吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています

池上彰氏の番組 その7

2014年06月11日 06時15分03秒 | インポート

 交通事故の重傷者は、たとえば頭部や胸部や腹部や、そして四肢などの多部位にわたって損傷されることが多い。日本の病院の多くは、頭部は診れても胸部損傷があると収容できませんとか、四肢の骨折は診れるけれど、頭を打って血を流して意識がなければうちでは診れませんという各科別の診療体系である。これはシステムがそうであるというばかりではなく同時に多科にまたがる傷病形態の教育を今まで受けてこなかったからであるからである。日本ではそのような教育がなかったということは、そのようなことを教える人の人材も育つわけがない。当然足の骨折の治療中に患者の心臓が止まっただの、頭部外傷でCTスキャンの検査中に呼吸が止まってしまったなどとのトラブルで亡くすことがよく聞かれた。このような患者では治療の順番を一つ間違えただけでも助けることはできない。まさに応用問題を解くようである。1980年代当時から米国では多部位にわたる複数外傷をもつ重症患者の初療を習得する講習にATLSというコースがはじめられていた。<o:p></o:p>