吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

麻酔事故 その4

2017年07月25日 05時58分26秒 | 日記
 自分も、硬膜外麻酔の合併症である、くも膜下腔への薬剤注入(dura puncture:通称ドラパン)は数回やってしまったことがある。
 でも起こりうる合併症であると知っていたし対応方法も遅滞なく行えたので問題はなかった。(もっとも手術室を出るまでに時間がかかったので家族には心配されたが)
 麻酔をかけてきちんと効果を確認しないままその場を離れるのは完全にアウトである。

 腰痛治療に硬膜外麻酔をするが自分のクリニックではもちろんやらない。人手がなくそこにかかりきりになるわけにはいかないからである。
 またきちんとした全身観察、経過観察ができないので胃カメラ、大腸カメラなど内視鏡検査中の麻酔(意識をなくす鎮静)サービスも基本的にしない。
 最近、内視鏡検査では「うちは寝ている間に終わりますよ。苦しくありません」とのうたい文句で内視鏡中の鎮静をおこなう施設が増えてきた。でも検査しながら全身状態(呼吸停止など)を観察するのは自分は苦手である。患者側も「注射1本で楽に寝られ、苦痛がない」と安易に思うであろうが、昔から事故は一定の確率でおこり100%の安全はないのであることを理解してほしい。
 手術はもちろん検査はいわゆる「侵襲行為」である。基本的に100%の安全を保証できるものではない。
 患者側も「楽に」とか「快適に」という謳い文句は幻影であると思ってほしい。