虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの発達 見える尺度 見えにくい尺度 2

2011-03-24 19:50:02 | 日々思うこと 雑感
前回の記事に次のようなコメントをいただきました。
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『今、その子の成長にとって最も大切なことをスルーしてしまう』
早期教育で、非常に見落とされてるところだと感じます。
娘が通っている工作教室に、娘よりも2つ年上の男の子がいるのですが、インターナショナルスクールに通う子で、早期教育に熱心な親子さんです。
でも、画用紙があっても、グチャグチャとペンを走らせるか、関係のない文字や数字をひたすら描いたりします。
自分から、描きたい作りたいって欲求が全くなくて、大人に評価されることを嫌がってグチャグチャにしてしまうという行動に見えます。
遊び方も、2歳の娘と同じような感覚的な遊びを好み、非常に幼さを感じるのです。
必要な時期に必要な遊び、内面的な発達が阻害されてきたのかな~と、思います。
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『自分から発する要求がない』
『評価されることを嫌がって、いい加減な行動をとる』
という姿は、
早期教育の結果というだけでなく、
現代の誤った0~3歳の子に対する接し方によって
とても多くの子たちが陥っている姿だと思います。

また私が気にかけているのは、
『声をかけても聞こえていないようにスルーすることが多い』
『言葉を発するとき、伝えたいイメージをほとんど持っていない』
『興味を抱いて集中して物を見ない』
『意欲が乏しく遊びが発展しない』
『遊びの中で表現される体験の幅が狭い』
という3~4歳の子の様子です。

発達障害の疑いはなさそうだけど、
そうした気がかりな態度を示すという子は、
早期教育のマニュアルにそった接し方をされていた子が多いです。

子どもが意欲的で自分でよく考え、
大人の話にしっかり耳を傾けて、集中して物事を行うようになるには、
3歳までの大人の接し方がとても大切だと感じています。

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先日、1歳7ヶ月の男の子の★くんと、同じ月齢の女の子の☆ちゃんが
レッスンに来ていました。
☆ちゃんはおしゃべりはまだ片言だとはいえ、
身振りや表情を使って、さまざまなことを☆ちゃんのお母さんに訴えかけていました。
☆ちゃんにお母さんが話しかけると、
即座に、「うん」「ううん、いや」とはっきりした反応が返ってきて、
自分はどんな風にしたいのかと
伝えようとしはじめます。
いちごケーキのおもちゃに自分でいちごを乗せた後で、
それを小さなテーブルに乗せて
自分のひざの上に乗せたいということを、懸命に伝えようとしていました。

☆ちゃんのお母さんは、☆ちゃんの言葉がまだ片言でも、
表情や身振りやお母さんのしたことに対するフィードバックを
きちんと受け取って、
「こうかな?」「ああかな?」と大きな子に対するように
きちんと返事をしています。
すると、☆ちゃんも自分の伝えたいことを次から次へと表現して、
自分の記憶の中のイメージや見たこと、こうしたいと思っていることなどを
説明しようとしていました。



そうした☆ちゃんに対して、
★くんはお母さんから声をかけられても知らんふりして、
無言で電車のおもちゃを動かしていたり、おもちゃの果物をポンポン投げたりしていました。
その様子を見ていた私は、
★くんのお母さんが「語りかけなくちゃ」「名前を教えなくちゃ」と
良い育児をすることに気を取られているので、
★くんが発信しているさまざまな思いをきちんと受け取っていないことが原因ではないかと感じました。

それで、私が「★くんはこういうことを考えているのかな?」と察しながら、
★くんに声をかけると、真剣にこちらの言うことを聞いていて、
少しすると、「うん」とこっくりしたり、「いや、だめ!」と言ったりして、
自分の気持ちをちゃんと伝えるようになってきました。

たとえば、おもちゃの電車を片づけるときも、
★くんにすれば、「これとこれは片づけても良いけど、こっちの電車は
まだ置いておいて、後で遊びたい」といった気持があって、
それについてたずねると、ちゃんと身振りでそれを説明するのです。

また、電車を持ち上げて「あっあっ」と指さしているときも、
その時その時で、「これは連結できるの?」とか、
「この電車はビューッと走るよ。ぼくはビューッとできるよ」とか、
「この電車、前に見たことがあるね」とか
ちゃんと伝えたいことがあるのです。

それを適当に「それはドクターイエロー!」「それは新幹線!」と、
大人が教えたい名前を言うとか、
英語育児をしているからと
英語で名前を教えるといったことを繰り返していると、
子どもは人とコミュニケーションを取ることに無関心になっていきます。
コミュニケーションへの関心が薄くなると、
外の世界から何か学び取ろうとする強い意志が見えにくくなってきます。

★くんは電車を遠くまで滑らすことに夢中になっています。
それで、電車がスーッと気持よく遠くまで行ったときに、
「見て!すごいでしょ!」という表情でお母さんを見上げて、電車を指差します。
そのときに、お母さんの答えが、電車の名前ばかりでは、
きちんと自分の気持ちが伝わったという満足感は得られませんよね。
そこで私が★くんが興味を持っていると思われる内容で話しかけると、
★くんは集中してこちらの話を聞いて、どの質問にも、
きちんと返事を返してきました。
その様子を見た★くんのお母さんは、
赤ちゃんだと思っていた★くんが
そんなにもきちんと物事を理解していたことに驚いておられました。

このように2歳に満たない子たちの場合、
コミュニケーションの取り方に少し気がかりなところがあっても、
大人側が修正すれば、すぐに気がかりな点は消えてしまいます。

しかし、3歳前後になって、
それまでに悪いコミュニケーションの仕方を身につけてしまった子の場合、修正していくのはなかなか難しいです。

ひとつの基準として、
2歳までに、『大人は自分の要求に正しい形で応えてくれる』という
信頼感が育っているかどうかが
とても大切だと感じています。
また、『自分で選んですることに自信を持っている』ことも大事です。

大人が四六時中、「こうしてごらん」「ああしてごらん」と声をかけて、
子どもはその指示で動くのでは、
何歳の子でも 自分で選んですることに自信を持つことができません。
失敗するたびに、正しい方法というのを口出しされるのも、
自信を失う一因です。

幼い子たちは、たくさんまちがう権利を保障してもらって、
まちがいから自分で正しい方法に気づくとき、
自分の能力に自信を持ち始めます。

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3 コメント

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Unknown (ikko)
2011-03-25 08:54:07
コメントをさせていただいたIKKOです。
早期療育の弊害だけでなく、今の時代多くのこどもが陥ってる行動なんですね。

また、大人の関わり方について、とてもわかりやすく学べました。
最近、親子のやりとりで、うまく言えないけどなんか変だな~なんか違和感を感じると思う親子を見かけることが多かったのです。
この間も、砂場で1時間ぐらい初めて一緒に遊んだ親子ですが、とにかくお母さんがよくしゃべるんです。
子どもさんは2歳でした。
子どもは、時々お母さんの質問に答えるかお母さんの言葉をオウム返し的に返す感じで、子どもからの要求が全然みえなくて。
また、表情がすごく乏しくて、遊んでいる間、笑顔があまり見られませんでした。
遊びに集中しているってわけでもなく。発達障害があるわけではなくても、何だかお人形みたいな印象があって。
非言的なコミュニケーションがあまりとれない感じです。

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Unknown (ポン)
2011-03-25 13:48:35
やっとさっき水が通りました!

すみません余り嬉しかったので久しぶりにお風呂に入れると思うと興奮してしまいました

娘の学校が五月位からなのでそれまで自宅で遊びながら数字や平仮名に親しみつつ自然に興味を持ってくれるようにして行きたいです

今はまだ娘の気持ちが落ち着かないのでまず気持ちが落ち着いてから

様子見つつ取り組んで行きたいです

返信する
Unknown (ぱぐぱぐ)
2011-03-25 14:30:18
コメントを取り上げてくだってありがとうございました。

奈緒美先生に文章にしていただいたことで、謎だった息子の心の中が少し見えて嬉しいです。これからも隠れんぼごっこにいっぱい付き合ってあげようと思います☆

今回の記事も考えさせられます。こちらの物差しで子どもを測っていないか、常に自分に問いかけないといけないですね。そして息子の心の声をよく聞いてあげられるママになりたいです。

実は奈緒美先生のおっしゃる大人が要求に正しい形で応えるという点で少し悩んでいます。今まで息子の要求を満たすということに気を配ってきたつもりなのですが…単に言いなりなだけ?と思ったりもしています。一歩間違うと息子の召し使いになってしまうような…。

うまく言えないのですが要求に正しく応えると言いなりになるということの違いってどういうことなのでしょうか?お時間のある時で良いので教えていただけたら幸いです。

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