金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

219:中島らも 『空のオルゴール』

2006-10-12 11:17:01 | 06 本の感想
中島らも『空のオルゴール』(新潮社)
★★☆☆☆

『だらしな日記』で紹介されていたもの。
著者のことは大麻で捕まった人だということしか知らず、
亡くなっていたというのもさっき知った……。

アルジェリアの暴動を奇術でおさめたという伝説の奇術師・
ロベール・ウーダンについての調査を命じられ、
パリを訪れた大学院生のトキトモ。
後輩のリカに再会し、ウーダンに関係する奇術師たちと知り合う。
そんな中、リカの師であるフランソワが
奇術師抹殺を企てるU・M・Aに殺害され、
奇術師たちとU・M・Aの死闘が繰り広げられることになる。

うーん……。
おもしろかったのだけど、小説としての完成度はいかがなものか。
ロベール・ウーダンのエピソードはいったい何のために?
個性豊かなキャラクターたちも、
魅力を発揮する前にばたばた死んでしまい、
読み終わったあとで何が残ったかと言われるととても困る。
ギャグというか、笑いで終わらせるには、
人が死にすぎだろうと思うのだけど……。
後半で肩透かしを食らわされたので★2つ。

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218:あさのあつこ 『NO.6 ♯5』

2006-10-11 21:12:38 | 06 本の感想

あさのあつこ『NO.6(#5)』(YA!ENTERTAINMENT)
★★☆☆☆

籐子ちゃんライブラリーから拝借。
矯正施設での過酷な現実を目の前に、衝撃を受けながらも
ネズミとともに深部へ進む紫苑。
最後にネズミの知人らしき男が登場し、ネズミの秘密、
そして紫苑の秘密に触れられそう……なところで
例のごとく「TO BE CONTINUED」。
これだけページがあるのに、あらすじって言ったらこれだけ。
話としてはおもしろいのに、あいかわらず間延びした印象が
ぬぐえない。
重点が置かれている内面描写も、丁寧というのとは
また違うんだよね……。
いいかげんついていけなくなってきた。

それにしても沙布は紫苑のどこがいいんでしょうか。
主人公格二人の魅力がちっともわからないワタシ。
BLっぽい二人のやり取りはスルーするとして、
今後はイヌカシと力河の動きに期待することにします。

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217:おおたうに 『おしゃれTPO』

2006-10-09 18:56:15 | 06 本の感想
おおたうに 『おしゃれTPO』(大和書房)
★★★★☆

締め切りやらバイトラッシュでなかなか本が読めず。
お風呂タイムに雑誌や通販カタログを読んで
自分の欲求をなだめている今日このごろ。

さてこれは、イラストレーターおおたうにさんの新刊。
一般的なTPOではなく「うに流のおしゃれマナー」とのこと。
『チェリーコーク』+エッセイ、といった感じ。
既刊で見た絵が多くて目新しさは感じなかったけど、
ちまちまっと書き込んである『チェリーコーク』のテイストが
好きだったので、なかなかに満足できました。
「女の子」が好き、お洋服が好き!というのがにじみ出ていて
可愛い……
一冊まるごと『チェリーコーク』みたいな本がまた出ないかなあ。
日記やエッセイよりはイラストが好きなので。
リ チェリーコーク』と『ベリーベリーチェリーコーク』は
何度も読み返しているくらい好き。

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216:太田忠司 『ミステリなふたり』

2006-10-06 11:17:44 | 06 本の感想
太田忠司『ミステリなふたり』(幻冬舎)
★★★☆☆

『だらしな日記』より。昨晩読了。

「鉄女」「氷の女」と呼ばれる捜査一課の刑事・景子と、
年下でイラストレーターの夫・新太郎。
妻の持ち込む事件の謎を、安楽椅子探偵役の旦那が解決!
……という連作短編集。
家では甘えん坊の景子のキャラクターといい、
コメディ調でライトな雰囲気ではあるのだけど、
推理部分に関してはなかなか説得力がある。
(「本格ミステリ」がどういうものを指すのか、
 いまだによくわからないのだけど)
気軽に楽しいものが読みたいときにおすすめ。

最後の「ミステリなふたり happy lucky Mix」は
にやりとできる話ではあるものの、すぐにオチが読めてしまって残念。
不必要に景子の弟の存在がほのめかされるのだけど、
筆者のほかの作品の登場人物だったりするのでしょうか。

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215:浅田次郎 『天切り松闇がたり〈4〉昭和侠盗伝』

2006-10-05 10:47:17 | 06 本の感想
浅田次郎『天切り松 闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝』(集英社)
★★★★☆

女王さまのおすすめシリーズ。昨晩読了。
「出た!」と言いながら一年半も放置してしまった……。
「短編集なら途中でやめられるから」と眠る前に読み始めたけど、
結局全部読んでしまう。

現代と回想を説教でつなげるのにやや無理やり感はあるのだけど、
語りの部分になるとやっぱり引き込まれてしまう。
「昭和侠盗伝」「日輪の刺客」「惜別の譜」がよかったなあ。
「惜別の譜」は「小説すばる」掲載時にちらっと読んだのだけど、
こういう話だったのね。
5編の中ではいちばん浅田節が炸裂していて、涙が……
浅田次郎は油断して電車の中で読んだりすると大変なことになる。

それにしても栄治兄ィはいつのまにこんなことになっちゃったんでしょうか。
親分も年をとり、忍び寄る老いにさびしさを感じます。

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214:金井美恵子 『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』

2006-10-04 16:00:50 | 06 本の感想
金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』(朝日新聞社)
★★★★☆

これはファッション誌の読書特集で挙げられていたもの。

目白のボロアパートに住む桃子(30歳、アルバイト、彼氏なし)と
彼女をとりまく友人の花子、小説家のおば、隣に住む岡崎さん。
独身女たちの、飲んだくれ、しゃべりたおす毎日をつづった物語。
弟の結婚、母の再婚など事件らしい事件もあるのだけど、
映画と本が頻出するやけに高尚な、けれどとりとめのないおしゃべりが
大半を占める。

筆者自身、自らをモデルとしたおばの文章を登場人物に
「センテンスが長くてねえ」と言わせているように、一文が長い。
文字量に比して句点と「」の使用頻度が低いため、
最初はあまりの読みづらさに投げ出そうとしたのだけれど、
慣れてくるとそれほどでもない。
何も起こらない話なのだけど、ついつい読みすすめてしまう。
ブログ日記をひたすら読んでいる感じ。

新潮批判のくだりでは思わず背表紙を確かめ、
「朝日新聞か、やっぱり……」
とつぶやいてしまった。
キティとうさこちゃん対決がおもしろかった。

『小春日和』という本の読編だったようだ。



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213:荒川洋治 『日記をつける』

2006-10-04 09:50:40 | 06 本の感想
荒川洋治『日記をつける』(岩波アクティブ新書)
★★★☆☆

「読みたい本リスト」消化月間。
これは確か角田光代のエッセイで紹介されていたもの。昨晩読了。
著者は詩作家。
日記というもの、または日記をつけるという行為について分析したり、
自説を述べたりしている。
作家や詩人の日記の引用が多く、読書案内としてもお役立ち。
新書だけどかたくるしさはなく、エッセイみたいな気軽さで読める。

エロ日記といえば石川啄木のローマ字日記だけれども、
この本に挙げられている徳富蘆花の『蘆花日記』、
山田美妙の日記もこっばずかしーい!
そして大学の講義で、同じ話を聞かせないため、誰がいてどんな話をしたか
日記につけているという著者の姿勢に感服。
わたし、毎年ネタは同じだよ!
引き出しをたくさん持ちたいものです。

それにしても日記って、つけてないときはまったく平気なのに、
一度毎日つけるくせをつけると記録しないことに不安を感じるようになる。
根暗日記もよそで毎日ひっそりこっそりつけてます。

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212:筒井康隆 『七瀬ふたたび』

2006-10-04 09:32:17 | 06 本の感想
筒井康隆『七瀬ふたたび』(新潮文庫)
★★★★★

昨日読了。おもしろかった!
久しぶりに胸躍る本を読んだなあ。
テレパス火野七瀬を主人公とした三部作(これは読了後に知った)の二作目。
同じ能力、あるいは異なる能力をもつ超能力者たちとの出会いと、
超能力者を殲滅させようと企む謎の組織との戦い。
異端者である超能力者たちの孤独と、友情にホロリ
これぞエンターテイメント!という感じで、読みながらどきどき。
存在は知りつつ長い間手をつけられずにいたけれど、
高校生くらいのころに読んでいたらかなり嗜好に影響していたはず。

とりあえず次は一作目の『家族八景』。

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211:鳥飼否宇 『昆虫探偵』

2006-10-03 09:05:25 | 06 本の感想
鳥飼否宇『昆虫探偵―シロコパκ氏の華麗なる推理』(世界文化社)
★★☆☆☆

これも『だらしな日記』より。昨夜読了。
行儀悪くごはんを食べながら読もうとしたところ、
一話めの最初にG(自主規制)の絵が出てきたもんだから、食欲が減退。

ある日突然人間からG(自主規制)へ「変身」を遂げた葉古小吉。
クマバチの探偵の助手をつとめつつ、昆虫界の事件
(殺虫、密室、その他いろいろ)を追うことになる。

いやー……虫が好きかどうかだね、これは。
虫好きには楽しめるであろう一冊。
著者も相当な虫好きだと思われる。
わたし? 超・虫嫌いです。
擬人化してある分、おえ~っと思っちゃう描写が。
登場人物(虫?)に対するネーミングセンスもどうなのよ?
しかし設定のばかばかしさとこの遊び心は買いたい。

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210:宮部みゆき 『日暮し〈上〉』

2006-10-03 08:55:55 | 06 本の感想
宮部みゆき『日暮らし 上』(講談社)
★★★★☆

『ぼんくら』の続編。昨晩読了。
前作を読了してから、間を空けすぎた……。
前作のラストに伏線が張ってあったと思うのだけど、
話自体すでにぼんやりとしか覚えていない。
読みながら「そうだった、そうだった」と思い出す感じ。
最初は番外編的な連作短編集?と思われたのだけど、
最後の一話で話がひとつに集約、伏線だったのねと気付く。
母親が殺害され、下手人として捕らえられた佐吉。
佐吉が殺したと断定する湊屋の面々に、平四郎は憤りを感じる。
屋敷でいったい何が起こったのか?……というところで
(下巻につづく)。
前フリが大部分で、本編はまだ事件が起こっただけという段階。
下巻に期待大。

わたしにしてはめずらしく主人公が好きです。
あと、奥さんね。

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