面白い形が作れないかいろいろ試していました。
この日子どもたちは植木算にチャレンジしました。
何本かの棒を等間隔に立てていった時、間がどれくらいの長さを
問う問題です。
子どもたちは積み木遊びの延長で考えていたようです。
「できそうだ」という明るい見通しを持って、真剣に解く姿がありました。