確かに心筋梗塞の場合、発症直後ではなく数時間後であるならば心室細動が起こることも珍しくはない。そうであるなら、なおさら「心筋梗塞」ではなく「心室細動」とメディア発表してほしかった。
過去に皇族の方がスカッシュ競技中に意識不明に陥った。この時も今回同様、胸痛で七転八倒することなく、胸部不快感から直後に心停止に陥った。この時搬送されたKO大学救急部のA教授は病名を「心室細動」と発表した。この背景には救急医の願いがこめられている。心室細動に遅滞なくAEDを施行することで、患者の社会復帰はある程度の確率で可能なのである。ところが当時AEDはまだ日本には普及しておらず、結局彼は残念な結果に終わったのだ。A教授は心室細動の原因が何であってもそんなことはどうでもよく、むしろAEDが普及することで救命できうる「心室細動」という存在を広く知らしめたかったのである。