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★★★★☆
表題作とその続編である「小田切孝の言い分」、
「アーリオオーリオ」の三編を収録。
表題作は高校生の模試で使われているのを一部読んで
「あんまり好きじゃなさそうだなあ……」
と思っていたのだけど、なかなかおもしろかった。
高校時代の先輩である小田切を忘れられず、
指一本触れられないまま、彼に振り回されて
「都合のいい女」に徹している主人公。
この小田切って男が、過去の栄光にしがみついてるような
典型的なダメ男で、読んでいるこっちまで「やめておけ!」と
言いたくなる感じなのだけど、この「純愛」というには
執念深くてコワイ片想いがなにやら新鮮でもある。
そして女の一人称で書かれていた表題作に対し、
「小田切孝の言い分」は三人称を用いて
男と女、双方の視点を織り込んでいて、
女のほうもダメ女だということが発覚。
清掃工場につとめる男が中学生の姪と手紙のやり取りをする
「アーリオ オーリオ」がいちばん好きだった。
もの悲しく、淋しくて。