それにしても一人の患者さんに4つの医療機関が関与していながらお互いそれぞれ連携がないのも珍しい。結果的には家人に最大限の負担がかかっているわけである。よく「かかりつけ医」という言葉がでてくるが困ったことに明確な決まりや定義がない。そのため「かかりつけ医」といっても縛りがないためか、どうも自分の専門以外はまったく診なくても良いようなのである。またA病院とC診療所とではどちらが一体かかりつけになるのであろうか? これも明確な規定はないので困りものである。自分は亡父の診療を見て育ったが、自分のところに通院する「かかりつけ」の患者さんには、父は専門外でも何でも相談に乗った。必ず最初に診察をして自分で事足りなければ他院に紹介した。往診したときも父はその方針で行ったようだ。そして手に負えないときは自分で患者さんの「嫁ぎ先」を探し出して連絡をして収容をお願いするところまでやっていた。自分もそれが「普通」だと思っているが最近ではどうもそこまでしなくていいようである。都会では患者側もドライなのかそこまでひとつの医療機関に依存的にかかりきりにはならないようだ。事実、大量の医療機関の受診カードをお持ちである。現在では患者と開業医との関係が希薄になってきたためであろう。