吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています

コッツン頭部外傷 その3

2013年01月26日 06時53分05秒 | インポート

 しばらくして、その病院の院長から呼び出された。このような患者が何件か続いた後のことであった。患者家族から院長へクレームがいったのであろう。事情を院長に説明した。それを聞いた院長は言った。「はぁー、吉田君ね、確かに君のほうが正しいよ。間違っていない。でもね患者家族は不満に思っているだろ。そしてそれが積もりに積もれば医療不信に陥る。どちらが正しいということではなくて患者が不信感をいだけば、どんなにこちらが正しくてもだめなんですよ。しかもね夜中でもCT検査は可能な体制ですよ。検査すればそれなりに病院収益になる。技師の当直代くらいは出るよね。しかも夜中に君が30分以上もの労力をかけて説得し不満に思われるのと、『はい検査しましょう』といって結果をみせて5分で満足させて帰宅させるのではどちらが君の睡眠時間が長く取れるのかよく考えてごらん。君も翌日だって朝から通常の診療勤務なんだからね」といわれた。ショックだった。でもこれが正しい「裏の医療哲学」なんだと勉強になった。