金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

364:山本文緒『再婚生活 わたしのうつ闘病日記』

2021-09-22 17:46:22 | 21 本の感想

【Amazonの内容紹介】

「ほんの少しの起きている時間で、パン一枚だけ食べて、
書かなくちゃならない原稿だけ死ぬ思いで書いて、
猫の世話だけは何とかやって、
あとはとにかく臥せっているしかありませんでした」
望んだ再婚生活なのに、心と身体がついてゆかない。
数回の入院生活と自宅療養、うつ病をわずらった作家が
全快するまでの全記録。
克明な日記の、2年2ヶ月の空白期。
書けない時期に何があったのか──。
文庫化にあたり60枚を加え、重症期の闘病を明かす!

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連載時、掲載誌を仕事のために買っていたため、
山本さんがうつ病で苦しんでいたことは知っていた。 
『負け犬の遠吠え』のくだりを読んだ記憶が
はっきりある。

メンタルの病気って、コンディションによっては 
病気でない人と同じぐらいに元気だったりするから 
怠けたり甘えたりしていると思われて
それがまたしんどいのだろうなあ。

「改めてふり返ってみました」のパートを読むと、
やはり連載されていた日記からうかがえることも
ほんの一部にしかすぎないとわかる。

追記:記事を書いて気づいたけど、なんと、これ、
   単行本版を読んでいた……。
   記憶がまったくない!!

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354-363:山田芳裕 『へうげもの〈1〉~〈25〉』

2021-09-22 17:33:52 | 21 本の感想
 山田芳裕『へうげもの(1)~(25)』
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

群雄割拠、下剋上の戦国時代。
立身出世を目指しながら、
茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。方向
織田信長(おだのぶなが)の家臣・
古田左介(ふるたさすけ)。
天才・信長から壮大な世界性を、
茶聖・千宗易(せんのそうえき=利休)から
深遠な精神性を学び、
「へうげもの」への道をひた走る。
生か死か。武か数奇か。それが問題だ!!

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1巻から3巻が無料だった時に読んでハマり、
少しずつ読み進めていた。
ついに最終巻まで読了。 
すごい漫画だった。 
信長から秀吉、家康の時代を、
権力争いだけではなく、気風や文化の衝突として
描いているところが面白い 。

長谷川等伯や俵屋宗達、小堀遠州といった文化人だけでなく 
マイナーな武将もしっかり登場している。

エネルギッシュでチャーミング 。 
ギャグの部分も、きちんと勉強した上で
崩しているのが分かるし、 
はっちゃけるなら徹底的にはっちゃける、といった
思い切りの良さも感じられる。

下品な要素もあるので好き嫌いは分かれそうだけど、
この時期を描いたフィクションの中でいちばん好き。

主人公が内通の疑いをかけられて切腹させられる、
ということが史実としてわかっているので、
それをどう処理していくのかということに
終盤は興味津々だったのだけども、
最後まで明るく痛快に描いていた。 
これまでを文化闘争として描いてきたため、
敗北ではなくポジティブに受け取れる。

主人公と一緒に生きてきた者たちが
次々に退場していく終盤も、
みんな乱世を生き切った感があったし、
主人公の教えを受けた文化人たちが才能を花開かせて
自らの道を切り開いていくことにも胸を打たれる。
賞を取るのも納得の面白さ。おすすめ。

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353:所功 『国民の祝日の由来がわかる小事典』

2021-09-22 17:27:50 | 21 本の感想
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

「建国記念日の日」「こどもの日」「勤労感謝の日」…。
今や年間十五日にのぼる「国民の祝日」はいつ頃、
どのように成立したのか。
古来の民俗的な年中行事や人生儀礼に伴なう祝祭日。
明治以降の国家的な祝日。
さらに平成に入ってから付け加えられた「みどりの日」や
「海の日」など、「国民の祝日」は古さと新しさをあわせもつ。
そこには、わが国で永年育まれてきた自然と、先祖に感謝する心、
共同体の人間関係を尊ぶ豊かな精神が盛り込まれている。
歴史学の観点から日本人の英知を解き明かす。 

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皇室の祭典の行われる日が祭日、
国及び国民一般の祝いの日が祝日。
戦後、「祝日」に一本化。
GHQとの兼ね合いで、皇室関係の祭日を残すのに
苦心していた様子がわかる。

筆者の思想が出すぎているのを嫌だなあと思うところも
あったけど、知らなかったことが多く楽しめた。

【メモ】
・季節の語源に関する説の例
「暑(アツ)」から「夏」
「冷ゆ(ヒユ)」から「冬」
「晴る」から「春」
「天候が明らか」だから「秋」

・祖先の霊は大晦日に子孫の家に戻ってくると
 信じられていた(「小右記」、和泉式部の歌)

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