糖尿病合併のない心筋梗塞では、若年者の急性発症の場合、通常強い胸痛や胸部の締め付け感など激しい症状を訴える。よって発症直後からしばらくの時間は激しい胸の痛みを訴えるはずである。ところが松田選手の場合は練習中に激しい胸痛を訴えて七転八倒したという話は聞かない。胸痛ではなく胸部「不快感」を訴え「ヤバイ、ヤバイ」といいながら直後に意識がなくなったようである。つまり心筋梗塞が先行してそこから心停止したというよりも、いきなり心室細動が出現したというほうが正しそうな経過である。労作時の発作ではあるがQT延長症候群やブルガダ症候群などを元々持っており、そこから心室細動を急に起こしたというほうがエピソード的に正しそうである。まあ主治医がTVで心筋梗塞といっているので今回は本当にそうなのかもしれないが、それにしても視聴者の前面に大きく「心筋梗塞」という病名が出てしまった。何故「心室細動」と発表されなかったのかが残念に思われる。