吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

誤嚥性肺炎 その4

2017年07月29日 06時35分02秒 | 日記
 どう考えても、この医師の言う「誤嚥性肺炎とは食事中の食べ物が気管に入って起こされた肺炎であり、それが死因の第3位・・・」というのは誤解を招くだろう。
 食物誤嚥で死因第3位になるというなら死亡に至る誤嚥性肺炎例の病態まできちんと説明すべきであろう。たぶんこの医師は誤嚥性肺炎で「死にそうな」患者の治療をしたことないのだろう。

 自分は救命センターで嫌と言うほど誤嚥性肺炎を見た。食事の時に食べ物が原因で・・・というのもないことはないが、食事中に気管に食べ物が入った高齢者は誤嚥性肺炎などと言う悠長な状態に至る以前にすでに窒息で死んでいる。
 誤嚥性肺炎の原因の多くは「寝たきり状態だが、知らないうちに呼吸状態が悪くなった」という既往なのである。「誤嚥」という言葉に引っ張られて食事を飲み込むのを失敗したことが原因と勘違いしているようだ。
 死に至るような誤嚥性肺炎の原因は「沈黙の(胃内容物の)気管支への逆流」(silent regurgitation)なのである。コメントいう医師もいいかげんでは困る。