たいていの子どもが「やりたい!」と感じるのは次のような場面です。
● 最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう。
● 好奇心をそそるような目新しさがある。
● 自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ。
● 他の子がやっていて楽しそう。
● リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ。
Aちゃんはそうしたほとんどの子がすぐに飛びつく場面で、ぐずぐずしていることがよくあります。
というのも、「最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう」
でも、Aちゃん自身が頭を使う面ではかなり難易度が高いものにやる気を感じるところがあるので、
それが「やりたい」につながらないのです。
でも難しそうならいいのかというと、Aちゃんは手先がそれほど器用ではなかったり、
目新しくてイメージしにくいものを嫌うところがあるので、
それもやる気をそぐだけなのです。
そういう点で、「好奇心をそそるような目新しさがある。」だけでは、
なんとなくしり込みすることがよくあるのです。
「自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ」
活動は進んでやりたがるのですが、それだと毎回、同じようなことばかりしたがることに
なります。
「他の子がやっていて楽しそう」なものは、
他の子に乗せられるのではなく、自分の心がやりたいと感じたことをしたい
という気持ちが強いAちゃんには、むしろ「やりたくない」という
あまのじゃくな態度を生みもするのです。
「リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ」にいることは
Aちゃんにとって(そして他のどの子のやる気にとっても)
大事ですが、気持ちの切り替えが苦手なAちゃんにすると、
好きな遊びだけして過ごしたいというだらだらした態度にもつながりがちです。
そんなわけで、Aちゃんというひとりの子を相手にするにしても、
Aちゃんがどんなタイミングで、どのようなシチュエーションで
やる気のスイッチが入ったのか、
よく観察して把握しておくこと、またAちゃんという子を
理解しておくことが、大事になってくるのです。
「簡単じゃないと、やりたくないと思うのに、簡単だとやる気がでないという子が、
適度に頭を使う楽しさはあるけれど、手指の巧緻性はさほど求められず、
難しそうなのに思わずやってみたいと思う工作」
物作りの場面で、そんな禅問答にでも出てきそうな子どもの思いにぶつかった時、
役立ってきたのは、
その年代、その年代で、とても敏感になっている
数学的なテーマを工作に取り入れることです。
それと、使ってみたいと思うような
小道具を使うのもいいです。
次回に続きます。