「こんな子に育ってほしい」「あんなことができるようになってほしい」「こんな風に育てたい」と親が子に望むことはたくさんあります。
でも、本当は、親は子どもが「自分は有能で価値がある」と感じるよう自己肯定感さえしっかり育てたら、
子どもは自ら課題を見つけ、自分でチャレンジし、さまざまなことを達成していくようになるものです。
ずいぶん前になりますが、虹色教室に小学4年生の特別支援学級に通っている男の子と親御さんが見えたことがあります。
私が簡単なカードゲームの遊び方を教えると、男の子はとても喜んで取り組み、ルールを覚えました。
それから笑顔で、「お母さん、ぼく、●●(支援級)の友だちにこの遊び方を教えるよ」と言いました。
その子のお母さんは、男の子が新しいことを意欲的に覚えたり、覚えたことをお友だちに教えてあげようと思いつくことが心底うれしくてたまらないようでした。
それで、良い親であることを私に見せようとか、良い親でなくちゃと自分に課すとかではなく、本当に本心から言っている様子で、「この子を誇りに思います」とおっしゃいました。
私はいくつかゲームで遊んだ後で、易しいレベルからいくつか算数の問題を出していきました。そして終いには、その学年相当の『概数』の問題を出しました。
虹色教室で『概数』を学ぶ場合、ラミィキューブというゲームの数のプレートを色画用紙で作った枠組みに置きながら考えていきます。
しっかり解こうという意志があれば誰でも解けるように工夫していますが、
知的には少しもハンディーがない子でも、「難しい!そんなの習っていない」と集中力のない態度で臨めばいつまでも覚えることができません。
その男の子は、知的なボーダーライン上にいる子で、概数の理解はかなり難しいように思えました。
それが、「やってみる!」と言って、必死になってやっていたので、
2、3度間違えた後は、しっかり解けるようになっていました。
1回だけ見させていただく約束のレッスンだったので、その子と親御さんに会ったのはその1回きりです。
でも、私は自己肯定感について考えるたびに、その子のことを思い出します。
次回に続きます。
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