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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

映画祭と花々と六の時事川柳

2007-03-05 00:16:36 | 川柳日記
 三日、「愛知平和映画祭」へ行く。三作品上映だが、『紙屋悦子の青春』『蟻の兵隊』はすでに観ているので、是枝裕和監督の『花よりもなほ』に焦点を絞る。
 彼の作品については、これまで『DISTANCE』(2001)、『誰も知らない』(2004)を観ているが、この映画はまた、それらとはまったく違った時代劇。


     会場となった名古屋市芸術創造センター


      その前には緋寒桜が咲いていた

 武士の本分や大義といった抑圧的な概念から解放されて行く1人の若者の物語だが、これが実に面白い。武士という名にがんじがらめの赤穂浪士との対比のストーリー展開も抜群だが、その舞台となったオンボロ長屋が素晴らしい。

 要するに、彼が解き放たれて行くのも、こうした番外地のような空間、あらゆる法や掟の外部であるような場所においてであって、ときとして、この長屋そのものが主人公ではと思わせるものがある。

 古典落語の長屋をも上回るそのパワー、その住人たちのかもし出す風情と台詞、しばしば会場は笑いに包まれる。
 群像劇のようなところがあり、その交通整理に幾分不十分なところがあるといえ、是枝監督の多彩な才能が遺憾なく発揮された映画であった。


      会場前の緋寒桜を接近して撮る

 映画に先立って、広島大学の講師で、1971年の名古屋を舞台にした「ピンポン外交」の記録映画を観て、日本への印象を改めたという袁 葉(えんよう)さんという女性の「銀幕が結ぶ日本と中国」というテーマの講演を聴いた。

 彼女自身の映画体験を踏まえたそれはとても面白かった。
 表面、似ている東洋の二つの国だが、例えばそこにある死生観、ないしは生死観(中国では後者、ATOKでは前者はそのまま出てくるが、後者は分解してでなければ出てこない)などでかなりの相違があること、しかしそれらの違いが映画などの評価のやりとりの中で、相互理解に至ることを述べていて興味深かった。

 彼女が題材として取り上げた『山の郵便配達』(当初は日本での方が評価が高かった)は、二度観ていたので、いちいち頷けるところがあって一層共感できた。

 休憩時間に外に出てみると、会場から東へ延びる並木はコブシのそれで、もうすっかり咲きそろっていた。
 


 以下は、そのコブシの狂想曲。








 <今週の川柳もどき> 07.3.4

 臭いものにはまず蓋し予算案
  (政治とカネ問題は門前払いで強行採決)
 
 拉致追求で慰安婦は頬被り
 盟友のアメリカからも叱られる
  (認めるべきは認め追求すべきは追求)
 
 地下鉄の闇に談合とぐろ巻く
  (名古屋、ほとんどの地下鉄で)

 戦場へ狩り出し後は知らんぷり
 負傷兵を自己責任と放り出す
  (扱い不適切で米陸軍長官更迭)

 まだまだとブッシュが積んだ死屍の山
  (イラクで連日)

 子らの尻淋しげ滑り台がない
  (金属盗、滑り台まで)

 大リーグの後に報ずるプロ野球
  (完全逆転、日本はマイナーリーグ?
 
コメント
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