吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

マムシ咬傷

2007年12月06日 07時02分28秒 | インポート

 自分の臨床医学のベースは大学病院で学んだことよりも、田舎の病院に出張していたときに得たものが多い。その中には都会の救命センターではあまりお目にかかれない疾病もある。例えばツツガムシだとか、破傷風だとか、マムシ咬傷などがそうである。マムシに咬まれると牙痕が2つ残る、そして咬まれた直後より猛烈な痛みと腫れが出現する。マムシ血清を使用しなくても概ね死ぬことはないが、老人子供では時にアブない。もし咬まれた肢がパンパンに腫れると血流が悪くなりへたをすると血流不全から壊死を起こしかねない。時に皮膚と筋膜を大きく切開して浮腫んでいる筋肉内圧を外に逃がしてやる必要がある。

 昔、東京から遊びに来ていた子供がマムシに咬まれて入院した。子供なのでなるべく筋膜切開しないで毎日様子をみていたが、いよいよ足の循環が悪くなったので筋膜切開を行った。足は壊死を起こさないで済んだが、もちろん大きな傷は残った。親からは「もっと早く切開していれば、こんなに長引かずに傷も小さく済んだのに。誤診だ」とさんざん文句を言われて本当に泣きたい思いだった。結果だけで判断されるのは辛い。